episode66 セントラル遺構と南セントラル洞窟の攻略

 街を出た俺達は一直線にセントラル遺構に向かって、無事に目的地に到着していた。


「ここがセントラル遺構か……」

「……うん」


 森が開けた場所にはそのほとんどが崩れ去ってしまっている遺跡があった。

 マップにも表示されているので間違いない。ここがセントラル遺構だ。


「さて、問題は古代術式に関係する物がどこにあるかだが……まあ探すしかないか」


 パッと見た感じでは、どれが古代術式に関係する物なのか分からないからな。

 とりあえず、手分けして探してみることにした。


「俺は北側を調べる。リッカは南側を頼んだ」

「……分かった」


 セントラル遺構に到着した俺達は早速別れて調査を始める。


「ふむ……何なのかまでは分からないが、元々は何かしらの建物だったようだな」


 基礎だと思われる部分が残っているからな。

 どうやら、ここは元々何かしらの建物だったらしい。


「だが、それ以上は何も分からないか」


 しかし、ほとんど何も残されていないので、調べても何も分かりそうになかった。


「む? これか?」


 と、ここで俺は地面に埋まっている怪しげな物体を見付けた。


(これは……ゴーレムの腕か?)


 近付いて確認してみると、それはゴーレムの腕のようだった。


「リッカ、来てくれるか?」


 ひとまず、それらしき物を発見したので、リッカを呼ぶ。


「……うん」


 呼ぶと、リッカはすぐにこちらに駆け寄って来た。


「これではないか?」

「……たぶん」

「ゴーレムの腕だとは思うが……この材質は何だ?」


 とりあえず、金属製であることは分かるのだが、材質が何なのかまでは分からなかった。


「……少し試してみるか」


 ここで俺はピッケルを取り出す。

 そして、その遺物に向けてピッケルを振り下ろした。


「やはり、無理だったか」


 だが、カキンとピッケルが弾かれただけで、採取することはできなかった。


「……調べる」

「まあそれが良いか」


 サンプルを採ることはできなさそうなので、このまま調べていく。



【【古代術式】のレベルが2になった】



 と、調査を進めていると、そんなメッセージが表示された。

 どうやら、これで調査が完了したらしい。


「これで良さそうだな」

「……うん」

「さて、次は南セントラル洞窟だが……まあ普通に歩いていくしかないか」


 サウシアから行った方が近いのだが、【転移石】の登録先に設定していないからな。

 南セントラル洞窟までは歩いて行くしかなさそうだった。


「では、行くか」

「……うん」


 そして、無事に調査を終えた俺達は南セントラル洞窟に向かったのだった。



  ◇  ◇  ◇



 セントラル遺構の調査を終えた俺達は南セントラル洞窟に向けて移動していた。


「ふっ――」

「コケッ⁉」

「ガル……」


 前方にいたコッコとウルフが襲い掛かって来るが、リッカがそれを迎撃する。


「流石に余裕だな」


 ここよりも三つほど先の装備を使っているからな。

 流石にここの敵はもう一撃で倒せるので、苦戦する要素はなさそうだった。


「ついでに人も少ないな」


 また、多くのプレイヤーがコスタル平野に行っているせいなのか、プレイヤーも少なかった。


「……ここにいるのはエンジョイ勢」

「だろうな」


 最前線のプレイヤーはコスタル平野の攻略を終えて、スピリア荒原に行っているだろうしな。

 ここにいるプレイヤーは俺達のように特殊な目的があるか、エンジョイ勢のどちらかだ。


「さて、そろそろ着くが……あれか」


 と、そんな話をしていたところで、それらしき洞窟の入口を見付けることができた。


「聞いていた通りに、中は暗いな」


 洞窟の前にまで来たところで洞窟を覗き込んでみるが、中は真っ暗で何も見えなかった。


「早速これの出番だな」


 ここで俺は【カンテラ】を取り出して火を灯す。


「……あまり広範囲は照らせないようだな」


 だが、思っていたほどは明るくなく、三メートルほど先までしか照らすことができなかった。


「……敵弱いし、大丈夫」

「まあそれもそうか」


 適正レベルの場所だとこの視界の狭さは致命的だが、敵は圧倒的に格下だからな。

 俺が攻撃を受ければほとんどダメージを受けないはずなので、このまま攻略を進めることにした。


「では、俺が前に出よう。リッカは俺の後からついて来てくれ」

「……うん」


 そして、問題なく攻略できる判断した俺達は、南セントラル洞窟の探索を始めたのだった。



  ◇  ◇  ◇



 それから順調に探索を進めて、俺達は南セントラル洞窟のマップのほとんどを埋めていた。


「さて、マップもほとんど埋めたが……それらしき物は見付からないな」


 マップをほとんど埋めて、このダンジョンの脱出ポイントも見付けていたが、肝心な遺物がまだ見付かっていなかった。


「……暗くて面倒」


 リッカの言うように、このダンジョンは暗いので、遺物を探すのに苦戦していた。


「見逃していなければ良いが……まあそれは考えないでおくか」


 見逃してしまっていると、再度調査する必要が出てくるが、非常に面倒で考えたくもないので、今は考えないでおく。


「……あれ」


 と、ここでリッカがそう言って行き止まりの方を指差した。


「……確かに何かあるな」


 リッカが指差した方向を見てみると、そこには何かの残骸らしき物があった。


「調べてみるか」


 この距離では暗くてよく分からないからな。近付いて確認してみることにした。


「ふむ……恐らく当たりだな」


 こちらは原形が分からないほどの状態になっていて、何の残骸なのかは分からないが、セントラル遺構で見た遺物と同じ金属でできていることだけは分かった。


「……調査」

「分かっている」


 それらしき物を見付けた俺達は早速、調査を始める。

 そして、そのまま調査をしていると、無事に調査が終わって【古代術式】のレベルが3になった。


「これでここの調査も終わりだが、どうする? もう少しでマップは埋まるし、完全攻略するか?」


 南セントラル洞窟のマップはほとんどが埋まっている状態だからな。

 完全攻略に時間は掛からないので、どうするのかを聞いてみる。


「……うん」

「分かった。では、このまま探索するか」


 そして、その後は南セントラル洞窟のマップを全て埋めて、脱出ポイントからダンジョンを出て完全攻略したのだった。



  ◇  ◇  ◇



 南セントラル洞窟の攻略を終えた俺達はサウシアの街に向かっていた。


「これで目的の遺物調査は終わったが……何と言うか、味気なかったな」


 無事に遺物調査は済んだが、苦戦する要素がなく、あっさりと終わってしまったからな。

 まあこちらは装備がかなり強いので、それも仕方がないことではあるのだが。


「それはそうと、ここを転移先に登録しておかないとな」


 隠しエリアはサウシアの近くだからな。

 必要な素材の量がまだ分かっておらず、大量に必要になる可能性があるので、それを考えて転移先に登録しておくことにした。


「とりあえず、俺がここを転移先に登録しておこう」

「……うん」


 どちらが登録しても良いのだが、とりあえず、俺が登録しておく。


「さて、このまま例のエリアに行きたいところだが……装備の耐久度の回復だけしておくか」

「……うん」


 ここまでの戦闘で耐久度が減っているからな。

 武器の耐久度の回復だけ行って、例の隠しエリアに向かうことにした。


 そして、その後は拠点で武器の耐久度の回復を行って、それが済んだところで再び冒険に出たのだった。

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