episode55 クロライト合金

 次に俺が手に取ったのは【スケルトンの骨】だった。


「これは【錬金】で加工するか」


 熱すると、【ウルフの骨】のときのように脆くなって砕ける可能性があるからな。

 【スケルトンの骨】は錬金で加工することにした。


「問題は何と合わせるかだが……とりあえず、【霊魂結晶】にするか」


 同じエリアで手に入るアイテムで、どちらもアンデッド系のモンスターのドロップ品だからな。

 比較的相性が良さそうなので、まずはこれで試してみることにした。


「……できたな」


 試してみると、合成にはあっさりと成功して、【スケルトンの霊骨】というアイテムになっていた。


「後は形を整えて……これで良いな」


 そして、そのままそれを剣の形に整えて、剣を作製した。

 完成したところで、早速その詳細を確認する。



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【スケルトンの霊骨の剣】

物攻:220

物防:-40

魔防:-40

耐久:50

重量:3

空S:2

品質:30

効果:えんの呪い、火の付与力

付与:なし

説明:スケルトンの霊骨で作られた剣。攻撃力は高いが、その代償として呪いが掛かっている。



えんの呪い】

 攻撃時にダメージを受ける。

 また、戦闘時に消費するMPとスタミナが増加する。

 さらに、全属性耐性が20%低下して、受けるダメージが増加する。


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「……かなり攻撃力が高いな」


 【リザードマンの爪】で作った刀でも、強化前の攻撃力は160だったからな。

 それよりも一段階グレードの低い武器にも関わらず、この攻撃力は非常に高いと言える。


 だが、その代わりに耐久度がかなり低く、防御力にマイナス補正が掛かる上に、強烈なデメリット効果が付与されていた。


「需要はあるのか……?」


 一見すると、リッカのように全回避を前提とした戦闘スタイルなら使えるように見えるが、その場合だと消費スタミナ増加のデメリットは致命的だからな。

 この武器に需要があるようには思えなかった。


「他の物とも組み合わせてみるか」


 まだ何か作れる物もあるかもしれないからな。他の物との合成も試してみることにした。


「【デヴェストインゴット】はどうだ?」


 【デヴェスト鉱石】はスケルトンがいるスピリア荒原で採れる素材だからな。次は【デヴェストインゴット】との合成を試してみることにした。

 俺は【デヴェストインゴット】と【スケルトンの骨】を錬金板に乗せて、合成を始める。


「こんな感じに……おわっ⁉」


 だが、合成に失敗して、素材が爆発してしまった。


「……もう少し慎重に考えるか」


 失敗すると素材が無駄になるからな。もう少し考えて、合成する素材を決めることにした。


「とりあえず、【霊魂結晶】を素材にするのは止めておくか」


 【霊魂結晶】を素材にして作ると、デメリット効果が付きそうだからな。

 今回は【霊魂結晶】を使うのは止めておくことにした。


「やはり、【クロライトインゴット】と組み合わせるアイテムを考えるべきだな」


 今回作った三つの金属の中で、一番性能が良いのがクロライトだからな。

 ここはやはり、【クロライトインゴット】と組み合わせる素材を考えるのが良さそうだった。


「最有力候補は【リザードマンの爪】だが……【原初の石】や【リザードマンの擬宝核】を使うのもありか?」


 【原初の石】や【リザードマンの擬宝核】はレア素材だが、まだ在庫があるからな。

 ここで使ってしまうのも良さそうだった。


「……【リザードマンの擬宝核】を使うか」


 在庫は【原初の石】の方が多いが、【リザードマンの擬宝核】は【クロライトインゴット】と同様に透き通っていて、どちらもドラガリア荒野で入手できる素材だからな。

 何となくこちらの方が成功しそうな気がするので、ここは【リザードマンの擬宝核】を使うことにした。


「【鍛冶】でも良さそうだが、今回は【錬金】で作ってみるか」


 この素材であれば【鍛冶】でも合成できそうだが、【鍛冶】よりも【錬金】のレベルを上げたいので、ここは【錬金】で作ることにした。

 俺は錬金板に【クロライトインゴット】と【リザードマンの擬宝核】を乗せて、合成を始める。


「……うまくいったようだな」


 すると、今度は爆発することなく、無事に合成が完了した。

 ひとまず、完成品の詳細を確認してみる。



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【リザルライトインゴット】

品質:40

効果:不純物(小)、銑鉱(小)

付与:荒野の風、研ぎ澄ませる一撃

説明:クロライト金属にリザードマンの擬宝核を混ぜることで性能を高めた金属。リザードマンの擬宝核が貴重なので作製コストが高く、滅多に市場に出回らない。



【研ぎ澄ませる一撃】

 研ぎ澄ませた攻撃が強力な一撃を生む。

 溜め攻撃の威力が上昇する。

 また、クリティカル攻撃の威力が10%上昇する。

 さらに、HPが100%以上のとき、物理攻撃力と魔法攻撃力が上昇する。


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「中々良さそうだな。これはリッカ用の刀にするか」


 付与効果もちょうど良いからな。これはリッカ用の刀にしてしまうことにした。


「問題は柄の部分をどうするかだが……まあクロライトで良いか」


 【リザードマンの擬宝核】は後一つしかないからな。柄の部分はクロライトで作ることにした。


「さて、やるか」


 そして、方針が決まったところで、いつもの手順で刀を作製した。


「どうだ?」


 完成したところで、詳細を確認する。



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【リザルライトの刀】

物攻:190

物防:10

魔防:10

耐久:350

重量:4

空S:2

品質:40

効果:黒に秘める輝き、火の付与力

付与:研ぎ澄ませる一撃

説明:リザルライトで作られた刀。性能はそれなりに良い。



【黒に秘める輝き】

 攻撃時に闇属性の追加ダメージを与える。

 さらに、クリティカル攻撃成功時に自身に一定時間、物理攻撃力と魔法攻撃力が上昇する効果を付与する。


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(『荒野の風』が付与されていないな)


 確認すると、【リザルライトインゴット】に付与していたはずの『荒野の風』が付与されていなかった。


(そう言えば、付与コストという概念があったな)


 だが、ここで俺は付与コストという概念があることを思い出した。

 今まで起こったことはなかったが、どうやら、コストオーバーで付与できなかったらしい。


「とりあえず、強化もしておくか」


 まだ強化が済んでいないからな。【リザードマンの爪】を使って、強化もぱぱっと済ませることにした。


「物攻プラス40に物防と魔防がプラス10か。まあこんなものか」


 そして、十回分の強化も済ませて、リッカ用の武器は無事に完成した。


「さて、クロライトで腕当てを作るか」


 それはそうと、まだ自分用の腕当てをまだ作っていなかったからな。

 防具は武器と比べて重要度が低く、リザルライトで作る必要はなさそうなので、クロライトで作ることにした。


 まずは【リザードマンの皮】を半円筒状に加工して、それに合わせて鍛冶で【クロライトインゴット】を変形させる。

 そして、その二つを合成させて、腕当てを作製した。


 強化を済ませたところで、詳細を確認する。



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【クロライト装甲の腕当て】

物防:33

魔防:34

耐久:250

重量:4

空S:2

品質:35

効果:蜥蜴とかげの耐性

付与:開幕防御(小)

説明:リザードマンの皮で作られた腕当て。装甲部分はクロライトで作られているので、それなりに耐久度は高い。



【開幕防御(小)】

 戦闘が始まってから二十秒の間、受けるダメージが減少する。


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「ふぅ……後はリッカを呼んでから売り物用にいくつか武器を作るか」


 これで俺達の装備は作り終わったからな。

 その後は売り物用の装備品などを作りながら、リッカが戻って来るのを待ったのだった。

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