episode40 リザードマン素材を使っての武器の新調
一度ログアウトして、昼食後にログインした俺は装備品の作製に取り掛かっていた。
リッカは今回も一人で外に狩りに行っている。
「さて、まずは素材を決めるか」
まずはどの素材を使って作るのかを決める必要があるからな。
俺は倉庫を確認して、使う素材を決めていく。
「……む?」
倉庫を確認すると、リッカが狩りをした分だけ素材が増えていた。
「リザードマン素材……またドラガリア荒野に行ったのか?」
リザードマンの素材が増えているので、どうやら、リッカはドラガリア荒野に行って狩りをしていたらしい。
「折角だし、これを使うか」
強力な装備品を作れそうだからな。この素材を使って装備品を作ることにした。
「武器は爪、防具は皮を使えば良いと思うが……擬宝核は何なんだ?」
リザードマンの素材は【リザードマンの皮】、【リザードマンの爪】、【リザードマンの擬宝核】の三つあるが、擬宝核という物がよく分からない。
見た目は二センチメートルほどの大きさの宝石のような物だが、ひとまず、詳細を確認してみる。
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【リザードマンの擬宝核】
品質:60
効果:なし
付与:なし
説明:リザードマンの魔力が集まって形成された、宝石のような見た目の結晶。込められている魔力量は竜の核とは程遠いが、装備品を作製するには十分な魔力が込められている。
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どうやら、魔力が込められた結晶のようで、杖や魔手甲などを作製するための素材として使えそうだった。
「まずはリッカの武器を作るか」
どちらから作っても良いが、とりあえず、作りやすいリッカの武器から作ることにした。
「刀身だけ作れれば良いが……十個あれば足りるか?」
【リザードマンの爪】は三センチメートルほどの大きさだが、延ばすことを考えると十個ぐらいあれば行けそうだった。
俺は【リザードマンの爪】を十個取り出して、それらを全て炉に入れて加熱する。
そして、赤熱した状態になったところで、取り出してハンマーで形を整え始めた。
(全然変形しないな……)
加工を始めるが、【リザードマンの爪】は非常に硬く、ハンマーで叩いてもほとんど変形しなかった。
とは言え、全く変形しないというわけではないので、加工できないわけではなさそうだった。
「合金も試してみるか」
【リザードマンの爪】単体で作るのも何なので、合金も試してみることにした。
俺はドラガリア峡谷で手に入れた【クロライト鉱石】を取り出して、炉の中に放り込む。
「……ダメか」
だが、炉の火力が足りないのか、加熱しても何の変化も起こらなかった。
「……【リザードマンの爪】単体で作るか」
最初の方に手に入る金属と合わせて合金にしても、大した物は作れそうにないからな。
ここは【リザードマンの爪】単体で作ってしまうことにした。
「時間は掛かるが、やるか」
時間が掛かることは確実だが、やらないわけにもいかないからな。
時間がないわけでもないので、さっさと作業に取り掛かることにした。
まずは二個の【リザードマンの爪】を赤熱するまで加熱して、それらを叩いて合成していく。
(こんなところか)
合成できたところで、追加の【リザードマンの爪】を赤熱するまで加熱して、一個ずつ合成していく。
そして、合計十個の【リザードマンの爪】を合成して、形を整えて刀身を完成させた。
「持ち手は……適当な金属で作るか」
持ち手はそんなに重要ではなさそうだからな。
とりあえず、持ち手はコッコアイアンで作ることにした。
少しだけ残しておいた【コッコアイアンインゴット】を取り出して、赤熱するまで加熱してからハンマーで叩いて形を整える。
そして、持ち手と刀身を合成して、刀を完成させた。
「さて、性能はどうだ?」
完成したところで、早速その性能を確認してみる。
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【リザードマンの爪の刀】
物攻:160
耐久:100
重量:4
空S:1
品質:35
効果:集団の力
付与:連撃強化(小)
説明:リザードマンの爪で刀身が作られた刀。リザードマンの爪のみで作られていて、しなやかさがないので耐久度は低い。
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「攻撃力160……先のエリアで手に入る素材を使っているだけあって、かなり強いな」
【コッコアイアンの刀】が強化後で物理攻撃力90だったからな。
未強化状態でこの性能なので、かなり強いことが分かる。
ただ、耐久度は低く、最初に作った【アイアンの刀】と同じ100しかなかった。
(説明から察するに、合金にするのが良かったみたいだな)
合金にすればしなやかさが増して、耐久度が上がっていたものだと思われたからな。
合金が作れないかどうか、試してみた方が良かったかもしれない。
(まあ合金が作れたかどうかも分からないし、後の祭りか)
そうは言っても、合金が作れたかどうかも分からないからな。
素材を無駄にする可能性もあったので、そのことはもう気にしないことにする。
ちなみにだが、付与されている効果は以下のようになっている。
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【集団の力】
他の味方と同じ敵を攻撃すると、与えるダメージが増加する。
効果は五人を上限として、人数が多いほど効果が上昇する。
【連撃強化(小)】
同じ敵に連続で攻撃すると、与えるダメージが増加していく。
効果は二十回を上限として、攻撃回数が多いほど効果が上昇する。
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「強化もしておくか」
ついでに強化も済ませておくことにした。
(【リザードマンの爪】は……使ってしまうか)
格上の相手ではあるが、リッカなら狩ることができるし、この武器でより楽に狩れるようになるはずだからな。
ここは妥協せずに【リザードマンの爪】を使って強化することにした。
武器と強化素材である【リザードマンの爪】を赤熱するまで加熱して、重ねて叩いて合成していく。
「……こんなところか」
そして、強化限界である十回強化を行ってから確認すると、物理攻撃力は200まで上がっていた。
「さて、俺の武器も作るか」
リッカの武器は作り終わったので、今度は自分の武器を作ることにした。
俺は【リザードマンの皮】と【リザードマンの擬宝核】を取り出して、作業に取り掛かる。
「このゲームになめしの概念はあるのか? まあ仮にあったとしても加工に時間が掛かりそうだし、今回はこのまま作るか」
皮をなめすにしても時間が掛かるからな。今回はこのまま作ってしまうことにした。
「まずは皮を手袋の形にしてと……」
まずは手始めに【リザードマンの皮】を手袋の形に整えようとする。
「……って、【裁縫】のアビリティがないとできなくないか?」
だが、俺は【裁縫】のアビリティを持っていないので、皮素材の加工はできなさそうだった。
(またNPCに頼むか)
なので、ここはNPCに依頼することにした。
「……リッカに連絡してから行くか」
俺にできることはもう済んだからな。リッカに連絡してから行くことにした。
そして、リッカに戻って来るようメッセージを送ったところで、加工をしてもらえるNPCの店に向かった。
◇ ◇ ◇
目的のNPCの店に着いた俺は早速店の者に加工を頼んでいた。
「少し良いか?」
「なんだい?」
「これを使って魔手甲を作ってくれないか?」
俺はそう言いながら【リザードマンの皮】と【リザードマンの擬宝核】を見せて、武器の作製を依頼する。
「そうだな……なら、五万ゼルでどうだ?」
だが、提示された金額は想定を遥かに超えた金額だった。
「五万⁉」
俺は想定外の金額につい声を上げてしまう。
(本来この段階で手に入れるような素材ではないし、仕方がないか)
リザードマンの素材はこの段階で手に入れるような素材ではないからな。
加工料金が高いのも仕方がないと言える。
「……どうするんだい?」
「……今回は止めておこう」
流石に五万は出せないからな。今回は作製を見送ることにした。
「そうかい」
「さて、どうするか……」
このままだと、加工ができないからな。何か他の方法を考える必要がありそうだった。
そして、そのまま店を後にした俺はどうするべきかを考えながら拠点に戻ったのだった。
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