episode6 出発前の買い物
「じゃあ次の質問行くよ。どんなプレイスタイルがオススメですか?」
次の質問はどのようなプレイスタイルが良いのかということだった。
プレイスタイルなんてそれぞれの自由だし、自分の好きにすれば良いとは思うが、優位に攻略を進めるためのやり方もあるだろうからな。
質問者が聞きたいのはそういうことだろう。
「ソロの場合ならアタッカーがオススメだな。自分で敵を倒す必要があるし、アタッカーを軸にしたプレイスタイルにすることをオススメするぞ」
ソロだとどうしても自力で敵を倒す必要があるからな。
アタッカーを軸にプレイスタイルを形成しないと、どうしても厳しくなってしまう。
「パーティでプレイする場合はどうなのかを聞かせてもらって良い?」
「パーティでプレイする場合は、好きなプレイスタイルでやって、入れてもらえるところに入れば良いと思うぞ」
「何でも良いの?」
「基本的にはな。ただ、他の人があまりやらないような役の方が競争率は下がるから、ギルドには入りやすくなるぞ」
これは単純に需要と供給の関係だな。ベータテストのときには特にヒーラーに就いている人が少なかったらしく、引く手
「色々と答えてくれてありがとう! だいぶ時間も経っちゃったし、そろそろ最後の質問にするよ。それじゃあ最後の質問、最初にすべきことは何ですか?」
最後の質問はゲームを始めて最初にすべきことに関してだった。
これを知っているかどうかでスタートダッシュを切れるかどうかに関わってくるからな。
やはり、このことについては知りたい人が多かったようだ。
「戦闘メインの場合は冒険に必要なアイテムを、生産メインの場合は生産に必要なアイテムを揃えることだな」
「具体的には何が必要なの?」
「戦闘メインの場合なら【HP回復ポーション】と【MP回復ポーション】だな。ちょうどこの店で売ってるぞ」
ソールはそう言って後方にある店を指し示す。
「装備品は買わなくて良いの?」
「装備品は次の街に行くまで買う必要は無い……と言うか、買うのは止めておいた方が良いな」
「何で?」
「次の街に行けばより強い装備品が手に入るし、そこまでは初期装備でも簡単に辿り着けるからな。ここで装備品を買うのは無駄使いになるし、止めた方が良いぞ」
確かに、初期装備で問題なくそこまで辿り着けるのであれば、ここで装備品を買う必要はなさそうだな。
特に最初は資金が少ないので、無駄使いは極力避けたいところだ。
「そうなんだね。それで、生産メインの場合はどうなの?」
「生産に必要な設備を揃えることだな。設備がないと生産活動ができないから、何も始まらないぞ」
生産活動を行うには専用の設備が必要になるからな。
それがなければ何もできないので、対応した設備を買って拠点に設置することが最優先事項になる。
「そうなんだね。と言うことで、みんな知りたいことは知れたかな? だいぶ長くなっちゃったし、今回はここまで。次回はもう少し詳しく仕様についての話をする予定だから、是非見てね。それではご試聴ありがとうございました。次回もまた見てね。バイバイ」
そして、クオンは締めの挨拶をして手を振ると、そのまま録画を止めた。
「ふぅ……とりあえず、これで一本かな」
「そのようだな。このまま撮影を続けるのか?」
「そのつもりだよ」
「そうか。俺達はその間に冒険の準備をしておくが、それで良いか?」
俺達も一緒に行って話を聞いても良いのだが、ギルドの作成など色々と準備があるからな。
ここは別行動をして準備を進めることにした。
「ああ、良いぞ。俺とクオンは別の場所で次の撮影をしておくから、終わったら連絡するぞ」
「分かった。では、また後でな」
「ああ」
そして、クオンはソールを連れて次の撮影場所へと向かった。
「と言うことで、俺達は準備を進めるぞ」
「……うん」
とりあえず、俺達は二人が撮影をしている間に必要な買い物を済ませることにした。
「まずはこの店で消耗品を買うか」
ちょうど目の前に消耗品を売っている店があったので、まずはここで買い物をすることにした。
「いらっしゃいませ」
店に入ったところで、NPCの店員の女性に迎えられる。
「商品を見せてもらっても良いか?」
「どうぞ」
そして、その女性に話し掛けると、俺達の前に商品のリストが表示された。
「とりあえず、必要なのは【HP回復ポーション】と【MP回復ポーション】か」
ソールの話によると、必要になるのはこの二つだ。
なので、まずはこの二つを買うことにする。
(思っていたよりも金が掛かりそうだな)
それぞれ一個当たりの値段を確認してみると【基本HP回復ポーション】は百ゼル、【基本MP回復ポーション】は百五十ゼルだった。
思っていたよりも値段が高く、想定以上にお金が掛かりそうだった。
「……で、何故【矢】は二種類あるんだ?」
リストを確認すると、何故か【矢】が二種類あった。
どちらも名称は同じだが、一方は一ゼル、もう一方は三ゼルと値段が違っている。
「それは品質の違いによるものですね」
それに答えたのはNPCの店員だった。
どうやら、値段の違いは品質の違いによるものらしい。
(詳細を見てみるか)
アイテムの詳細を確認できるようなので、ひとまず、それぞれの詳細を確認してみることにした。
まずは高い方である三ゼルの【矢】の詳細を確認してみる。
━━━━━━━━━━
【矢】
品質:30
効果:なし
付与:なし
説明:弓での攻撃に必要になるアイテム。
━━━━━━━━━━
次に安い方である一ゼルの【矢】の詳細を確認してみる。
━━━━━━━━━━
【矢】
品質:5
効果:粗悪品
付与:なし
説明:弓での攻撃に必要になるアイテム。
━━━━━━━━━━
詳細を確認すると、安い方の矢は品質が低い上に、マイナス効果らしき効果も付与されていた。
こちらも詳細を確認できるようなので、確認してみる。
━━━━━━━━━━
【粗悪品】
品質の悪い一品。アイテムの効果及びこのアイテムを使って使用したスキルの効果が20%低下する。
━━━━━━━━━━
詳細を確認してみると、案の定それはマイナス効果だった。
付与されている効果によってだいぶ性能が変わるようなので、詳細はきちんと確認した方が良さそうだな。
「さて、問題は何個買うかだが……【HP回復ポーション】は二十個、【MP回復ポーション】は五個ぐらいか? リッカはどう思う?」
「……それで良いと思う」
リッカとも意見が一致したので、ここは【基本HP回復ポーション】は二十個、【基本MP回復ポーション】は五個買うことにした。
「店員さん、【基本HP回復ポーション】を四十個、【基本MP回復ポーション】を十個くれるか?」
ポーションは二人分になるので、先程決めた倍の数を購入することにする。
「それでは五千五百ゼルになります」
「これで良いか?」
そして、代金を支払って目的のアイテムを購入した。
「……【ギルド証】売ってなかったね」
「そうだな」
売り物のリストは全て確認したが、この店に【ギルド証】は売っていなかった。
「【ギルド証】でしたら、ギルド管理協会で売っていますよ。ギルドの管理もそこで行えます」
だが、その話を聞いていた店員がそのことについて答えてくれた。
「そうなのか。……この際なのでついでに聞くが、【調合セット】、【鍛治セット】、【錬金セット】の三つを売っている場所を知らないか?」
生産活動を行うには専用の設備も買わなければならないからな。
ついでにそれらが売っている場所も聞いてみる。
「【調合セット】と【鍛治セット】でしたら、向かいの店に売っていますよ」
「【錬金セット】はどうなんだ?」
「【錬金セット】はこの街では売られていませんね」
「そうか。助かった。礼を言う」
「いえいえ」
「では、【調合セット】と【鍛治セット】を買ってからギルド管理協会に行って【ギルド証】を買う。これで良いな?」
「……うん」
そして、方針が決まったところで、店を後にした。
◇ ◇ ◇
店を出たところで、俺達はそのまま向かいの店に向かった。
「いらっしゃい!」
店に入ったところで男性の店員に迎えられる。
「とりあえず、商品を見せてくれるか?」
「おう、良いぞ」
店員に尋ねると、俺達の前に商品のリストが表示された。
「さて、【調合セット】と【鍛治セット】は……あったな」
商品の種類はそんなに多くないので、目的のアイテムはすぐに見付かった。
「それじゃあ買う?」
「そうだな。店員さん、【調合セット】と【鍛治セット】を一つずつくれるか?」
「じゃあ合計で六千ゼルだ」
「これで良いか?」
代金を支払って【調合セット】と【鍛治セット】を一つずつ購入する。
「まいどあり!」
「では、ギルド管理協会に行くか」
「……うん」
そして、目的の買い物を済ませたところで、ギルド管理協会へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます