第19話 伊藤博文と芸者さんの話

 伊藤博文は『ほうき』とあだなされ、女好きと言われることが多いです。


 『恋の伊藤博文』のような創作多めのゴシップ本、反政府新聞の創作による嘘の醜聞は多いですが、それはさておいても伊藤は芸者さん好きです。


 賑やかなことが好きですから、芸者さんがたくさんいるのは楽しいでしょうし、地位が上がると「伊藤様が水揚げ(芸者さんの最初のお相手)の相手となれば箔が付きますからお願いします」と頼まれると断らなかったので、お相手は数知れずです。


 渋沢栄一の息子・篤二の愛妾であった玉蝶さんの最初の相手は伊藤博文だったとする逸話もあり、同じ名前の芸者がいただけの可能性も高いですが、川上貞奴の最初の相手を頼まれたりと、実際にそういうことは多かったので、「あの有名な芸者の水揚げは伊藤博文」という確率は高い気もします。


 ただ、『愛妾』と言われるほどの相手は伊藤はいません。


 最初に『箒』と書きましたが、掃いて捨てるほど相手がいるわけで、一人の女性に執着することも、ましてや奥さんの梅子さんをさしおいて、芸者さんの家に住むとか、芸者さんを妻のように公の場に連れて行くということはしませんでした。


「伊藤博文と関係が深かった」と確定的に言える芸者さんは、次男である伊藤眞一さんの母、歌さんだけかと自分は思っています。


 歌さんは新橋の芸者です。


 妊娠は時の運なれど、それでも、子どもが出来て、認知されていることはそれなりの深い関係であったのではないかなと思います。



 

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