第3話 別れの終末
ついたのは俺の家の近く、広めの駐車場だった。
「ここ?」
返答はない。こちらを一切向かないあなたは少し頷く。
雨が降りしきる外に目を向けて、いっそこのままでいたらなんて淡い期待を抱く。
このままでいたら、いつものように不機嫌な顔をして家まで送ってくれるだろうか。
このままでいたら、あんな男じゃなくて俺を選んでくれるだろうか。
このままでいたら、もう苦しむことはなくなるのだろうか。
このままでいたら、俺はあなたを嫌いになれるのか。
このままでいたら、、、
いつからこんなに脆くなってしまったのか。
原因なんて考えなくてもわかってる。
あなたは誰のせいだと思う?
問いかけることなんてできなくて、ドアを開ける。
車から降りる前運転席を振り返り、少し強がったあなたの顔を、もう二度と見れない顔を見つめる。
「寂しさで壊れそう」
ずっと、寂しかったのは俺の方だったのかもしれない。
ぽつりとこぼれた言葉で気づく。
あなたからの「さびしい」がなくて、寂しかった。
これは本当に愛だったのか、寂しさからくる執着だったのか。
本当のことは誰にもわからない。
もう終わってしまった。
わかる前に終わってしまった。
車を降りてもまだ踏ん切りがつかなくて、少し空いた窓を掴む。
さよならって言い捨ててやりたいのに、何も言えなくて、振り絞った言葉はあなたに届いていただろうか。
窓から手を離すと、車は動き出した。
もうこれで終わり。
全部あなたの筋書き通り。
最初から全部やり直してしまいたい、出会うところから全部、全部、全部。
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