第3話

 綺羅との電話を切った。言った、ついに言ってしまったんだ。綺羅はどう思ったかは分からないが、あのしゃべり方だとビックリしてたのは間違いないだろう。すごく動揺してるようにも聞こえたが、気のせいだろう。


 2ヶ月、綺羅とは話をしていない。お互い気まずい空気になってしまい、なかなか話しかけることができない。…気まずい。

 勇気を出して話しかけてみようか考えたが、タイミングがなかなか無いものだ。いいや、言い訳している場合ではない。綺羅はきっと私がヒミツを作ってたことを怒っているんだ。よし、謝ろう。


 「あの、綺羅…。」勇気を出して声をかけてみた。

 「都愛?」綺羅もこちらに気づいたようだ。

 都愛は深呼吸してから、一歩踏み出した。

 「ヒミツをつくってごめんなさい。約束したのに…。」と、都愛は言った。だが、綺羅からは予想外の言葉が返ってきた。

 「あたしもだよ。」

 「え?」都愛はその言葉の意味が分からなかった。綺羅もヒミツがあるというのだろうか。綺羅はゆっくりこっちを向きながら言った。

 「あたしはもっとひどい。都愛にウソついちゃった。好きな人いないって話してたのに、ほんとはいるんだ好きな人。」

 「そ、そうなの!?」都愛は素直にビックリした。

 「うん、ほんとにごめん。」綺羅は謝った。

 「誰、なの?」都愛は遠慮がちに聞いた。

 すると綺羅は、

 「ごめん、言えない。」

 「えっ?どうして?」都愛は聞いてみた。

 「答えたら、都愛とこれからも仲良くできる自信がない。」綺羅はとても辛そうだった。どうして答えたら私と仲良くなれないの?自分に聞いてみたが、信じられない答えが出た。そして無意識に綺羅に言ってしまった。

 「健人君?」

 綺羅は顔を上げた。驚いている様子だ。

 「うん…。」綺羅はまたうつむいた。

 都愛はビックリし過ぎて言葉のが出なかった。

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もう、伝えられない 岡本 祐二(おかもと ゆうじ) @yuji_18

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