二度目の夜

初めてカンナキと身体を交えた夜が明けた。

辺りはまだ仄暗く、激しい雨音が耳を打つ。

隣に横たわって居るカンナキの方へ目をやると、布団の中で丸くなっているのか、頭の先まで綺麗に見えなくなっていた。


「……おい…。」


昨夜、行為中に口を滑らせたことを思い出しながら恐る恐る盛り上がっている布団を捲る。


「!」


そこには寝ているはずのカンナキが見当たらず、代わりにあったのは偽装工作用の枕に、置き手紙が一つ。


『すまん』


慌てていたのか、墨だまりが酷く粗雑な文字でそう書かれていた。


「……………………ふざけるな。」


ぐしゃりと紙を握りつぶす音が、部屋に響く。

すまん、だと。何に謝ったつもりだ。突然家に上がり込んだことか。顔も合わさずに出ていったことか。 それとも……。


「昨夜の、あの言葉に対してか…。」


……後悔が込み上げる。思い出したくなど無いが、あの独り歩きした言葉が、頭の中で勝手に繰り返される。


『好きだ』


嘘偽りなど無い。今迄のべつに秘めていた想いだった。

だが、それを聞いたカンナキの驚いた表情は、困惑しているようにも、恐れているようにも見えて。そんな反芻思考にとらわれながら重い頭を持ち上げ、身体を起こした。

戸を引いて外を見やると、大きな雨粒を降らしながら暗雲が山にもたれている。

…こんな天候の中、傘も持たずに帰るほどか。

何をしても気が晴れそうに無いが、何か腹に入れようと台所に向かった。


「……。」


釜の前にある机の上には、まだ湯気のたった朝食が置かれていた。恐らくカンナキが作って行ったのだろう。

何故こんなことを。詫びのつもりか。

お前のそういう所が、そういう行動が、俺を狂わすんだ。

絶望の中、いつもいたずらに一筋の光を差し込ませてくる。


期待してしまう。

嫌われてなどいないのではないかと、またいずれこの屋敷に訪れるのでは無いかと。

俺は自分の願望とも言える思いを織り交ぜながらカンナキの心情を慮ることしか出来なかった。


―――しかし、そんな期待を裏切るように、その後カンナキが姿を現すことは無く、丁度一週間が過ぎた。


今日はあの日と打って変わって、清々しく晴れ間が広がる空だ。


俺はいつの間にか、カンナキを玄関で待つようになっていた。望みは無いと分かっていながら、諦めきれないでいる自分に呆れ果てる。同時に、こんな酷な別れ方をやってのけた彼奴への怒りがふつふつと込み上げてきた。


「……もう、二度と会わないつもりか。」


腿の上で握っていた拳を、更に強く握りしめた。彼奴のことを考える度に胸の痛みは増し、心が千々に裂かれるようだった。

いっそのこと、酒で記憶を飛ばしていればどんなに楽だったか。


「…………?」


ふと、玄関の隅に目をやると見慣れた髪紐が落ちていた。カンナキのものだ。

……髪も結わずに出ていったのか。

半ば呆れながら髪紐を拾い上げると、ふわりとカンナキの香りが鼻を掠めた。


途端に、忘れもしないあの晩のカンナキが思い起こされる。


「……ッ、糞餓鬼が…。」


全て夢だったように去ってくれれば良いものを、憎らしいことに残り香を残してゆくから、たちが悪い。


身体が火照り、下腹部に熱が集まる。

カンナキの顔を思い出して窮屈になったそこへ、おもむろに手を伸ばす。先の方に触れると、そこから背筋に甘い痺れが伝わった。

きつく締まるカンナキの中を思い出しながら、熱く湿った己を自らの手で慰めた。


「フーッ…、…くっ…♡…ッ…♡♡」


また触れたい。あの柔い肌と、艶やかな髪と、弾むような唇に。奥を突く度に愛らしく跳ねる身体と、あの蕩けるような表情をもう一度見たい。

匂いも、味も、声も、七日が過ぎた今でさえ鮮明に浮かぶ。

息が次第に荒くなる。それと同時に俺の手は一層激しく動き、快感がまた膨らんだ。


「ハァッ♡ハァッ…♡♡ッッ…♡イ"ッ…ぐ……ッ♡」


トントン


「……!?」


あと少しのところで、何者かが戸を叩いた。

戸の向こうにうつる影は、よく見慣れた影だ。


「カッ……ッ!!///」


カンナキ。


思わず、がたりと物音を立てる。

まずい。こんな所を見られては、いよいよ逃げられるのではないか。

そう考えながら、返事を出来ずにいると、そろりと戸が開き始めた。

戸の端に掛けられた指は、綺麗な形をしているが赤切れがあり、苦労も見える。見間違えるはずも無い、カンナキの指だ。

何故今お前がここに。よりにもよってこんな折に。

戸がゆっくりと引かれ、時の流れが遅く感じる。しかし、俺の鼓動はそれと対比的に速まっていった。


「……おー…ぃ………?」


そろりと顔を覗かせたカンナキは、俺と目を合わせた瞬間、目を丸くして固まった。

刹那に、勢いよく戸を閉める。

逃げたかとも思ったが、影を見る限りではまだ戸の前に立っている。

どういうつもりだ。突然現れて、俺のあられも無い姿を見ておきながら、去ろうともせず。普通ならば一度犯された相手とこんな状況下に置かれてその場に留まることなど断じて有り得ないだろう。自分の身を守るためには逃げるが一番の得策であるはずだ。

これではまるで、この先を…。


「―――……!」


……まさか、そういう事なのか。

覚悟でも、決めてきたというのか。


鼓動が一気に早くなる。目を見開いてカンナキの影を見詰めた。

再び、カンナキの影が静かに動き出す。その指先がそろそろと戸を開け、狭い隙間からカンナキの真っ赤な顔が覗く。


「ゆ、幽々裂…ッ///俺…ッ///」


その顔を見るやいなや、俺はいつの間にかカンナキを家の中に引きずりこみ、玄関の床に押し倒していた。


「え"ッ!ま、待てって!何してッ…///」


「待て…だと。顔も合わせず姿を消して一週間。何の連絡も寄越さなかったお前が、この期に及んで俺に未だ待てと言うのか…?」


ぐっとカンナキの肩を押さえつけた。


「い"っ…!それは、悪かった、ッ…、俺、どうしたら良いか分かんなかったんだよぉ!……は、初めてだったからっ…、あんなこと…ッ、///」


今にも泣き出しそうな顔をして、必死に弁明するカンナキ。俺は、押さえつけていた手の力を緩め、言葉を繋げる。


「…………どうしたらいいか分からずに、今まで顔を出せなかったと言うのか。」


「う、うん…まあ…そうだな…。」


「ならば、今ここに来たということは、覚悟が決まった、という事か。」


やっと決心がついたと、そういう事か。でなければわざわざ見たくもない面を見になど来ないはずだ。


言い放つと、俺はカンナキの緩んだ首元を掴み、初夜と同じように……いや、それよりもずっと荒々しく、首筋へ口付けを落とした。


「や、いやっ、違っ…!ま、待ってくれ!そうじゃなくて…!///」


「…………あ"?」


まだ何かあるのか。俺は気が長い方では無い。

あまりにもはっきりしないカンナキの態度に苛立ちが募り、強く首元を締め上げる。


「ぐえっ…き、聞いてくれよお〜ッ…!お、俺ッ…お前の言ってた、その、……好きって意味がよく分からなくて、今日はそれを確かめに来た、というか…。ど、どういう意味だったのかなって…///」


「―――…………。」


正気か、こいつは。予想を大きく逸れた阿呆さに、俺が押し黙っていると、カンナキが心配そうな表情で俺の顔を見上げた。


「……ゆ、幽々裂…?」


あの晩と同じ上目遣い。光をゆらめかせる潤んだ瞳。暗くとも分かる、少し赤らんだ顔。

その顔で、その態度で、ここまで俺を狂わせておいて真意を確かめに来ただけ、だと…?


とうとう俺のちっぽけな自制心が折れる音がした。


元々、吹けば飛ぶような理性しか持ち合わせていない俺にこいつがどれだけ信頼を置いていたのか知らないが、俺にも我慢の限界があると言うことを分からせてやるより外はあるまい。


「ならば、どういう意味か確かめてみるか。」


「え?」


間抜け面をしているカンナキの唇を食むようにして、自身の唇を重ねる。互いの熱がじわりと広がって、口の端から吐息が漏れた。カンナキは苦しいのか、俺の胸元を押し返すように手を力ませている。少し口を離してやると、息を荒らげながら言葉を吐き出した。


「はっ、おま、いきなりッ…ん"ッッ///」


しかし、その言葉ももう聞いてやるつもりは無い。すぐにまた口を塞いで、緩んだ唇の隙間に舌をねじ込む。舌を捕まえ、絡ませ合う度に、俺を押す腕は非力になっていった。顔は次第に蕩け、唇からどちらのものとも言えない雫をだらしなく垂らしている。


「や……ぁ"……やめ……ッ///ゆゆざく…ッ///」


「ハァ……カンナキ…、本気で嫌ならば、俺の舌を噛み切ってでも逃げればいいだろう…。何故そうしない。」


「…………ッえ……///」


カンナキは俺の問いに硬直する。


「でなければ……俺はまた、お前を犯すぞ。」


俺は、カンナキとの接吻で更に主張が強くなった自分自身を、カンナキの太腿に擦り付けた。

露骨に向けられた性慾にびくりと腰を跳ねさせ、震えている。


「あ"………そ、それはッ…///……ぅ"!?」


さっと視線を逸らし目を合わせようとしないカンナキの顎を掴み、無理やりこちらを向かせた。


「…………俺は、お前が屋敷に訪れるのを何時も待ち侘びていた。お前が俺を友と呼ぶ度に胸を深く抉られた。ずっとその整った顔を快楽に歪ませたいと思っていた。現に今、ただ舌を絡めただけでも俺の体は昂ってどうしようもなくなっている。

………………これで確認は済んだだろう。あの晩、俺がお前を抱いたのは酒の勢いでも、魔力を供給してやろうという慈悲でもない。

…………俺の勝手な恋情に他ならない。」


思いの丈を一方的にぶつけ、カンナキを睨むように見詰めた。


「ぁ"…………お、俺ッ……///」


カンナキは目を白黒させながら一層顔を紅潮させる。張り詰めた空気が漂い、カンナキは口を閉ざした。

その沈黙が意味することは大方見当がつく。


「……ふん、やはり、ただの鈍感で考え無しの阿呆だったか。どうせ魔力欲しさにのこのこ現れたのだろうが、もう逃がしてやるつもりは無い。魔力はくれてやるから精々零さないように……ッ!!!!」


開き直りひねくれ返っている最中、カンナキに胸ぐらを掴まれる。


「違う!俺は魔力が欲しくて来たわけじゃッ…!」


ごりっ


一瞬、時が止まった。

下腹部あたりに固いものが当たる。


「……!あ"ッッ、こ、これはちがッ…///」


カンナキが慌てて膝を立て、そこを隠すように身体を捩った。


「…………。」


俺は間髪入れずにカンナキの股を無理やりこじ開ける。


「う"ッうわぁ!?やめろよ!は、離ッ…ッッ////」


そこにはしっかりと前掛けの布を持ち上げている、カンナキのそれがあった。


「………………………おい、どういう事だ。」


「………………。」


カンナキは手で顔を隠し、貝のように黙り込んでいる。


「……おい。答えろ。」


少し強めに、布が持ち上がっている部分を掴んだ。


「ん"あっ♡♡♡///う"ッ…やめッ…///」


そのまま布ごしにそれをゆっくりと扱く。


「ぁ"ッッッ♡♡♡や"ッ♡♡ハァッ♡だって、お前が、あんなことするからっ…!////」


「あんなこと?まだ接吻しかしていないが?」


「だっ…、だからそれがッ…ッぁ"♡♡♡」


「俺との口付けでここまで固くしたのか。」


「う"ッ♡♡ぁ"ッ♡♡や、やめろよぉ"っ///恥ずかしいだろッ……!!///」


口では恥じらっていても、俺の手の中のものは、布越しでも分かるほどいやらしく小刻みに跳ねている。

こいつ、これではまるで、俺の事を……。

全身の血管が脈打つ。

今、ずっと俺の中で渦巻いていた蟠りを捨てる時が来たのだろう。

俺はカンナキの目を真っ直ぐに見据えながら問うた。


「………………それで、返事は。」


「へ……ッ?あ"ッッッ…!?♡♡♡♡///」


俺の手が袴の中に入り込み、濡れそぼったそれを直接扱き始めると、カンナキの身体が仰け反った。

更に俺が手を速めると、いやらしい水音と共にカンナキの声も大きくなる。


「ハッ♡ハァッ♡あ"ッ♡♡ぁ"ッッ♡♡♡うぁあ"ッ♡♡♡///ゆゅ、ざくッ♡♡♡///」


「フッ…♡ほら、早くしろ…驚く程鈍いお前にも分かるよう説明してやったんだ。返事くらい返すのが礼儀だろうが。」


「う"ッ♡♡ぁ"ッあ"ッ♡♡こんな状況でッ…♡ハァッッ♡♡言えるわけ、無いだろぉ"ッ♡♡♡///ぐ、う"ッ♡♡♡」


そうかと、俺はカンナキの袴を剥ぎ取り、言葉を続けた。


「……残念だ。ならばお前が嫌でも心のうちを言ってしまうまで、抱き潰すこととしよう。」


「え"ッ…?///」


またもや阿呆面で固まっているカンナキなどお構い無しに、俺は今まで扱き倒されていたカンナキのそれへ舌を伸ばした。同時に、自分の先走りを垂らして随分と濡らしている臀部にも指を滑らせる。


「ハァ…♡復習だ…ッ///カンナキ…お前もこれは気に入っていただろう…///」


「ハッ…♡ハァ…ッ♡♡あ"ッ……///幽々裂ッ…、俺、それはッ…!///」


あの晩のことを思い出したのか、腰を引いて逃げようとするカンナキ。

無論、俺は容赦無くカンナキの腰を引き寄せ、根元までそれを咥えこんだ。


「―――ぅあ"ッッッ♡♡♡♡////」


口内でびくびくと震えているそれを、舌で宥めるように撫でる。

カンナキは悶絶するような表情で浅く呼吸しつつ、俺に訴えてくる。


「ハッ…♡ぁ"ッ♡♡///はぁ"ッ…♡♡ゆ、ゆゆざくっ…ッ♡♡♡ぁ"、ん"ッッ♡♡♡///い、今これ以上、動いたらッ♡♡♡///イき、そッ…♡♡♡///」


ぎゅっと固く目を閉じながら、真っ赤になってうち震えるカンナキに、身体が熱くなるのが分かる。

しかし、ここで気をやっては面白くないだろう。俺は傍に置いていたカンナキの髪紐を手に取った。

そして、俺の口の中で達しかけているそれの根元に括り付ける。


「えっ…ゆ、ゆゆざくッ…?それ何して……ッ」


カンナキが言葉を言い終わる前に、紐をきゅっと絞めた。


「はっ…ッぅ"ッ…///な、何だよ、これっ…!///苦し…ッ…!///」


「返事も寄越さない内に、気をやられては困るからな…///」


言いながら、再び裏筋に舌を這わせ、ゆっくりと口の中へ呑み込んでゆく。


「や"ッ…♡♡♡///ぁ"…ッああ"ッ♡♡♡///やだッ♡♡///なんだよ、これっ♡♡///イ"クッ♡♡イクのに"ッ、イけなっ、ぃ"ッ♡♡♡////ぁ"ッ嫌だぁあ"ッ…♡♡♡///」


カンナキはどこまでも膨らむ快感と、それから解放されない恐怖に悶え、身を捩っている。

中への入口もそろそろ解れてきた。俺は前を咥え込むのと同時に指をゆっくりと中に挿し入れる。


「フーッ…♡フッ……♡ン"……ッ♡///」


ぐちゅッ…♡ずぷ…♡


「ぁ"……ッ♡♡ッ…♡♡♡待ってくれ"ッ…♡♡♡今、そんなことしたらッ…俺ッ…!♡♡♡////」


ぢゅぷんッッッ♡♡♡

コリッ…♡


「は、ぁ"ッッッッ……♡♡♡♡」


中指の先が前立腺を押し潰すと同時に、カンナキが腰を反らせる。俺が中で指を動かし刺激する度に、目の焦点が合わない顔で、しきりにがくがくと痙攣していた。


「ハァッッ♡ハァーッ……♡♡うあ"ッ♡♡♡ゅ"ッ…ざくッ♡♡♡なんか、変だッ…♡♡ぁ"ッ…♡♡中ッ♡♡♡ぞくぞくしてッ…♡♡♡♡///はぁ"ッ♡♡♡」


「…?///」


中で指が徐々に締め付けられる。カンナキの腹には力が入り、震えていた。

これはまさか……中で達しそうになっているのか。

まだ弄るのは二度目だと言うのに、淫らな体だ。俺はそんなカンナキの姿を見て、興奮に身を震わせた。

ずるりとカンナキから指を抜き、口を離す。


「はッ…♡ぇ……ッ?///ゆ、…ッ…///」


カンナキはもうすぐ襲ってくるであろう大きな快感の波が再度せき止められ、懊悩した表情を見せる。俺は覆いかぶさっていた状態から体勢を変え、カンナキに俺を跨がせると、対面するように腰掛けた。袴を緩め、昂った自身をカンナキに見せつける。


「……そろそろ、答えは出ただろう。お前の返事を聞かせろ。」


「……ぁ……ッ////」


カンナキが腰を下ろせば、位置。前を括っている髪紐にも手をかけてやる。このまま下に動かせば蝶結びが解け、絶頂を阻むものは取り払われる。

言葉で返事が出来ないなら行動で示させるまで。


「ハァッ…♡……後はお前次第だ。カンナキ…///」


背中を押すように、耳元で囁いた。


「ハッ…♡ゆゆ、ざくッ……♡♡♡ハァッ…♡♡俺ッ……♡♡♡ッッッ♡♡♡」


玄関に、二人の荒い呼吸音が響く。

カンナキが、震えながらゆっくりと腰を下ろし始めた。

切迫した空気の中、どちらのものかも分からない心音が、耳の奥でこだまする。


くちゅッ…♡


先端に熱いものが触れた。

はっ、と互いの湿った吐息が肌に当たる。


「…ハァッ…♡カン…ナキ…ッ♡///」


カンナキの名前を呼ぶと同時に、俺のそれはずぷずぷとカンナキの中に飲み込まれてゆく。

シュルリと音を立てながら、カンナキの前を縛っていた髪紐が解けた。


「ぁ"ッ♡♡ゆゆざくッ…////す、好きだッ…♡♡///俺ッ♡…お前がッ♡ハァッッ♡好き…ッッ♡♡♡♡///」


「―――ッッッ……カンナキッ…♡♡♡///」


激しい興奮に、心臓が暴れ全身の毛が逆立つ。


ぐちゅんッッッ♡♡♡♡


俺は荒々しくカンナキの腰を抑え、強く奥へと突き上げた。


「ひッッッ♡♡♡ぁ"ッッ♡♡♡♡♡♡」


同時に、今まで焦らされていたカンナキのそれが濃い精を放った。カンナキはがくがくと震えながら溶けそうな目を、俺の顔に向ける。


「ハッ…♡♡ハァ…ッッ♡♡///ぁ"……ッ♡♡♡ご、ごめ…ッ////」


自分の出したものが俺の顔にかかっているのを見て、慌てて拭おうとしている。しかし、それと同時に中がきつく締まった。


「…ハァッ♡ッッ♡…ふ、興奮しているのが丸わかりだな…ッ///」


ぢゅぷッ♡♡♡


そんな状況で腰が止まるはずもなく、俺は欲望のままに突き上げる。


「あ"ッッッ♡♡♡///ま"ッッ♡♡ゆゆ"ざぐッ♡ッッッ俺、イッたばっかでッ♡♡♡///」


カンナキの声は虚しくも空に消えていき、俺に聞き入れられることは無い。吐精してすぐのまだ震えているそれを、指で締め付けながら無慈悲に扱いた。


―――悪い癖だ。散々待って、やっとカンナキが想いを告げてくれたと言うのに、いざ手に入れば感情の抑えが効かない。

随分と意地の悪いことをした上に、酷い抱き方をしたものだ。普通なら百年の恋も冷めるだろう。それならいっそ、俺無しでは生きていけない身体になるまで抱くか。

そんな事を考えていると、カンナキが俺の胸に倒れ込んできた。いや、抱きついて来たと言うべきか。

具合でも悪くなったのかと、様子を伺うと、カンナキは泣いていた。


「ッッ…!カンナキ……」


突然のことに動きを止めると、カンナキが鼻声で訥々と言葉を置いた。


「ハァッ…ッ♡ハァ…お前ッ…!さっきから怖い顔して、なに考えてんだよぉッ!……俺の事、好きなら、ッ今は俺の事だけ考えてくれよぉ"ッ…////俺は今、お前のことで頭いっぱいなのに、ズルいだろおッ…!///」


「………………お前は、ッどこまで……///」


俺を狂わせれば気が済むんだ。


俺はまたカンナキを押し倒し、覆い被さるようにして奥を突いた。


「ゃッあ"ッッ♡♡♡///ゆゆざ、くッッ…♡ッんあ"♡♡////」


「ハァッ♡♡ッく、ッ…♡♡///お前の事だけ、と言うのならば、俺への想いを口に出して言い続けていろッ♡♡♡///嫌でも、お前のことしか考えられなくなるっ…ッ♡♡♡////」


中がうねり、快感が背筋からせりあがってくる。


「ハァッ…♡♡♡く、あ"ッ♡ッ♡ゆゆざくっ♡♡♡好きッ♡♡♡好きぃ"ッッ♡♡♡俺の事だけ、考えてッッ♡♡♡///うぁ"ッッッ♡♡」


あまりの興奮と快感に、腰の動きが激しくなった。もうカンナキと身体を重ねることしか考えられない。


「ハァッ♡カンナキッ♡俺も好きだッ…♡///ふ、ッ…♡案ずることはない"ッ…ずっと、お前のことしか考えていないッ♡♡考えられん"ッッ♡♡♡///責任をとってもらうからな"ッ…♡♡♡///一生傍にいろ"っ…カンナキ♡♡♡♡///」


「うん"ッ♡♡♡///いる"っ♡♡♡///ハァッ♡♡ずっと、お前の傍にいるから"ッぁ"♡♡♡すきっ♡♡♡しゅきぃッッ♡♡♡」


ぬぷぷぷッ…♡♡♡♡ぢゅぷんッッッ♡♡♡


中から抜こうとすると、離すまいと吸い付き、前立腺を擦り上げながら奥を突くと、悦ぶように締めつけてくる。

カンナキの愛らしさと下腹部に押し寄せる快感の波に、気をやってしまいそうになる。


「ふ、ぅ"ッ…♡♡///カンナキッ♡♡♡もう、イクぞ、……♡ッ中で…ッ♡♡♡しっかり受け止めろッ♡♡///ハァッ♡♡イ"ッッ……くッ…♡♡♡///」


カンナキの手を押さえつけるように指を絡ませ、獲物を襲う狼のようにカンナキを組み敷いた。


「はぁ"ッッッ♡♡♡ん、ぅ"ッ♡♡♡///気持ちイイ"ッッ♡♡♡///ゆゆざくぅ"ッ♡♡♡俺もッ、イクッ♡♡イグぅ"ッ♡♡♡イ"ッッ…♡あ"ッッッッ…♡♡♡♡///」


カンナキが達すると同時に、唇を重ね合わせる。互いに甘い快楽の海で溶け合うような余韻に浸った。

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初めての夜 王水 @pinnsetto87653

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