第13話 お呼び出し

 昼休み終了を告げるチャイムが鳴り、賑やかな時間は終わりを迎える。先程のクラスラインの内容が頭を過ぎる。『悲報、松崎連行される』だ。その後、次々と卑猥な画像は取り消された。面倒事にならないと良いな……


授業中に手紙が俺の所に来た。


『北村 慶 様へ

 

 貴方と、どうしてもお話しがしたいです。御迷惑かと存じますが5限の授業を私の為に抜けて下さいませんか?社会科の準備室で待ってます♪

1-B 青木 彩花あおき あやか

 

 ゆっくりと読み、脳内に焼き付ける。こ、これは、ラブレター?この1通の手紙から恋が始まるかも知れない無限の可能性を秘めている非モテの人達が熱望してる、 恋 人 が 出来る かも 知れない、神様からのチャンス?だが、俺には恋人が…………どんな顔なんだろ…?み、見るだけだから、浮気じゃないから…!ちょっと気になっただけだから!別に期待してる訳じゃないからね!



 そうして俺は………。授業終了、5分前にノートを書き上げてトイレに向かった事にして社会科の準備室に行く。そっと、扉を開けるとそこには、俺の胸を引きさく殆どの超絶ー!

   





   ガ チ ム キ がいた……。そっと扉を閉める、静かにそして、慎重に…ふぅ〜、ミッションクリア!これより、帰還すr『ガラガラー!』勢い良いよく扉が開いた。


 「……遅かったな」


「授業を蔑ろにする訳にはいきません!」


 ガチムキのおっさんは学年主任だ。扉を開いたのは、保健室の先生。


「だが貴様は、ノコノコと姿を現した。」


「どんな物好きか、一目、見たかったのです。あんな手を使って恥ずかしく無いんですか?ホモ認定しますよ?」


「ここに呼んだのはやって貰いたい事があるからだ。

 両手を前に伸ばし、手のひらを広げて気合いを入れてひっくり返せ!」


「ハッ‼︎」


「……何か出たか?」


「ため息なら……目的はなんです?」


「お前には関係の無い事だ。教室に戻れ。」


「失礼しました!」


 危なかったー!『鉄槌』と言う技を使い殴っていたから手の甲に証拠が残らなかったからだ。


「ねぇ、帰宅部ってどうゆう事?」


「柊木さんが隣の部屋に住んでて、昨日の話し声が聞こえてたみたい……だから部活やってる事にした笑」


 早速帰宅部について美優が突っ込んできた。気になるよね……今日は色々ありすぎて美優と全然話せていない気がする。恋人どうしてって普段、どんなふうに過ごしてるんだろう?いつも視界に入れないようにしてたから、全然解らん。進展とかなさ過ぎて振られ無いか心配。


 「2人の時間、無くなっちゃうね……。」


 悲しそうな表情を見せる。2人っきりになる機会は確実に減ると思う。だが、仲が悪くなった訳でも片想いだけの関係じゃない。


「周りに誰が居ようが美優と共に居れるなら、それで十分だ。」


「わたしの何処が良いの?」


「高1の春、まともに俺と会話をしてくれたのが美優だった。その優しさに心を撃たれた。其れから何度も話して行くうちに好きになっていた……もっと一緒にいたいと思う程にな。」


「そっかー……『スタイルが良い』とかじゃなくて良かった〜」


 染み染みと呟やいてから、安心した様な顔をして笑みを浮かべた。どこが良いか、聞かれても全部が好き。


 一緒に笑い合える事がどんなに幸福な事か、美優は知らないのかも知れない。そばに居ても一向に振り向いてくれない辛さも。



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