第7話 深き眠り



4月11日土曜日


 目が覚めたら朝だった。今時間は?


「6時か。」


  起きるにはまだ早いな……お休み……。







「大量注文入りました〜!」


 フロアスタッフから声が掛かり大量の伝票が流れて来る。時間のかかる料理から捌く。先輩の門脇かどわきさんが笑顔で言う。


「ショータイムの始まりだ!」


 料理を作っても次々と伝票が流れて来る。もう食器が無くなりそうだ。


「ウォッシャーに入ります!」


「任せた‼︎」

 


 食器を手速く洗い機械に流す。次々に機械に流す為のストックをためては流すを繰り返し、キッチンに充分に行き渡ったら、サイドメニュー作りに戻る。ポテトや唐揚げを油にぶっ込んで様々なサラダを伝票通りに作った。シチューが8皿、オムデミ2皿、オムクリ2皿のオーダーが同じ卓から流れた。


「追い討ち掛けられたら潰れる……。」


 

「もう潰れてるだろ笑その数はスペース的に作れない笑笑。」



 加熱の間に炊き上がったライスを移してから新たに炊く。これを怠るとめちゃくちゃ怒られる。タイマーが鳴り響く。


『ピー、ピー、ピー』


 ポチッとボタンを押しても耳からアラームの音が離れる事は……





「キッチンが潰れる!」


 ガバッと起き上がったが自分の部屋で寝ていた事を思い出した。まだ息が荒い。時計に目をやった。


「遅刻する!」


 



 俺は走った。散歩中のおじいちゃんを追い抜かし、ベビーカーを押す女性を余裕で走り抜かす。今日も恐らくは混むだろう。混み始める前に充分なストックを用意して置かなくてはならない。





 








 無事にバイト先に着き、激務をこなした。バイト中のフラグ発言は控えるようにチーフがしみじみと言っていたのを俺は忘れる事は無いだろう。チーフがフラグを立てたからだ。





 



 今日はもう、休もう……。









 






 









 


 




 









 






 



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