第5話 同居生活
4月9日木曜日
俺たちの朝は早かった。吉川さんのアラームで朝6時に起こされて互いに挨拶を交わした後、吉川さんは洗濯を始める。
俺は二人分の朝食を用意した。カフェラテも二人分置く。吉川さんが洗濯から帰って来る。
「わー!ご飯作ってくれたんだ!ありがとう!」
「気にしないでください。作れる時は作りますから!」
「私は北村さんが作れない時に作りますね!」
テレビを付け、2人で朝食を摂る。心地良い時が流れた。吉川さんの楽しそうな声を朝から聞けるのは嬉しい。
「良いですね、こういうの。毎日が楽しくなりそうです!」
「そうですねー!私もそう思います!」
「吉川さんは甘党ですか?」
「そうですよ!」
「俺もです。甘い物は甘い方が良いですよね!」
「そうですね!辛いものは中辛ぐらいが良いです!」
「同じですねー!わかりました。」
たわいもない話しをした後、各自準備してから仕事に出た。俺は『スペシャルハンバーグ』でバイトをしている。引っ越し先を探す前は掛け持ちをしながら週7で出ていたが今は週4だ。学校が始まって少しすれば、バイトを始める人も出て来る!どんな人が来るんだろ。
「おはようございます!」
店内に入ってから元気に挨拶をする。
「おう、おはよ!雰囲気変わったなぁ〜良いぞ!」
「おはようございます。チーフ。」
店に入ってからは仕事モードだ。1年生の殆どの思い出がこのバイト。アルバイトは素晴らしい!学校生活の事が忘れられる。高1の頃、学年行事で『特急ハイパワーランド』に行く事になって密かに想いを寄せていてた
今更、バイトで躓く事は無い。
「沢山注文入ったぞ〜」
「……」
注文が入る前に新商品の作り方や商品の材料の変更具合を見ていたが相変わらず、イメージ図、写真が無かった。よくある事。何時も通りにレシピに従って作る。盛り付けはチーフに任せた。
「すみません、完成図が判らないので盛り付けお願いします!」
「わかった。後で新商品やレシピ変更したやつは教える。」
1時間後に落ち着き問題の商品の完成図を教えてもらった。新人の頃は大変だったなぁ〜入って間も無いのに今回のような事があって。
忙しくも楽しい時間を過ごし、帰宅すると電気が付いていなかった。近くのスーパーで1週間分の食材を購入する。夕飯の支度中に洗濯物を取り込んだ。今夜はカレーだ!そして、廃棄間近のハンバーグを焼いて盛り付けて完成した。
玄関のドアが開く音がする。吉川さんが仕事から帰って来た。
「ただいま〜!」
「お帰りなさい!」
「今夜はカレーですか!ありがとうございます!」
そう言って自室に入り着替えてから、一緒に夕飯を食べる。思い出したかのように吉川さんが聞いて来た。
「そういえば、猫さんはいつ飼いますか?」
保護猫を飼おうとしていたが条件が厳しくて、引き取る事が出来なかった。
「保護猫を飼おうとしましたが条件が厳しくて……」
「ペットショップで訳有りの子を買うのはどうですか?価格はお手頃ですが売れ残りやすいんです。」
「売れ残れば、保健所行きですか。ネットでそう言う在庫があるか聞いてみます!教えていただき、ありがとうございます。」
「いえいえ!縁が有ると良いですね!」
俺のバイトの曜日は火曜日と木曜日、金曜、日曜日だ。明日は金曜日だけど、一週間前にバイトのシフトをバイト仲間と交換していたから調べたペットショップに明日行く事にした。猫は構い過ぎると嫌そうにするし、野良猫を長い時間掛けてやっと触れるように懐かせたのに他人にあっさりと体を触れさせる。
まるで何処かの女子高生だ。最初は無口で笑顔すら見せなくて、笑いあえるまで時間がかかったのにイケメンが話しかけてくると笑顔で応じてたなー。猫も女もそういうものかもしれない。嫌な事を思い出し必死に忘れようともがきながら眠りに就いた。
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