第2話 悩む

「お待たせしました!良さそうなお部屋を探して来ましたよ!いくつかコピーしたのでご覧になってください。」


5分位で戻って来た。速い……!!

どの部屋も良さそうだ。……あれ?敷金は飼育するペットによって変わる?どれもそう書いてある。


「あの、敷金ってペットの種類によって変わるんですか?」


「はい、変わりますよ!因みにどんなペットを飼いますか?」


「猫を飼う予定です。」


「猫さんですか〜敷金、2倍かかっちゃいますね。そうなるとどれも初期費用10万円超えちゃいますよ?」


「高いですね。」


「ガリガリやっちゃうのでどうしても高くなっちゃいますね。どうしても猫さん居ないとダメですか?」


「怖いの苦手なのでどうしても居て欲しいです。事故物件も嫌ですね。」


「うふふ、そうなんですね!大丈夫ですよ!私はそういう物件扱って無いですから!」


口元を手で隠し笑って事故物件は扱ってないって言った。初期費用が少しくらい高くても借りる事は出来る。問題は何処が良いか……モデルさんが写っている紙に目が行く。吉川さんが映っている。何故だ……自分をモデルにしたのか。


「この物件の写真に凄く綺麗な方が写っていますねー」


「えへへ、実は私なんです!映ってるの!」


「店に入ってから思っていましたが吉川さんは美人ですね!」


「うふふ、褒めても何も出ませんよー!」


 可愛い笑顔が出ました。吉川さんの映っている物件の詳細をみて見ると他のよりかなり良さそう。何度も読み返していると声をかけて来た。


「北村さん!その物件の見学行きますか?」


「行きます!」


「それでは、すぐ行きましょう!」


吉川さんは手を軽く叩きしゅっぱーつと楽しそうに言った。アパートの名前は「星の導き」だ。最寄り駅から徒歩7分。途中に川があり橋を渡りながら景色を楽しめるしショップもある。最寄り駅から5分の所に星導高校と物件パートナーがある。だからすぐ着いた。


「着きましたー!ここの106号室です!」


玄関のドアを開け中に入ると棚やスリッパ、玄関マットが置いてあり綺麗な花が飾られていた。


「お邪魔しまーす……」


「はい、どうぞ〜」


思わず言ってしまったが吉川さんから返事が返って来た。更に奥に進み、各部屋とロフト、その他の所をみたが綺麗に整理整頓されていて、家具や家電が完備されている。最近は貸し出し用の家電や家具を備え付けている所が多いらしい。貸し出し主に連絡を入れれば引き上げてくれるそうだ。


「お部屋どうですか?」


「日当たりも良いし部屋も広くて綺麗です。家電や家具はリースですか?」


「それは良かったです!

家電や家具は貸し出しで家賃に入っていますよ〜!光熱費は別です♪」


「わかりました。この部屋にします!」


「それでは契約の話なんですが印鑑と住民票のコピーを持って店舗に来て下さい。日時はいつがご都合良いですか?」


吉川さんが真面目な顔付きになった。出来るだけ早い日にちの方が良いな……


「今日の午後5時にお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「はい、大丈夫ですよー!」


俺はこの人を信じる事にした。契約を結んだ後も吉川さんに会えないかなぁ……叶う筈も無い希望を願って。


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