第6話婚約者候補2
今日の婚約者候補の方は、少しきつめの美しい方でした。
そして、とても知的な方でした。
政治の事のとても詳しく、ナーバ皇子と、論戦になり熱くお2人は語っておいででした。
私にはさっぱり分からず、蚊帳の外の気分で、少し寂しかったです。
「お茶を貰える?」
その方が帰り、ナーバ皇子は最近私の横に座りお茶を飲むようになりました。
「どうぞ」
今日は何時もより甘めに淹れて差し上げました。
「流石ですね」
美味しそうに飲んでくれました。
「どうされました?なんだかつまらなさそうですよ」
「・・・はい。私には話がさっぱり分からず、もう少し政治的な事を存じ上げれば、ナーバ皇子のお話し相手になれたのかも、と思いました」
「おや。そんな事を思ってくれたんですね。でも、私にしたら」
そこで言葉を切り、指さした。
「その本はなに?」
「この国の美しい景色を描写している本です」
「何処かいい所があったかい?」
「はい。此方です」
私はここから、半日程かかる湖の写真を開いた。
「四季の景色がとても綺麗なんです。四季折々の花々、鳥、冬になると、雪というものが降るそうです。これです。真っ白でとても綺麗です」
「本当だな。知らなかった。この近くに行ったことがあるが誰も言わなかった」
「それは、残念ですね。是非、全ての季節にナーバ皇子と行ってみたいと思いました」
「私と?」
「はい」
そう思ったので、すぐに答えると、また、不思議な目で私を見た。
「サリア・・・。そうだな。それは、楽しいだろうな。私はサリアの方が物知りで素晴らしいと思ってる」
「私がですか?」
「ああ。女性が政治に参加するのはとてもいい事だと思う。これからは、違う考えも必要だ。だが、私の側にいてくれる女性は、私の知らない事を教えてくれる人がいい。サリアは、本当に本が好きなんだな。私は本番苦手だ。だが、本は、知らない知識を教えてくれる。貴女は・・・私の持ってない知識を沢山持ってる」
そっと私の手を握り、おでこに口づけをしてくれました。
「では、私はもっと本を読みます。そうしたらナーバ皇子の気に入る女性になりますか?」
「・・・貴女という方は・・・」
そっと抱きしめ、小さい声で、
「ええ。なりますよ」
と言って下さった。
その言葉はとても嬉しかった。
「さて、今日は散歩しましょうか。この間は仕事が終わらず出れませんでしたからね」
申し訳なさそうに微笑むと立ち上がり、私に手を差し伸べて下さいました。
でも、外は雨でした。
ナーバ皇子は、とても残念そうに空を見上げられました。
「あいにくの雨でしたね。今日はやめましょうか」
「どうしてでしょうか?雨でしたら、洋傘の中で、ナーバ皇子のお側に寄れます。私は、近くにナーバ皇子がいるのは嬉しいですけれど」
とても驚いた顔で、私を見ると、目を細め、今度は優しく微笑んだ。
「貴女はどこまで、私を困らせるんですか?」
そう言うと、口づけをして下さった。
その後散歩は、勿論行きました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます