エピローグ
最終話 安定期に入った僕の妻がマタニティードレスで誘惑してきてエロい
かくして僕と妻の過去と夢と未来を巡る冒険は幕を閉じた。
あれだけ波乱に満ちた体験だったが、結局得られたのは杉田と天道寺さんのIFの出会いということで、それはどうなのかと思ったのだけれど、まぁこれはこれでウケがいいかもしれないということで、結婚披露宴でのネタにさせてもらうことにした。
その後、僕と千帆は、次の日すぐに産婦人科に向かいエコー検査を受けた。結果は妊娠二ヶ月。経過は良好で、おめでとうと五十代くらいと思われる担当医から祝福された。ただし、僕と千帆が相当スケベなことをしているのもバレたらしく、安定期に入るまではなるべく控えるようにと釘を刺された。
とほほである。
見る人が見れば分かるものなのね。
そんなこんなでゴールデンウィーク明け。
会社に戻ってきた杉田は正式に結婚について社内でアナウンスした。
まぁ別に、全社集合でゲロる必要はないのだが、休むにあたり各部署に迷惑をかけたのもまた事実であり、一言お礼を言いたかったのだという。
とはいえ、おめでたい話にケチをつけるような小心者はおらず、彼の結婚報告は盛大な拍手によって迎えられた。また、この際、婚約者が有名な小説家――天道寺文であることを告げると社内が騒然としたが、彼のグループに配属された新入社員が空気も読まずに「え、あのどスケベな小説家が奥さんなんですか! めっちゃエロエロじゃないですか!」と言ったおかげで大変なことになった。
新婚一転エロエロ扱いかと、帰ってくるなり二人で屋上で愚痴ることになったのは言うまでもない。
ほんと、なんでこんなことになってしまうのか。
自業自得なんだけれどね。
嫁とスケベしすぎた。
まぁ、それから先は慌ただしいほどに時間が過ぎて、ついに迎えたのは2021年7月18日日曜日である。友引。微妙なお日柄ではあったが、この日僕たちは府内は港付近にある結婚式場に集まった。もちろん、杉田と天道寺さんの結婚式のためだ。
式は教会式で執り行われた。純白のウェディングドレスに身を包んだ天道寺さんと白タキシードを着込んだ杉田。画になる新郎新婦は、僕たち友人や会社の同僚、取引先の出版社の編集さんなどに祝福されてつつがなく式を進行した。
なお、天道寺さんはこの結婚式に黒髪ショートのウィッグを着用して望んだ。
メディアに露出するときは、基本的に金髪ロングだった彼女が、ボーイッシュな黒髪ショートで結婚式を挙げたのは、後にちょっとした話題になるのだが、僕たちだけに向けて語った、その理由というのがまた可愛らしいものだった。
実は、昔からこんな髪型が好きだったのだけれど、短く自然な色だとウィッグを付けているのが分かりやすく、付けたくても付けられなかったのだそうな。
「最近のウィッグは全然見た目から分からないの。すごいわよね」
と、彼女は披露宴の後に語ってくれた。
これに対して、金髪ロングの凜とした美少女が好きだった杉田は残念がるかと思っていたが、そんなこともなく、式の最中ずっと愛する妻を慈愛の籠もった目で見つめていた。もっとも、人生において一番愛し愛される日であるから、そんな目で見るのは当たり前なのかもしれないが、彼らが培ってきた愛情がタイムリープ如きでは覆すことのできない盤石なものであることを実感させてくれた。
さて、その後行われた結婚披露宴で僕が話した一連のスリープタイムリープについてのウケは、まぁ、そこそこだった。
怪しさ満点の会社名こと京都夢能力開発センターが悪い。拍手していいのか、それとも沈黙するべきかの半ばで締められたとき、これはしまったなと痛感した。
けれどもまぁ、新郎新婦は気に入ってくれたらしく、話を聞き終えるとうっすらと瞳に涙を浮かべていた。それだけで僕としてはわざわざあんな怪しい場所に行って、高い金を払った甲斐もあったなと思えた。
ということにした。でないとあまりに虚しいから。
宴もたけなわ。
結婚披露宴もつつがなく終わり僕たちは最後に中庭に出てブーケトスへ。幸せいっぱいの新郎新婦が投げた二つのブーケは宙を軽やかに舞って、一つは独身男子の群れへ、一つは僕たち共通の友人が集う場所に落ちる。
杉田の部下で独身の子がそれを手に入れる横で、どうしましょうかと目をしばたたかせたのは相沢だ。二人して新郎新婦に呼び出され祝福されるその姿は、まぁなんというか新しい出会いを感じさせたが――その独身男子はまだアラサーにもなっていない。お前その子とくっついたら、ショタだぞ相沢と、内心で僕は苦笑いをした。
まぁ、恋に年齢なんて関係ないのだけど。ただ、過去と違って現在の相沢が、ちゃんと僕ではなくて違う誰かを見ようとしているのに、少しだけ安心感を抱いた。
「いい式ですね。幸せそうです、文ちゃん」
「……あれ、志野さんってば、天道寺さんのこと文ちゃんって呼ぶの?」
「あれぇー、そうなんだぁー? 知らなかったぁー!」
「あ、はい。二人きりの時は基本そう呼んでますね」
一方で、志野さんはといえば、こんな時でもマイペース。
式の最中も、どこか落ち着かない様子で辺りを見回していたのは、きっと創作のネタにするためだろうか。
日本で一二を争うくらいに有名な女作家の結婚式を、はたしてどうやって自作に落とし込むのかは分からないが、聞けば児童文学に絞って公募を出しているとのことなので、スキャンダラスなことにはなりそうになかった。
挨拶回りに来た天道寺さんに編集紹介してよくらい言うかと思ったのだが、そんなことはなく、彼女は終始徹底して友人の幸せな結婚を言祝いでいた。なんというか、まぁ、呼び方だけは違うが、夢の中の志野さんそのものでちょっと安心だ。
とはいえ、もうちょっと周りの目に気を遣って欲しい。独身から既婚まで、多くの男性陣の視線を釘付けにするダイナマイトボディ。コバルトブルーのビスチェドールに身を包んだ彼女はたいそう妖艶で、途中、ドレスにあわやお酒をこぼすかとなり服がはだけかけた時には、多くの男性陣が前のめりになった。僕はもちろん杉田まで。ほんともう、たいした結婚式キラーである。
なお、式が終わり次第、僕も杉田もたぶん嫁にしばかれるだろう。(白目)
とまぁ、こんな感じで、杉田と天道寺さん――いや、杉田夫婦の結婚式は幸せの内の幕を閉じたのだった。
しかし、僕と千帆は今、抜き差しならない事態になっていた。
というのも――。
「あーちゃぁーん! はやくぅー! ブラのホック留めてぇー!」
「んもぉー! なんでフロントホックにしてこないんだよ! こうなることくらい予想できていたでしょ! ちょっとは学習しようよ!」
「友達のぉー、一生の一度の晴れ舞台なんだよぉー! 綺麗なブラジャーでー、挑みたいじゃなぁーい!」
「誰もブラジャーなんて見ないから関係ないよね!」
新郎新婦控え室。
別に、新郎でも新婦でもないのに、そんな所に入り込んだのには理由がある。
千帆が例によって、ブラのホックを外してしまったのだ。
どこかちょっとブラジャーを付け直すのに良いところ無いですかねと、結婚式場のスタッフに尋ねたところ、「今、新婦も新郎も出ておられますし」と、ここに通されてしまったのだ。なんでも両名の家族と記念撮影中らしい。
「したってちょっと不用心じゃないかな!」
「あーちゃぁーん、痛いよぉー! 妊婦さんなんだからぁー、もっと優しくぅー!」
「あぁ、ごめん千帆! ほんとごめん!」
けど、元はと言えば千帆が面倒なブラジャー着てくるからダメなんじゃないか。
別に誰にブラジャーなんて見られる訳でもないのに、綺麗なの着てくるからいけないんじゃないか。なんでそんなの気にするのさ。もう、奥さんで子持ちで妊婦のくせに、気にすることなんてありますかね。
まぁ、エッチな嫁だと僕は嬉しいですけれど。
僕は嫁がエッチだと、とても嬉しいですけれど。
けど僕のためだけにそんなおめかしまでしてくれなくてもいいかな。
という訳で、僕たちは新郎新婦控え室で、鏡に向かって押し合いへし合い。
深緑のワンピースタイプのマタニティドレスを肩からずらして半脱ぎになった千帆のブラを留めているのだった。
はぁーもう、ほんと結婚式じゃまず発生しないエロイベント。
そして、妊婦になってますますエロさ倍増。女の色気漂う千帆に、もうなんか友達の神聖な儀式だっていうのに、どうにかなっちゃいそうだった。
ほんと、僕の妻ってばどうしてこうもどエロいのかしら。
うふふしあわせ。(至福)
とかやっている場合じゃない。はやく、杉田夫妻が戻ってくる前に、着替えを終わらせなくては。こんな夫婦のむつみごと人にみせつけるもんじゃないよ。
そりゃ婚前に国家レベルで夜の営みをぶちまけた杉田夫妻は理解があるかもしれないけれど、そういう問題じゃないんだよ。これはこっちの気持ちの問題だ。
幸い、ブラは言うほど複雑な構造でも、胸回りに余裕がない訳でもなく、すんなりと千帆のぷにぷにとしていつまでも触っていたくなるたわわを収めてくれた。ほら出来たよ、後は自分でやってねと、マタニティドレスを直すのは彼女に任せた。
問題なくブラの上からマタニティドレスを着直して、ほっとしたため息を二人して吐き出す。千帆が振り返った拍子に目が合ったので、僕たちは少し見つめ合った。
まぁ、なんだ、本当にどたばたとした数ヶ月だったなぁ。
それもまた、ここにこうしてようやく終わった。
とはいえ今度は僕たちの出産なんかで忙しくなるんだろうけれど。
千帆は既に妊娠四ヶ月目。マタニティドレスをわざわざ購入しないと辛いくらいには、お腹周りがぽっこりと出てきている。経過は良好。ちなにみに子供は女の子だそうだ。名前はまだぜんぜん少しも考えていないけれど、できれば二人にゆかりのある名前を付けようと思っている。
ほんと、ここ最近プライベートが忙しくって、ろくに彼女のことをかまってあげられなかった。そして、彼女も妊娠中ということもあり、かまう余裕もなかった。
そもそも、はじめての千帆の妊娠はそれはもうトラブルの連続で、初産という不安もあったのだろう、彼女は大荒れに荒れた。もうほんと、そんな彼女を見るのは久しぶりというくらいに一時期やさぐれた。僕はそんな千帆を目の当たりにして、初めて彼女の我が儘を受けきれずに投げ出しそうになったくらいだ。だが、まぁ、なんとか家族や友人の助けを受けて、僕たちは関係を続けられている。
ずっと妻に付き添うなんて大見得を切った割には酷いザマだ。
いやはや、やっぱり夫婦というのは、一筋縄ではいかないね。
けどまぁこうして皆に助けられて、どうにかなっている限りは、やれるだけのことをやっていこうと思う。
まぁ、たらればなんて言うのは意味ないとは思うのだが、もし妊娠したのが今でなかったとしたら、僕は千帆のことをこんなにも親身になれていただろうか。あるいはあの夢での経験がなかったとしたら、僕たちはこうして手を取り合って、夫婦を続けていられただろうか。いられなかったとは言わないし、あれがあったから今があるとは言えないのだけれど、ただ、僕たちがこうして一緒に居るために必要な何かを、あの夢での経験は与えてくれたように思う。
「ねぇー、あーちゃーん?」
「なんだい千帆?」
「文ちゃんもぉー、杉田もぉー、幸せそうだったねぇー」
「そうだね。ほんと良い結婚式だった」
新郎新婦控え室なのだけれど、まぁ、まだまだ時間はある。この次の二次会の幹事をしている関係もあり、タイムスケジュールを把握しているが、あと三十分くらいは部屋に戻ってこない。少しくらいはくつろいでもいいだろう。
どたばたした日々の報酬に、妻とのささやかな平穏を貰った僕は、彼女の腰に手を回してそっとその身体をソファーに押した。そして、そのまま僕の膝の上に愛おしい女性を載せると、そのうなじに鼻を擦り付けてしばし香りを堪能した。
やーん、と、ちっとも嫌そうじゃない声が漏れる。
「もー、またそうやってぇー、くんかくんかするでょー。変態さんなんだからぁー」
「今日の千帆、良い匂いがする。香水使った?」
「そーだよぉー、ちょっとぉー、エッチな匂いの奴ぅー」
「だからなんでそんなの付けるのさ。誘惑するのは僕だけで良いでしょ?」
なんでって、決まってるでしょと千帆。
艶のある声と共に彼女はいきなり僕の膝の上でひょいと身体を翻すと、その大きな胸を僕の方に向けて来た。
体位で言うところの対面座位という奴。
そのおろしたての深緑のドレスを蠱惑的に揺らして、彼女はそのたわわな胸と膨らんだ腹を僕の身体に押し当てると、甘ったるい息を顔に浴びせてきた。
久しぶりに感じる彼女のエロチカな表情と姿に、たまらず僕の身体が反応する。そんな仕草を見逃さず、千帆は内股に脚を折ると、僕の身体にさらにその身体を密着させるのだった。
これは、ちょっと、休憩が休憩ではなくなってきたぞ。
というかいろいろとまずいのでは――。
「んふー、定期検診でねぇー、聞いちゃたのぉー。そろそろぉー、安定期なんじゃないですかぁーって。解禁してもいいんじゃないですかぁーって」
「……そ、そうなんだ」
「週に一回二回くらいならぁー、良い運動になるからぁー、大丈夫だよぉーって。これでぇー、なんの遠慮もなくぅー、いちゃいちゃできるねぇー」
「いや、けど、流石にここは」
断ろうとして、ぐいと彼女に身体を押しつけられる。
太ももか、それとも腹か。僕のそれを優しく包み込む、妻の柔肉に気がどうにかなりそうだった。実際、ここ数ヶ月という物、彼女の体調に配慮してご無沙汰だった僕の理性は結構やばいところに来ており、それでなくても妻のマタニティドレス姿に、興奮していないと言えば嘘になった。
あぁ、なるほど。
さては、千帆の奴、最初からこのつもりだったな――。
「んふふぅー! あーちゃぁーん、マタニティドレスなんてぇー、もう着る機会ないだろうからぁー、ちょっとぉー、乱暴にしてもいいのよぉー!」
「乱暴にって! 妊婦さんにそんなことできるわけないでしょ!」
「えー、けどぉー、あーちゃんのここはぁー、そんなことない感じだよぉー?」
「ちょっと! ほんと! 止めてよ千帆! だいたい、そんな道具もないのに! 妊娠中なんだから、清潔にしないといけないでしょ!」
「あー、やっぱりぃー、そうおっしゃいますかぁー」
そう言って、千帆。
僕のジャケットに突然手を突っ込んだかと思うと、まさぐりはじめる。襟の裏側にある内ポケットに手を入れた彼女は、その指先をつつと動かしてそれを絡め取った。
はたして、そこから出てきたのは、箱から小分けされた――。
「そんなバカな! 『0.02ミリうすうすくん』だと!」
妊婦さんとの仲良しには必須のゴムだった。
子供のためにも清潔にしなくてはいけない体内。
それを守るために、どうしてもこういうのは必要なんだよね。
性欲に素直になりつつ、やるべきことはちゃんとやるのが大人ってもんだ。
我慢しろって話なんですけれどね。
「ほらぁー、あーちゃんもぉー、期待して準備してたんじゃなぁーい! もぉー、本当にぃー、エッチなんだからぁー!」
「そんな、まさか、家の中で仕込んでいたのか! 千帆!」
さてどうかしらとあくどく笑う僕の妻。
その笑顔からしてエロい。そして、ゴムを手にして笑う姿もエロい。ついでに妊婦という特殊なシチュエーションで倍エロい。エロい、エロい、もうとにかくたまらないくらいに彼女は僕にモーションをしかけてきた。
さらに指先が僕の手を絡め取って、マタニティドレスに隠された部分に誘う。末広がりのスカートの先に隠されたそこに、太ももをなぞるように導かれれば、どうしたころだろうか、あるべき布の存在が感じられない。
「千帆、君、もしかして!」
「えへへぇー、お腹きついからぁー、脱いできちゃったぁー」
「脱いできちゃったって、そんな――」
「さぁー、あーちゃん、観念してぇー、私とぉー、いちゃいちゃするのだぁー」
ここでなくってもいいでしょう。
このあとでもいいでしょう。
まだにじかいあるけれど、そのあとでもいいでしょう。
明日はちゃんとお休み取るから。急遽有給取ってお付き合いするから。一個と言わず、コンビニで箱で買って、朝から晩までいちゃいちゃするから。
ここでなくってもいいでしょう。
そう言いたいけど、千帆は既に臨戦態勢。
僕に身体を預けてきている。
寄りかかってくる体重と体温、そして、鼻をくすぐる彼女の甘い体液に、もはや僕の中の獣は制御不能に陥っていた。
えぇい、もう、このエロ妻めぇ!
どうなっても知らないんだからな!
「ちゃんと、痛かったら痛いって言ってね? しんどかったらしんどいって言ってね? 君の身体のこと、僕は言って貰わないと分からないんだから?」
「はいはぁーい! わかったよぉー! もぉー、あーちゃんってばぁー、こんな時でもぉー、紳士ぶっちゃってぇー!」
「紳士ぶってるんじゃないよ、君がただ大切なだけ」
きょとん、と、千帆が一瞬真顔になる。
ありゃ、これはちょっと言葉を間違えたかなと思った次の瞬間、彼女の唇が僕の唇を奪っていた。情熱的な、むさぼるようなキス。応戦したくても、一方的に口の中をなぶられるような、そんな激しい愛情を向けられて、僕は目の奥がチカチカとした。
あぁ、もう、これはどうにもならないな。
「んふぅー! 生意気言っちゃってぇー! いじめちゃうぞぉー!」
「おてやわらかにね」
そう言って、彼女をソファーの上にひっくり返す。そのまま、背後から馬乗りになり、ぷっくりとした彼女の形のいいお尻を上に突き上げさせた。
やーん、と、また、千帆が嬉しそうな声を上げる。
苦しくないように、そっとクッションをお腹に差し込むと、僕はゆっくりと、彼女の可愛らしいお尻を撫でた。
そして、そこから、先ほど誘われたスカートの中に、手を差し込み――。
「いやー、失敗失敗。まさかスマホ忘れるとは。せっかくの記念写真なのに」
「しっかりしてよね、良平くんってば。って、あれ? 千帆に、鈴原くん?」
「……なにしてんだ、お前ら、こんな所で」
良いところで、突然新郎新婦控え室に入ってきた親友と鉢合わせるのだった。
うん。まぁ、そうですよね。
ここは本来君たちの部屋ですからね。
新郎新婦控え室ですからね。
今日の主役の君たちが、急に入ってくるのは仕方ないよね。
そして、こんなところで盛ってたら、そりゃそんなドン引きみたいな顔するよね。
助けを求めるように千帆の方を見る。
僕の方にお尻を突き出していた彼女は親友カップルの姿を見るや、開口一番――。
「やーん! あーちゃんのぉー、エッチぃー! こんな所でぇー!」
「……千帆ぉおおおおお!」
誤解を招くようなことを笑顔で言ってのけるのだった。
やれやれ。
エロい妻と家族やっていくのは大変だよ。
これ、子供ができたら、これからどうなっちゃうのかね。
まぁけど、それはそれで楽しそうだけれど。
そんな感じで。
僕と妻の、刺激的で楽しいどたばたとした日々は、これからも続くのだった。
【了】
☆★☆ 最後までお付き合いいただきありがとうございます。皆様のおかげでここまで頑張れました。この後、簡単なあとがきもありますので、よろしければお付き合いください。また、これも最後になりますが、面白かったら評価・フォロー・応援していただけるとうれしいですm(__)m ☆★☆
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