第12話 装備を買い換えよう!!
心子がログインできるのも週に二回と少ない。というわけで、今日はソロでモンスターを狩っていたのだが。
「<
俺は、ゴブリンを誘い出していた。自分が倒せるギリギリの体数で、一歩間違えれば負けかねない。スキルを発動させたあと、すかさずゴブリンを斬りつけていった。体を追い込めば、思ったより余裕を持って、敵を死に追いやれるらしかった。まだ限界は先にあるらしいな。
刺しては引き、刺しては引きを繰り返し、素早く倒していく。かなり順調だった。
だが、30体目くらいだっただろうか。ゴブリンに剣を突き刺した刹那、ふだんとは違う感触が体に染み渡った。
「剣が、抜けない…… いや、違う」
剣は、抜けないわけではなかった。恐る恐る抜いてみると、刀身の三分の一ほどが、ごっそり突き刺さったまま抜けなくっていた。剣は、折れてしまった。
残り10体ほど。折れてしまった剣で、かろうじて腹や胸を斬り裂いていく。徐々にゴブリンたちの動きが戻ってしまう中での剣撃は、余裕なんてありやしない。どうにか全てにゴブリンを傷つけられたというところで、<
断末魔の叫び声がやかましかったが、これは強くなるためだ。我慢しよう。ゴブリンたちはみな魔石に姿を変えてしまった。そして、突き刺さって抜けなくなった剣も、残念ながら消失してしまった。
「もう道具も替えどきってことか」
いや、よくこれまで初心者用の戦闘用具で戦ってこれたものだ。これまでがおかしかったんだ。攻撃手段が剣撃しかなかったものだから、<はじまりのけん>の作業環境はさぞかしブラックだったろう。無理をさせすぎました。すみません。
買い物も二回目になるのか。一回目は、モンスターを呼び寄せるための笛を調達した。支払いは<ゴールド>ではなくモンスターの亡骸、魔石で済ませた。今回も、持っている魔石で事足りるといいんだが。
***
「いらっしゃいませ」
受付嬢のNPCが、カウンター越しに無愛想にいった。<はじまりのむら>に戻り、ショップへと足を運んで今に至る。プログラムされた言葉を発しているので、どこか淡白だ。
「剣が壊れてしまったので、新しい武器に買い替えたいのですが」
「お客様はどの剣を使用されていましたか?」
「<はじまりのけん>です。現物も持ってきています」
そういって、アイテムボックスから取り出し、手渡す。
「スキルの方も確認させていただきますね。こちらに手を」
そういって、彼女は右側にある水晶のようなものを指さした。郵便局の受付のようなつくりになっているので、ちょうど手を伸ばして届きやすいところに水晶がある。指示通り手を重ねてやると、一瞬だけぼんやりと光りを放ったのち、さっと消えてしまった。
「確認しますね」
彼女はウィンドウを表示させ、俺のデータを見て思考を張り巡らせている。自分が何をすべきかを、必死に演算しているのだろう。
「<はじまりのけん>は、あなたの実力を鑑みるとかなり格下の武器だったようですね。<はじまりのけん>は、低いレベルの武器とはいえ、耐久性はかなり高いはず。それが壊れるというのは、なかなか珍しい話です。次は<ふつうのけん>をオススメします」
<ふつうのけん>、か。ウォーリアーズ・オンラインは、あまりレベルという概念を持ってくることがない。せいぜい初級〜上級といった大雑把な分け方が多い。誰しもが勝つチャンスを持った、このゲームではレベルはあまり意味を持つ数値ではないだろうか。
「他におすすめのものは?」
「カネヤさんは、スキルが強力なようですので、剣をそれほど強くしなくとも十分戦えると判断しました。これ以上強い剣を使うとなると、連続攻撃を得意とするカネヤさんの戦術に合わないと思われますが」
「じゃあ、はじまりの剣で」
「お支払いは?」
「魔石で」
「それでは、こちらのトレーの上に魔石を」
魔石は各モンスターに対してひとつしかドロップされない。モンスターごとに若干強さが異なるため、ひとつひとつの魔石に価値の誤差が生じる。ゆえに、「魔石何個」という基準では変えないようだ。
今日の討伐の8割ほどの魔石を費やし、剣をゲット。数百体倒したとはいえども、あくまで<はじまりの草原>のモンスターだ。そこから取れる魔石の価値は、さほど高くないということか。
「ご利用ありがとうございました」
いい値を張ったんだ。この剣には、活躍を期待したいものだ。
最強装備【魔神の眼鏡】ならVRMMOで全サーバー1位は余裕です〜Warriors Online〜 まちかぜ レオン @machireo26
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