俺が三年前にたまたま助けた美少女が、高校の後輩になって、家事全般、勉強、運動すべて非の打ち所がないのだが、ただ一点俺への愛情表現が異常すぎる件について。
第15話 そうだ京都に行こう!?の件について②
第15話 そうだ京都に行こう!?の件について②
◇◇◇回想◇◇◇
七月某日。期末試験も終わり後は夏休みが来るのを待つばかりと言うときに俺、
エミリー
「エミリー、なんで俺の家なんだ?」
「えっ、そんなの、
何言ってんの? と言わんばかりの顔を俺に向けてくる。そうなのか? 俺としては他のところでもこのメンツなら集まれると思うが・・・・・・って言うか、学校なら全員集まれるだろ。
「んで、エミリー。話って何?」
辰弥が軽い感じでエミリーに聞いた。こういうときに素直にこういうことが聞けるこいつをすごいと思うのは俺だけか? こんなわけのわからない会を開かれてるんだぞ? 俺が異常なのか? 友達が多いやつとかってみんなこんな感じなのか?
「ふっふーん、実はねー」
一瞬間をつくってポケットから何かをとりだした。
「じゃーん! 二泊三日の京都旅行! どう、どう、どう!」
両手で何かのチケットのようなものを前に突き出しながら(ちなみに俺たちはエミリーが目に立っている状態で座っている)笑顔を向けてくる。
いや・・・・・・どうと言われても。へー、ふーん、そうなんだ、くらいの返ししかできないんだけど・・・・・・
「おーすげーな」
「エミリーさん、すごーい」
「エミリー先輩、すごいですね」
「エミリーちゃん、すごいね」
だが、どうやら他のやつらは違うみたいだ。全員が一斉にエミリーに「すごい」と言っている。どうしてそんなことが言えるんだ? お前らは気にならなのか? いきなり呼びつけられた(俺は自分の家なので呼びつけられてはいない)あげくに、おかしなことを言われてるんだぞ。
「亮ちゃんはどう思う?」
「お、おー、すごいな」
まだ頭の整理ができていない。京都に旅行に行くんだな。行ってらっしゃい。お土産は別にいいや。まぁ、楽しんでこいよ。
「でも、びっくりしたよ~。絶対に当たらないだろうなぁ、って思ってた
夢見る少女のような言い方でエミリーが何かを言った。俺には何も聞こえなかった。ここにいる人数分の旅行が当たったなんて聞いていない。
「先輩! ハネムーンですよ、ハネムーン!」
「そ、そんなんじゃないでしょ! ただの旅行でしょ! ね、お兄ちゃん!」
「そ、そうですよ!
「亮祐、お前やっぱり面白いな」
「辰弥・・・・・・なんとかしろ・・・・・・」
「亮ちゃん、ガンバ!」
「エミリーが一番悪い」
「えー、なんでー」
「えー、なんでー」じゃねぇよ! 普通の女子で行けよ! どうして俺が巻き込まれなきゃ何ねぇんだ! 絶対面倒なことになる・・・・・・
◇◇◇回想終了(閑話休題)◇◇◇
ということがあった。ちなみにエミリーが俺たちのところにこの話題をもってきたのは、久しぶりに帰国してきたアユのためらしい。
確かに四年ぶりの日本だ。どこか日本らしいところに連れて行くべきだと思うのは普通だろう。まぁ、それをエミリーが提案した子とは特段驚くべきことではない。
俺たちの事情を知っていた数少ない人物の一人であり、なおかつ明るめの女子となると仲良くならないわけがない。アユにとってエミリーは姉のような存在なのかもしれない。(アユが未だにエミリーさんと言っているのは気になるが。エミリーが元々あだ名なのに、それに「さん」をつけるか?)
「次は京都、京都」
新幹線のアナウンスが聞こえてきた。俺たちは次々に荷物の用意をし始める。
あぁ、また大変なんだろうな。どうにかしてこれを乗り切らねば。
これから俺たちの新たな冒険が始めるのであった、みたいなことを言っておく。
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