俺が三年前にたまたま助けた美少女が、高校の後輩になって、家事全般、勉強、運動すべて非の打ち所がないのだが、ただ一点俺への愛情表現が異常すぎる件について。
第5話 鈴花と妃菜が面倒なことになっている件について③
第5話 鈴花と妃菜が面倒なことになっている件について③
「・・・・・・なるほど、で
「
人の話のどこをどう聞いたらそうなるのか聞きたい。聞いたところで、意味がないことは俺も知っている。
俺はさっきまで書道部顧問の和泉
一応、二人のことを紹介しておこう。
和泉先生は性別的には女性だ。ロングヘアとその容姿からしても女性にしか見えない。だが、一度口を開けば飛んでくるのは強い言葉ばかり。さらに行動も男勝りのものが多い。校内で煙草を吸っているところを度々見かける・・・・・・やめろ、って言ってるのにやめないのが不思議だ。もうそろそろ職を辞めさせられるぞ・・・・・・
鈴花の方は大体説明したよな。俺との関係は説明したとおりで、今俺の目の前で驚きの顔をしているのが鈴花だ。長めのポニーテールがいつも書道の邪魔なように見えて仕方がないが、本人曰く「前に、亮祐君に似合ってるって言われたから・・・・・・」だそうだ。俺の発言力って強いのか?
普段はおとなしい性格だが、ここぞというときの行動力はすごい。(さっきの大声みたいに)代謝がよほどいいのかいつもほんのり顔を赤くしている。人それぞれなんだろう。
「えーと、
「もちろんです! 全くのでたらめです!」
ここは裁判所か何かか? ならばおそらく、今からお前が言おうとしていることは採用されないだろう。
「私は妻で、相思相愛です! 一緒に住んでますし、今日もこの後ヤル予定です」
「嘘をつくな・・・・・・」
「本当じゃないですか!」
「真実のかけらもない」
俺の方を向いて熱心に言ってくる
和泉先生、なぜ妃菜に話を振った? 虚言癖の塊にこんなことを聞いても仕方がないだろ! それとも何か、俺の精神を壊そうとしているのか?
「確かにヤリそうではあった」
「和泉先生まで・・・・・・」
「クソッ。まさか嘉神に先を越されるとは。どうする? どうする、私。大丈夫だ。まだまだ三十路に入ったばっかり。これから、まだまだいける・・・・・・」
何やらブツブツ言っている。確実に地雷を踏んだな。俺のせいではないぞ。これは完璧に妃菜のせいだな。あぁ、これはいつもの泥沼パターンだ・・・・・・おそらく昨日も合コンが失敗したのだろう。
「りょ、亮祐君、嘘なの?」
「嘘に決まってるだろ」
「はぁ」とため息をつきながら、俺は鈴花に答えた。
「そ、そうだよね」
鈴花は言葉通り、胸をなで下ろした。まぁ、驚くよな。今まであまり驚かなかった、
「
一安心していた鈴花に妃菜がかみついた。
エミリーのときもそうだが、お前は人のことをそういう風な目でしか見られないのか? 一言言っておくが、今のところお前が一番阿婆擦れであり、ビッチだぞ。
「あ、阿婆擦れじゃないし!」
顔を赤くして、手に握りこぶしを作りながら鈴花が大声を出した。
「妃菜、よく初対面の人にそんなことを言えるよな」
「先輩、騙されないでくださいね。こういうちょっとおとなしそうな人が夜はすごいんですから」
「りょ、亮祐君! ち、違うよ! そんなことないよ!」
「動揺してますよ、先輩!」
「そりゃそうだろ」
「亮祐君、私、一途だよ」
もう何が何だかさっぱりわからなくなってきた。妃菜は得意げな顔をしているし、鈴花は今にも泣き出しそうだ。俺は俺でこの状況が飲み込めなくなってきた。
いったん整理しよう。妃菜が鈴花のことを「阿婆擦れ」と呼んで、それに対して鈴花が「違う」と言った。ここまでは俺も大丈夫だ。
問題なのはそれから先だ。まず妃菜の「騙されないで」は誰にだ? まぁ、流れ的に鈴花のことだとは思うが、一体全体騙されるとはどういうことだ? 俺からしてみれば、妃菜の行動に騙されないようにするのが大切なのだが。
それで、いったん「夜はすごい」は置いといて(妃菜の妄想のため)、鈴花の「一途」に対して俺はどう反応するのが正解なんだ? 別に俺に関係ないし、「へぇ」で済ませていいのか? それとも「そうなのか!」みたいな返しがいいのか? 反応に困るようなことは言わないでくれ・・・・・・
「嘉神、お前面白いことになってきたな」
「・・・・・・辰弥みたいなこと言いますね」
一番楽しそうですね! そりゃよかったですよ!
今も妃菜が鈴花をにらみつけて、鈴花の方も頑張ってにらみ返している。誰か、助けてくれ・・・・・・
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