第1話ー2
「どっせ~~~~~~~い」
カルマちゃんが振るった俺様は薪割りの要領で大きく振りかぶってから、振り下ろされて地面を砕いた。
今の俺様はハルバード、長い柄があって、その先に大きな斧状の刃が付いた武器である。
しかも全身クールな特殊合金製。
その重量はなんと100㎏越え。
キャッ、恥ずかしい乙女に体重を聞かないで。
とか冗談はさておき、そんなもんフルスイングしたら冗談抜きで地面が割れる。
地面を叩き割ったカルマちゃんは今度はバーベル上げのように俺様を持ち上げる。
「どかーーーーーーーーん!」
何故かカルマちゃんの背後で爆発が起きた。
そして宙を舞う悪漢3人。
「ぐへ」
「どぎゃ」
「へぶし」
地面に落ちて積み重なる悪漢3人。
どうやら生きてはいるようだ。
「大丈夫だよ。
いや、みねうちでも死ぬからね。フツー。
「あぁ、ありがとございました。危ないところを助けていただいて」
悪漢に追われてい居た女性がカルマちゃんが勝ったのを見て戻って来た。
1人で逃げようとしていたくせにゲンキンなヤツだ。
「ホッホッホッ。当たり前のことをしただけじゃよ」
あ、まだ続くんだ水戸黄門ごっこ。
「して、お前さんは何故追われていたのじゃ」
女性はカルマちゃんの演技に若干引きながらも答えてくれた。
「実は私は売り子としてある商隊に同行していました」
そう語る女性はスラリと細身で背が高い。
髪の毛は長くしなやかさを感じさせる金髪のストレート。
緑色の瞳をしていて肌はとても白い。
そして何より目を引くのがオッパ――――じゃなくて、金髪の間からのぞく長く尖がった耳だろう。
「つまり彼女は――エルフ」
「ザック、何興奮してんの」
「なにも、――何も興奮してませんけど」
そう弁明するけどカルマちゃんがジトーとした目で俺様を見つめてくる。
「……………………………………………………」
「……ザック、ゲーミングデバイスみたいに光ってるよ」
「えっ?マジで。――うっわ、マジで光ってる」
赤だけじゃなくって青や黄色のグラデーションに俺様のパーツのつなぎ目が光っていた。
「…………この前の改造でヴァージョンアップしたんだけど、…………………………………………ふ~~~~~~ん、やっぱりザックもおっきなオッパイが好きなんだ。」
「そこは断じて否‼」
説得力はないかもしれないけど、ハッキリと言っおこう。
「ハッキリ言っておこう。俺様はエルフというファンタジーな存在に興奮してるだけで、決して大きなオッパイに興奮してる訳ではない。むしろオッパイはカルマちゃんのが好きだ」
「………………ザック、おっきなオッパイのこと言う時光が強くうなっているよ」
「マジで!」
「まぁ、私のオッパイについて叫んだ時の方が光が強かったから許しますけど。――エッチィのはメッです」
「はい。――すみません気を付けます」
「あの~~、それでお話続けてもいいですか」
その声で振り返るとオッパイを腕で隠すようにしながら顔を赤らめた女性が居た。
「あっ、すみません。私はカルマ。こっちは相棒のザックです」
カルマちゃんが自己紹介をすると女性は少し警戒をといて。
「……その、わたしはトーンと言います」
と、自己紹介してくれた。
「それで商隊にいたあなたはどうして彼らに追いかけられていたのです」
と、訊ねると。
「北の町で商いをして、ベーカリーの町に戻る途中でした。この峠に差し掛かったところ突然さっきの奴らを含む盗賊に馬車が襲われたのです」
「ふむふむ、この道はよく使うのですか」
「はい」
「それで今迄盗賊が出るという話はあったりしたのですか」
「いいえ、そんな話は聞いたことがありません」
そこで俺様は話に割って入ることにした。
「そんなことより、襲われた馬車の方はほったらかしでいいの」
「……はぁ!そうでした」
カルマちゃんは忘れてたと叫びながら天を仰いだのだった。
そこにカルマちゃんめがけて氷の槍が三本飛んできた。
「――――フッ」
ガン、ボキ、パリーン。
俺様の好感度センサーがとらえた攻撃の音をカルマちゃんに素早く伝え、カルマちゃんは危なげなくその奇襲攻撃を俺様で撃ち落とす。
「ふっふ~ん、残念でした。奇襲攻撃は失敗だよ。隠れてないで出ておいでよ」
カルマちゃんのそのあおりを受けて敵は逃げることなく、茂みをガサゴソ言わせながら俺様達の前に現れた。
そいつはフードを被った奴だった。
俺様のセンサーが精査する。
このフードの敵以外に隠れてるやつはいないようだ。
「……………………………………………………」
フードを深くかぶっているので人相は見えないが何かをつぶやいている。
「へ~、魔術師かな?一人でやろうって言うんだ」
カルマちゃんはその敵のつぶやきを呪文と思ったのか、俺様を構えて臨戦態勢を取る。
だが――
「ごめんなさいでした~~~~~」
フードのそいつは即座に土下座して謝った。
「…………へ?」
カルマちゃんはあっけにとられているけどコイツは。
「ボクです。テクスチャです」
目深にかぶったフードを取ったそいつはとても見知った顔だった。
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