第7話ー1 創るものあれば、壊れるものもある。

「ダンジョンの中は湿地帯になってないね」

 カルマちゃんの言葉の言うように、ダンジョンの中はお城の外観通りの内装だった。

 赤いカーペットが敷かれたエントランスには弧を描いた階段があったりする。

「それに外観よりも中の方が広そうだね」

「ロッキーさーん、解説お願いします」

「ザックよ、オジサンを便利に使うなよ」

「でもこの中じゃ一番ベテランで詳しいんだろ」

「しかたないな~」

 頼られてまんざらでもない様子のロッキー。

「まずダンジョンには環境依存型と異界型の2タイプがある」

「今回のは異界型になるんですか」

「そうだな。こういう異界型は他所からやってきた魔物がダンジョンコアを創って生まれるものが大体だ」

「は~~ん、それじゃぁ環境依存型は?」

「土地に穢れが溜まって自然とできるダンジョンコアを中心に魔物の巣窟になる場合だな」


 なるほどなぁ~~~~、って俺様が思っているところでカルマちゃんが首を傾げる。

「どうしたんだいカルマちゃん」

「いや、それだと人間とかがダンジョンを作り出すこともあるのかなって」

 ああ、なるほど。

 環境破壊とかで穢れが溜まってダンジョンになるとかか。

「いいところに目を付けたな嬢ちゃん。そう、人が作るダンジョンもある。例えばここより北にある、エトフの町には洞窟をダンジョン化させてシイタケを栽培しているヨシダさんというダンジョンマスターが居る」

 ガクッ。

 いや、それはダンジョン?

「ヨシダさんの造るダンジョンで栽培されたシイタケは絶品らしくて、王宮にも献上されているらしい」

「それは食べてみたいかも」

 食い気マンマンのカルマちゃんとどこまでが冗談なのか分からないロッキー、この会話何処に向かうの?

「まあヨシダさんの話はこれくらいで、嬢ちゃんが聞きたいのはこういうのじゃないだろ。」

「そんなこと無いですよ。美味しいダンジョンのお話はもっと聞きたいです」

 カルマちゃん、それ美味しいの意味違うくない。

 そういえば、貴重、ないし良質な資源が取れるダンジョンは管理されて維持いると言っていたっけ。

「それでもザックはあきれているぜ」

「ロッキー、お前分かんのか」

「ザックは表情に出やすいんだよ」

「俺様顔ないけど」

「ははは、顔はなくても表情は出てるぜ」

「……マジか」

 そう言えばテンション下がった時にアクセのとげとげがしんなりしていっるって言わっれたことあるな。

 感情が表に出ないよううにした方がいいかな。


「それで、人間が作るダンジョンてのは悪い意味でのものもある」

 改めてロッキーが語る。

 この間にただだべている訳じゃなくて、

 このエントランスの拠点化と退路の確保を行っている。

 とは言え、退路は入ってきた正面の扉になるのだが。

「例えば魔術師が創ったダンジョンなんってものもあったり、人間そのものに穢れが溜まって盗賊の住処がダンジョンになることもある」

「あぁそういう場合もあるんですか」

「その場合、魔術師や盗賊は人間扱いされるのか」

「まあ大体人間扱いされないらしいな。実際に人間やめてたりするらしいし」

 まぁそうなるわな。

「それで、このダンジョンはどのタイプなんですか。」

「まぁ、立地と景観から他所から来た魔物がダンジョンを創ったってところかな」

「それってどうしてその魔物は他所からわざわざやって来てダンジョンを創ってるんでしょう。」

「ん?う~~ん。そういうのって考えたことないけど、勢力を拡大させようとか、どこかで潰されたダンジョンの大物が逃げ延びて来てってところじゃないか」

「なるほど。ならば出来立てのダンジョンなら」

「まあそんなに脅威にはならんよ」


 その後、ダンジョン前で狩ったビア樽フラッグを調理して昼食にしてからダンジョンの探索に出ることになった。

「まずは1階の調査からしていこう」

 そういうロッキーの言葉に皆賛成して1階を回ることに。

 ダンジョンの内部はどこもかしこも赤い絨毯が敷かれている。

 それは廊下でもそうであり、窓際カーテンともども綺麗なままである。

「廃墟て感じじゃないだね」

「なんかお宝とかあったらいいね」

 道中カルマちゃんとリンがそんな話をしながら歩くところを、

「2人とも、遊びじゃないんだぞ」

 とテクスチャに注意されて2人でごめんなさいしたりしながら探索をする。

 そうしているとついに魔物とのエンカウントが発生した。


 カチャン!ガチャ!ガチャリ!


 という音をさせながら中身がカラッポの甲冑が歩いて来た。

 カルマちゃんがハルバードにした俺様をお構え手前に出ようとしたら、

「ちょっと待ってくれ。あいつはリンに相手させたい」

 と言ってロッキーに止められた。

 それは目の前にいる魔物の魔力が少ないからだ。

 俺様の計器も魔物の魔力量を計則出来るように改造されていて、それによれば魔力量は普通の人間で10ぐらいとして、こいつはたったの18。ふっ、雑魚だな。

 その為にロッキーはリンにこいつの相手をさせようとしているのだ。

 リンはカルマちゃんの次に若い。

 つまりは駆け出しだということだ。

 装備もまだまだ駆け出しらしく貧相なものだ。

 皮のシャツに革のレギンス、丸い盾に片手剣。

 どれも初期装備感が満載で新品感が漂っている。

 それで、駆け出しのリンちゃんに戦闘経験を付けさせるために、雑魚で単体のコイツの相手をさせようというわけだ。

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