第6話ー5
さて、今回パーティーを組んだのは、ロッキーをリーダーに仲の良い5人組にゲストでカルマちゃんが入る形である。
フロントを務めるのはリーダーのロッキーと、
「おうよ」
ゲストのカルマちゃん。
「ドカ―――――ン行くよ」
なんか表現がちょっと違う。
それと片手剣と盾を装備したリンという女の子。
「よろしくお願いします」
「よろしくねぇ~~」
とカルマちゃんとハイタッチする陽キャだ。
ショートカットの青い髪の女の子でパーティーの中ではカルマちゃんの次に若い感じだ。
次にフロントガードを務めるタンク役が――
「あ、あの。カルマ様、俺ともハイタッチいいですか」
「いいよ~~~。いえ~~~~~~い」
「いえ~~~~~~~~~~~~い♡」
あの怖い顔していたカルマちゃんのファンの男である。
デカい体に目の部分が額の陰で隠れるいかつい顔をしていて、モヒカン刈りの男なんだけど、膝をついて顔を赤らめながらカルマちゃんとハイタッチしようとしている。しかし、身長、というか座高の高さでかなり高い位置に手がある。
しかし構わずカルマちゃんはハイターーッチ。
嬉しそだなクリート。
コイツはクリート。カルマちゃんが販売したジェラルミンの盾に魅せられて、制作現場を覗いたらカルマちゃんに惚れたガチファンである。
今のところ節度は守ているからストーカー認定はしてない。
そして後衛は。
「はわわわわわ~~~~~~」
なんて言ってる回復役のプリースト。
大丈夫かこんな奴に回復役任せて。
名前はクリス。
俺様は最初は男だと思ったが女らしい。
女だとすると庇護欲を誘うが男ならウザかっただろう。
それとソーサレスの男。
名前はテクスチャというらしい。
「ボクは慣れ合うつもりはないからな」
とか言う生意気なガキだ。
とりあえず、パーティーの紹介はこれくらいでいいだろうか。
今回俺たちはリーグの町の北にある森林を迂回してその北東にある湿原地帯に向かった。
道中はロッキーの用意した竜車で快適に進むことが出来た。
移動日数は約2日。
道中で1泊野営をすることになっていた。
「みなさん、おっはようございま~~~~~す!」
朝日が昇るころ、カルマちゃんの元気な声がみんなを目覚めさせる。
「う~~~~ん、おはよう、カルマちゃん」
「おはようリンちゃん」
「おはよう。嬢ちゃんは朝から元気だな」
関心したように言うロッキー。
野営の順番はカルマちゃんが最後で朝日が昇ればみんなを起こす約束になっていた。
「それにしたってうるさすぎないか」
ガキンチョがカルマちゃんに文句を言う。
「挨拶は大事ですよ。偉い人も言っていました。『挨拶は基本だ。できない奴は認めてもらえない。』てね」
「っち、つまりボクは認めてもらえないってことか」
なんて悪態をつくテクスチャ。
目深にかぶったローブの中から舌打ちも聞こえた。
こんガキが、一回シメちゃろか。
俺様がそう思っていると、カルマちゃんは笑顔でローブを覗き込んだ。
「だからちゃんと挨拶しよ。ほらローブを取って」
「あっ、おい」
カルマちゃんがローブを取ると、中から淡い緑色をしたくせっ毛と、ねじれた鋭い角を生やした顔が出て来た。
「み、見るなぁ~!」
テクスチャは急いでローブをかぶりなおすと荷車の隅に逃げてしまった。
「え~、なんで~。カッコいいのに~~」
「カッコいい?何を言ってるんだ。お前は不気味に思わないのか。」
隅にうずくまりながら睨みつけてくるテクスチャにカルマちゃんは満面の笑顔で返す。
「なんで?」
「何でって角生えてるんだぞ。悪魔みたいで気持ち悪いだろ」
「そんなことないよ。耳や尻尾が生えている人たちだっているんだよ。角だってカッコいいじゃない」
「何言ってんだ何言ってんだ、変だぞお前」
テクスチャは一層深くローブをかぶると、
「ボクにかまうな」
そう言ってカルマちゃんを拒絶した。
「ねぇロッキー、テクスチャちゃんは――――」
カルマちゃんがロッキーに訊ねてみると。
「あいつはな、半魔族って言う魔物の悪魔に似た角のせいで差別されてきたんだ。だから俺らともほとんどしゃべらないんだ。だけど、悪いやつじゃないから気長に付き合ってやってくれよ。」
「おうっす」
取り合えず、テクスチャのことはそっとしておくことになって、カルマちゃんは他のメンバーとも挨拶を交わしていく。
「ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、何なんだあの女。ボクがカッコいいだって。そんなのありえない。おかしいよアイツ。ホントにありえない――――」
何てぶつぶつ言ってるテクスチャのつぶやきを俺様の高感度センサーは拾っちゃってるわけですけどね。
ともあれ、
皆が起きてから朝食を取って出発となった。
が、
その日は1日中、テクスチャがカルマちゃんを睨むように見つめていた。
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