第6話ー4
さて、それから3日間はカルマちゃんは魔物図鑑で北の湿原地帯にいる魔物を見繕ったり、俺様の改造をしたり、カルマちゃんの義肢の方も湿原仕様にチューニングしたりして準備をしてきた。
しかし、俺様の改造は大丈夫なのだろうか。
「俺様で魔力運用?」
「はい。武器作りなどで試してきましたが本格的に実用化を兼ねた試作機にするつもりです」
「それを俺様でするのかい」
「はい」
正直不安である。
カルマちゃんの才能を疑ってはいないが、こういう時のお約束は爆発オチだろ。
「爆発オチなんて最低ーーーーーー。なんてことにはしません」
「……どっかーーーんいかない」
「いえ、どっかーーーーーんはしに行きます」
「それが恐いんじゃん」
俺様が身の危険を感じて叫んでいると。
「ザック、ザックは何でハルバードなのかわっかってないの」
「俺様がハルバードな訳?俺様がハルバードなのには意味があったのか」
「そんなのでっかい武器を振り回してでっかい魔物を吹っ飛ばしたりどっかーーーーーーんしたかったからだよ」
「そんな理由で俺様ハルバードなの」
「私はハルバードが好きだ」
カルマちゃんは胸を張って叫ぶ。
「やめろ。やめるんだショッ〇ー。改造は良くない」
しかし俺様の叫びは虚しく聞き流される。
「私はでっかい武器を振り回すのが好きだ」
確かに、カルマちゃんみたいな小さい女の子がでっかい武器を振り回してるのは絵になるけど。
「大事なことだから2回言う。私はでっかい武器を振り回すのが大好きだ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。」
「分かりました。そんなに言うならどっかーーーーーーんさせてください」
てなやり取りがあったりした。
結局俺様に魔力の運用をするための追加モジュールを組み込まれた。
「爆属性付与、上手くいってるといいな」
カルマちゃんがキラキラした目で俺様を見つめてくる。
やめて。
そんな目で俺様を見ないで。
どうか敵をどっかーーーーーーーんするだけで済みますように。
「お~~~~~い嬢ちゃん。準備はできたか~~」
俺様が改造され終えて準備が整ったところにロッキー達がやって来た。
「はい。準備万端。どんな魔物でもどっかーーーーーーーんして見せますよ」
「お、頼もしいな。ってザック元気が無いな」
お前俺様の気分が分かるんかい。
「いや、なんか端っこのとんがりがしんなりと垂れているから」
「どうぞ、気にしないでください」
「無茶言うなって。ザックは嬢ちゃんの武器だろ。それが調子悪いなんて見過ごせない。嬢ちゃんの命はお前が背負ってるんだぞ」
ロッキー。
やべーーーーーーー。
ちょっときゅんと来ちゃったじゃないか。
くそう、コイツに心配されるようじゃ漢ザックカリバーの名に恥じるってものだよ。
「ははは、問題ないね。俺様パーペキ。むしろお前さんの出番がないところだよ」
「おっ、言ってくれるねぇ~。俺様だってかっこいいところ見せてやるぜ」
「ははは、短足がかっこいいところを見せれるのかよ」
「たたた、短足ちゃうわ。胴が長いだけだ。そういうお前だって武器だからカルマちゃんがいないと何もできないだろうが」
「なにお~~~~~~、貴様、言ってはならんことを~~~~」
なんて言い合っていたら。
「ははは、2人とも仲いいね」
なんてカルマちゃんに言われた。
そういうのやめてくれ。
ダンジョンの攻略、それは町の平和のためには優先的に行わなくてはならない事業である。
町の近くにダンジョンが出来たりすれば町の事業団からギルドにダンジョン攻略のための予算が作られ、冒険者たちに対しての仕事の斡旋が行われる。
最終目標はダンジョンのコアを破壊することでダンジョンを消滅させることだ。
しかし稀にダンジョン内で有益な資源が取れることがあるダンジョンなどが生まれることもあるので、そういう場合はダンジョンから現れる脅威に対して戦力を常駐させて管理することもある。
しかし、今回のダンジョンは町に脅威が及ぶことが多いこともありよほどの資源が無ければ即時破壊する方向になっている。
そしてロッキーが受けた仕事はこの攻略が進むまでの敵情視察を兼ねた魔物退治であった。
「私たちでダンジョンを攻略しちゃわないの」
そういうカルマちゃんの質問にロッキーは頬を掻きながら答えた。
「ははは、これが勇者のパーティーなら初見で攻略しちまう者もいるかもしれないけど、俺達じゃ荷が重いよ」
「勇者ですか。その勇者ってどういう人たちですか」
「何らかの神様に選ばれて、加護を授かった者を勇者って呼ぶそうだ。俺は会ったことが無いが人間離れした強さらしい」
「へぇ~、神様に勇者ですか」
あ、カルマちゃんがまた興味を持っちゃたよ。
「カルマちゃん。今はダンジョンに集中しようね。魔力のこともまだ調べたいんでしょ」
「おっと、そうでしたそうでした」
ジュルリとよだれでもたらしそうな顔をしていたカルマちゃんは顔を引き締めて宣言した。
「それじゃあ、ダンジョンにレッツゴー」
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