第23章 合同夏合宿三日目編
第147話 伊達魔冬を想う者達
【合宿三日目の朝】
今日の昼からは合宿参加メンバーにとって待ちに待った?徳川邸敷地内にあるプールを使用する日だ。
通称『男子四天王』の羽柴陽呂さん以外の三人は前の日から興奮してあまり眠れなかったみたいだな。
まぁ、普通の男子ならそうなるよな?
学園の人気上位の女子達の水着姿をを見れるんだからな。
それに俊哉なんかは片思いをしている陽菜さんの……それも学園一と言われているあの巨乳を間近で見る事ができるんだから興奮するのも仕方がないよな。
そんな俊哉は充血した腫れた目で俺に話しかける。
「は、は、颯!? お、俺、昨夜は全然、眠れなくてさぁ……」
「ハハハ、それは大変だったな? それにしても俊哉の目、凄く腫れていて充血もしているから早くその腫れだけでも治さないとプール禁止って言われかねないぞ」
「なっ!? そ、それはヤバイな!? 俺、しばらく冷たい水で顔を洗い続けているから朝飯は止めておくよ!! それじゃ洗面室に行って来る!!」
「ん? 俊哉のやつどうしたんですか、颯さん?」
「ああ、直人……俊哉は腫れた目を治す為に顔を洗いに行ったよ」
「ハッハッハッハ!! あいつ今日のプールの事を考え過ぎて全然眠れなかったらしいですからね。ほんと女子の水着姿を見慣れていない奴はこれだから困りますよ~」
「おい、井伊直人? お前、鼻血はもう止まったのか? 昨夜はずっと鼻血を出していたから出血多量で死んじまうかと思ったぞ!!」
直人、お前も俊哉と変わらないじゃないか!?
「う、う、上杉カイト!! お前、颯さんの前でそんな事を言うんじゃねぇよ!! 俺に恥をかかせる気なのか!?」
俺は直人の鼻の下が若干赤いのが気になっていたから謎が解けてスッキリしたぞ。
「フフフ……俺は竹中師匠の一番弟子として本当の事を師匠にお伝えしただけさ」
「な、何が一番弟子だ!? 俺は認めていないぞ!!」
うん、俺も認めていないけどな。
「朝から騒がしいわねぇ? あら、竹中君おはよう。今日も早い時間に来てくれたのね?」
「春日メイド長、おはようございます。はい、そうですね。男子のアルバイトは俺しかいないですし、荷物を運んだりする作業も結構ありますから……」
「フフフ……助かるわ。それと今日はこの子達、プールを使用するから竹中君には『監視員』をお願いするからよろしくね?」
「えっ、俺が監視員をやるんですか?」
「まぁ他に男子のバイトがいないって事もあるけど、竹中君が適任だと思うわ」
「そ、そうですかぁ……分かりました……」
「おーっ、良かったじゃないか、颯!! 泳げなくても俺達と一緒にいる事ができるって事は……お前も男の浪漫を……イヒヒ……」
俊哉、変な笑い方をしないでくれ。
「みんな、おはよう。颯君もご苦労様」
「おはよう……昨夜は黒田先生とゆっくり話はできたのかい?」
「うん、できたわよ。お互いに驚く様な内容もあったけど楽しかったし、とても打ち解けた気がしたわ」
「そっかぁ……それは良かった……」
お互いに驚く様な内容かぁ……どんな内容なんだろうな?
まぁ、聞いても教えてはくれないだろうけど……
俺が一番気になるのは伊緒奈と黒田先生の知り合いが同一人物なのか別の人なのかってところだけど、黒田先生が言っていたように時期が来れば向こうから現れるんだよなぁ……
「伊緒奈お嬢様、竹中君には今日のプールの監視員をやってもらいますので」
「あら、春日さんグッジョ……いえ、了解しました。颯君も暑い中だけど、よろしくね?」
「ああ、みんなが事故を起こさない様に気を付けて監視させてもらうよ」
「ウフ、ほんと颯君は真面目だよねぇ?」
「え? そんな事ないだろう? プールって結構危険だしさ、しっかりと監視しないと……」
「別にバカにしたわけじゃないよ。その逆で感心しているのよ。私は昔からそういう真面目な颯君の事がス……あっ、私、急に用事を思い出したから行くわね?」
ん? 何だ、伊緒奈のやつ……急に顔を真っ赤にしながら慌てて行ってしまったぞ……
「はぁ……やれやれ……」
で、春日メイド長は何故、ため息をついたんだ?
そして午前中は昼食までの間、何故か会議室で『合同勉強会』が開催された。
まぁ、みんな黙々と夏休みの宿題やら三年生は受験勉強をしているので徳川邸内はめちゃくちゃ静かな状態で俺達、バイト組にとっては仕事がはかどり助かっている。
しかし、この『合同合宿』って意外と真面目な合宿なんだよなぁ……
参加している人達、めちゃくちゃキャラが濃いからもっとハチャメチャな合宿になるだろうなと覚悟していたんだけども……
夜は軽く枕投げはしているみたいだけど、ほとんどの人は部屋で読書をしているか、リビングでトランプをしているくらいだと聞いているし。
男連中も誰かの部屋に忍び込んだり風呂を覗いたり、そういったよくある『ラブコメ展開』な行動はとっていないみたいだし……俺が言うのもおかしいけど、
お前等、真面目か!?
いや、何事も無い方が良いに決まっているんだけど……
「魔冬、みんなが会議室に集まっているうちに掃除を全て終わらせましょう!!」
「うん、そうだね。でも忍ちゃんって意外と仕事熱心だよねぇ?」
「な、何を言っているのよ!? お、お給料をいただいているんだから仕事を頑張るのは当たり前じゃない!!」
「フフフ……忍ちゃん、顔が赤いですよぉ? 大丈夫ですかぁ?」
「つ、蕾!! あんたまで私をバカにしているの!?」
「バカになんてしていませんよぉ。ただ、意外と忍さんって褒められるのが苦手なんだなぁと思いまして……」
「ハッハッハッハ!! そうそう、忍は昔から怒られることはあっても褒められることはあまり無かったもんなぁ!!」
「こ、小町ちゃんまで何よ!? 私が小さい頃から怒られていたのはワザとなんだからね!! あっ……」
(ボソッ)「知っているわよ。忍は小さい頃からずっと魔冬を守っていたものねぇ?」
(ボソッ)「えっ? な、何でそれを!?」
(ボソッ)「魔冬が失敗した事でも自分がやった事にしたりしてさ、ホント、忍は伊達本家跡取りの魔冬の立場を内部から守る為に分家の役割を小さい頃から果たしていたのは外部から守る役目の片倉家の者としてもよく知っているわ……」
(ボソッ)「そ、そうだったの!? でもその事は魔冬には絶対に言わないでよ!?」
「フフフ……勿論、言わないわよ。私だって忍と同じ役目なんだしさぁ」
「忍ちゃんと小町ちゃん? 二人が同じ役目って何のこと?」
「何でも無いわよぉ」
「そ、そうよ。何でも無いから気にしないで!! それよりも早く掃除を始めるわよ!!」
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