第136話 黒田マーサ

 しかし陽菜さん達は今回の合宿で色々と企んでいるみたいだな?


 俺も油断しない様に気を引き締めてバイトをやらないと……



「颯君? プールを使用する時には近くにいてちょうだいね? 前に一緒に買った水着を着る予定だから~♡」


「え、あ……はい……」


 ギロッ


 うわっ、なんか伊緒奈の視線が痛いぞ。


 しかし、マジで陽菜さんの水着姿は色々とヤバイもんなぁ……


「は、羽柴副会長!! む、胸に凄く自信があるみたいですが、伊緒奈さんだって私達の中では一番の巨乳なんですからね!! 見たら驚きますよ!!」


「ブッ!!」


 一瞬、想像しちまった……


「た、太鳳ちゃん!! 皆の前でそんな事言わないでちょうだい!! とても恥ずかしいから!!」


 伊緒奈があんなに照れている顔を見るのは初めてだな?


「へぇ……それは楽しみだわぁ……ウフ……」



「羽柴さん?」


「ん? あら、片倉さんじゃない? そっかぁ、私達の為に臨時でメイドのお仕事をやってくれるらしいわねぇ? それにしても意外と片倉さん、メイド服姿、似合っているわぁ」


「意外は余計よ。まぁ、そんな事はどうでもいいわ。あなたに一つだけ言っておくけど、女の胸は大きさじゃ無いわ。大事なのは形よ!!」


 へ? 片倉さんは一体、何を言っているんだ!?


「片倉さん、あなた何が言いたいの?」


「だから、うちの魔冬の胸の形は凄く綺麗な形をしているって言いたいのよ!! どこぞの誰かさんみたいに大きいだけの醜い胸じゃないってことよ……」


「こ、小町ちゃん!? 私の胸の形は今は関係無いじゃない!? は、恥ずかしいから颯君の前でそんな事言わないでよ!? あ、颯君、今私の胸の形を想像したでしょ!?」


「す、するわけないだろ!!」


 ちょっとだけ想像したけど……


「想像してくれないのも、ちょっと嫌だわ!!」


 ややこしい奴だな!!


「ち、ちなみに俺は毛利さんみたいな小ぶりでも全然いいぞ!!」


 バシンッ


「イテッ!! な、なんだよ太鳳!? 別に俺の好みを言ってもいいじゃねぇか!?」


「直人、あんたの好みなんてどうでもいいのよ!!」


 直人は当初、伊緒奈の許嫁って自分で言っていたくせに、実際は毛利さんみたいなのがタイプなのか?


 グラマーな体型の伊緒奈とは真逆だぞ。



「それにしてもさぁ、今回、私のグループと徳川さんのグループでの『合同合宿』だけど、こんなに大勢の伊達さんグループもいるのなら、三つのグループの合同合宿みたいだねぇ?」


「羽柴副会長、心配されなくて大丈夫ですよ。私達はメイドに徹しますから」


「さすがに伊達さんの言う事を素直には聞けないけどね。でも気にはしていないわよ。元から私のライバルは乃恵瑠と徳川さんだと思っているからねぇ……」


「なっ!?」


 これは伊緒奈と陽菜さんの戦いだけじゃ済まないかもしれないな?



「魔冬!! バーベキューの準備ができたわよ!!」


「え? ああ、忍ちゃん、ありがとう。それでは皆さんにとってが、交流を深めるという事でお庭に準備しています、バーベキュー会場に集まって下さい。颯君もよろしくね?」


「ああ、了解です」


 魔冬の言葉、トゲありまくりだな!!



 【バーベキュー会場】


「おーっ!! さすが徳川さんの家でのバーベキューだね。高級食材ばかりだよ!!」


「羽柴陽呂さん、喜んでいただけて嬉しいです。おっしゃる通り、今回バーベキューで使用する食材はどれも高級なものばかりです。特にお肉は国産牛A5をご用意させて頂きました」


「へぇ、そうなんだぁ。何か気を遣わせちゃって申し訳ないね? あ、それと僕の事は陽呂って呼んでよ? その方が徳川さんも呼びやすいだろ?」


「そうですね。分かりました、ひ、陽呂さん……」


 ん? なんか伊緒奈が羽柴弟の事を下の名前呼びをしただけなのにイラっとしたのは何でだろう?


「おーい、颯? お前も一緒に食べようよ?」


「ありがとう、俊哉。でも俺は仕事中だからさ、後でいただくよ」


「そんな事、気にし無くてもいいじゃないですか、颯さん!! 俺も颯さんと一緒に肉を食いたいですよ!! 俊哉と俺だけがこんなうまい肉を食べるのは気が引けますし!!」


 バシンッ


「イテッ!! 誰だよ、俺の頭を叩いたのはってか、か、春日メイド長!?」


「直人君? あなた、竹中君の仕事の邪魔をしないでくれないかしら? それでなくても今ちゃんと仕事を理解しているのは竹中君と伊達さんだけなのよ」


「す、すみません!!」


「それと竹中君? 悪いけど飲物が足らない様だからキッチンに行って冷蔵庫から飲物を持って来てくれないかしら?」


「は、はい、分かりました!!」


「あっ、私も行くわ、颯君!!」


「魔冬、ありがとう。でも俺一人で大丈夫だから」


「そ、そうなの?」




 そして俺は屋敷に行き、キッチンに行こうとしたが、途中のリビングのソファーに一人の女性がうつむき加減で座っていた。


 ん? あの人は黒田先生の妹のマーサさん?


 どうしたんだろう? なんか元気が無い様な……


 さっきの自己紹介で黒田先生の妹だとバレたのがショックだったのかな?


 いや、まさかそれくらいの事で落ち込むことは無いだろう。


 とりあえず声をかけてみようかな……


「あ、あのぉ……黒田さん、どうかされましたか? 気分でも悪いのですか?」


「えっ!? ああ、あなたは竹中君……ご、ゴメンね? 私だけ皆の輪の中に入らなくて……」


「い、いえ、そんな事は別に構わないんですけど……それよりも大丈夫ですか?」


「うーん……大丈夫と言えば少しだけ嘘になるかもね……」


 最初に会った時からこの人は陽菜さんのグループの中で一人だけ雰囲気が違っていたんだよなぁ……陽菜さんと仲が良いのは分かるけど、今回の合宿に関しては喜んで参加していない様な……


「あ、あのぉ……もし俺でよければ元気が無い理由を教えてもらえませんか? っていうか、俺から色々と質問もさせてもらってもいいでしょうか?」


「え? ああ、なるほど、そういうところなのね?」


「へっ? そういうところって?」


「いえ、何でも無いわ。でも、ありがとね? それじゃぁ、少しだけお話しましょうか? まぁ、私がこんな性格になったのも竹中君にも原因があるんだしね……」


「えっ!? お、俺が原因??」


 一体、どういう事なんだ!?





―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


黒田マーサが元気が無い理由を聞こうとする颯。

しかしマーサからは驚きの言葉が返って来た。


どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る