第130話 三者会談

 【詩音の部屋・詩音視点】


 うわぁああ、とっても可愛らしい人が来た~っ!!


 そして驚いた事にその人は見た目は小学生高学年だけど、静香お姉さまと同じ三年生……


 お、織田先輩よりも年上!?



「も、茂香……何で、あんたが竹中君の家を知っているのよ!?」


「ええ? 静香ちゃんと同じだよ~ありとあらゆる情報網を使って家を見つけ出したのよ~そして颯君に会いにきたんだけど、まさか不在だとは思わなかったわ~でも、こんなに可愛らしい妹さんや、とっても美人なお母様に会えたのはラッキーだったな~」


 私よりも年下に見える人に可愛らしいって言われるとなんだか複雑な気持ちだなぁ……


「わ、私はそんなありとあらゆる情報網なんて無いわよ。私は前に颯君とデートした時に住所を教えてもらっていたから……」


「へぇ、そうなんだ~……さすが静香ちゃんだな~。私はデートの時にそこまで頭が回らなかったからね~でも私には中等部の頃から慕ってくれている情報通の子がいるからね~その子にお願いしたんだ~」


「あっ!! もしかして村上粋むらかみすい君じゃないの!?」


「そうそう、スー君にお願いしたのよ~」


「やっぱりそうなんだぁ……私、あの子、苦手なのよねぇ……目的の為なら何でもする子でしょ? 特に茂香の為ならマジで何だってするし……」


 えーっ!? 静香お姉さまみたいにドンと構えている人でも苦手な人っているんだ?


「ええ、そうなの~? スー君、とっても良い子なのに~それに颯君の家を探すくらいでそんな人様に迷惑のかかる事なんてしないわよ~ただ、今回、スー君は織田会長さんを尾行していただけだし~」


「えーっ!? わ、私を尾行していたんですか!? 全然、気が付きませんでした……っていうかストーカーみたいなマネをさせないでください!!」


「フフフ……ゴメンね~織田会長さん? でも、あなただけが颯君の家に何度もお邪魔したり~朝食までおよばれしたり~一緒に通学したりするのは不公平だもんね~?」


「ちょ、朝食の事まで!?」


 えっ? 朝食の事まで知っているって、もしかしてその村上っていう人は織田先輩の事を何度も尾行していたってことよね!?


 っていうか、この毛利さんもお兄ちゃんに好意を持っているんだわ。


 私の知らない間にお兄ちゃんの周りには四人もの美少女が……


 ちょっと短期間の間に環境が変化し過ぎじゃ無いの?


 お兄ちゃん実は部屋で毎日ニヤニヤしているんじゃないでしょうね!?


 べ、別に嫉妬している訳じゃないけどね!!


 で、でも、モテ過ぎるのもなぁ……


「はぁああ? 織田さん、あなた朝食までおよばれしていたの!? な、何て図々しいのかしら!!」


「別に良いじゃないですか? たまたま早く颯君の家について外で待っていたらお母様にお声をかかていただいただけですよ……でも竹中家の朝食、とても美味しかったですよ」


「織田会長さんの話を聞いているだけで私も竹中家の朝食が食べたくなってしまったわ~という事で二学期になったら私も颯君と一緒に通学するからよろしくね~?」


「 「えーっ、なんですってーっ!?」 」


「そ、それじゃぁ私も颯君と一緒に通学するわ!!」


 なんか、お兄ちゃんがいない間にとんでもない事になってきたんだけど……


「でも静香ちゃん、大丈夫なの~織田会長さんや私の家から颯君の家は通学途中だけどさ~あなたの家は学園の沿線じゃないし、ここまで来るのに電車を乗換たり~逆走したりする事になるのよ~それってとっても無駄な動きにならないの~?」


「全然、無駄じゃ無いわよ!! いつもより一時間早く家を出れば済むことよ!! 別に茂香なんかに心配してもらう必要は無いわ!!」


「別に心配なんてしてないんだけどね~っていうか、せっかくだから私も詩音ちゃんと遊びたいから今日はよろしくね、詩音ちゃ~ん?」


「え? あ、はい……こちらこそよろしくお願いします……」


 よ、ようやくお兄ちゃんが最近、疲れがとれないって言っていた意味が分かった様な気がするわ……


「ところで武田さんと毛利さん?」


「な、何よ!?」「なーに、織田会長さん?」


「先日の『学年人気投票』で敗れたお二人は今度の『生徒会長選挙』で誰を応援されるんですか? 別に私の応援をしてくださっても構わないんですよ……」


「な、何で織田さんなんかの応援をしなくちゃいけないのよ!?」


「私はケイトちゃんのところのカノンちゃんを応援する事にしたのよ~」


「えっ、茂香もなの!? 私も同じよ!!」


「ふーん、やはりそうですかぁ……そうかなとは思っていましたが……でも本当にその選択で良いんですか?」


「ど、どういう事よ!?」


「そうね~私は一番良い選択だと思っているんだけどな~」


「まぁ、直江カノンさんは颯君の事が好きってわけではないですからライバルは上杉さんだけになりますし、妥当と言えば妥当ですけどねぇ……でもそれも直江さんが勝たないと話になりませんけどね……」


 さっきから皆さん、何の話をしているのかしら?

 それに直江さん? 上杉さん? 誰何だろ……?


「織田さんの言い方は直江さんが負けるみたいな言い方ね?」


「そうだね~そう聞こえるよね~? でもケイトちゃんを含めた私達三年生がカノンちゃんの応援に周れば多くの三年生票が入ると思うんだけどな~」


「ハハハ……皆さん、もうお忘れですか? 今回、三年生の学年人気投票一位が誰だったのか……それに皆さんが何位だったのかも……」


「 「あっ!?」 」


 えっ!? 二人の驚きようは何!?


「気付かれたようですね? そうです。一位は私が一番信頼している平手真子書記でしたよねぇ? 意外とあの人、皆さんよりも人気あったんですよねぇ……ちなみに二位の足利昭葉あしかがあきはさんは平手さんと仲良しという事で生徒会長選では私を応援してくれるそうですよ」


「で、でもさ……二人の票を足しても私やケイト、茂香、それにカンナの票を足せば三年生は直江カノンの方が上じゃない?」


「かもしれませんけど、二年生はほぼ私と陽菜ちゃんに入りますよ。まぁ、一年の徳川さんや伊達さんにも一部票が流れるとは思いますが……それは三年生も同じことですよね? いずれにしても直江さんが勝てる確率はそんなに高くないという事です。逆にお二人が私を応援すれば私が絶対に勝つと思いませんか? で、そうなれば……」


「うーん、そうなれば私と茂香は『竹中颯争奪戦』に確実に生き残れるって事よねぇ……」


 えっ!? 今、『竹中颯争奪戦』って言わなかった!?


 もしかして今のお兄ちゃんは私が想像している以上にモテているって事なの!?





 【徳川邸】



 ピコーン


「ん? 誰かしら……えっ!?」


「どうしたんだ、伊緒奈?」


「羽柴副会長からラインがきたんだけど……とんでもない提案をしてきたわ」


「とんでもない提案だって?」


 っていうか、伊緒奈と陽菜さんってライン交換していたんだな? 





―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

三者会談?の結果は!?

そして陽菜の提案とは?

どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆

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