第124話 美少女達の反省会

 【投票結果後、毛利陣営反省会・茂香視点】


「まさか、長曾我部さんが負けるとは思わなかったよね?」


「うーん……そうね~」


「でも投票結果発表直前に『実はあーしも竹中君の事が好きで告白したっつーの』って言ってきたのは驚いたわ!! 茂香ねぇ、あれは裏切り行為じゃない!?」


「うーん……そうね~」


 もう私には長曾我部さんの事なんてどうでもよくなっているわ……


「茂香ねぇさぁ、さっきから唸ってばかりだけどさ、これからどうするのよ? 竹中君と付き合う為には生徒会長選挙で誰かを応援して、その人に生徒会長になってもらわないといけないんでしょ?」


「うーん……そうなんだけどね~萌絵ちゃん……」



「茂香お姉ちゃん、もしかして、颯君の事は諦めるのかしら?」


「バカな事を言わないでよ~柊ちゃん!! 私が颯君の事を諦めるわけ無いじゃないの~諦めたらここで試合終了だよ~」


「え? どこかで聞いた事のあるセリフだけど……」


 ああ、今更ながら何で私は颯君の事を好きになってしまったんだろう?


 あの時……あの時、颯君の素顔を……瞳を見てから私の心に変化が起こったんだよな~


 その日まで大学生の彼氏と順調にお付き合いしていた私だったのに、颯君の瞳を見た途端に今までに感じた事の無い衝撃が身体中に走ったんだよね~


 瞳を見ただけで颯君の内面の良さがガンガン伝わってきたんだよね~


 そして颯君と付き合わなければ一生、後悔する様な気にもなってしまったし~


「だったら、どうするの? 誰を応援するの?」


「だから今、それを考えているのよ~もう少しでまとまりそうだから静かにしてくれないかな~?」


 織田さん、羽柴さん、直江さん、徳川さん、伊達さん……誰を応援すれば私に一番有利になるのかな~?


 この中で共通点の無い人っていうと……


 あっ!?


 そっかぁ……そうよねぇ……あの子を応援すれば私が颯君と付き合える可能性は高くなるわね~


 もしかすると静香も同じ考えかもしれないわね~


 でも、まぁいっか~


「よ~し、決めたわよ~」


「 「えっ、そうなの!? 誰を応援するの!?」 」


「えっとね~私が応援する人はね~」





 【投票結果後、武田陣営反省会・静香視点】


「まさか、島津さんも颯君の事が好きで投票前に告白をしていただなんて……ショックだわ……」


 島津さんは自分の考えで私に近づいてきたのかしら?


 それとも陰で彼女を動かしている人がいるとか……


 この私が一年生に上手い具合に振り回されて、なんか悔しいなぁ……


 それに……


「静香、ショックを受けている暇は無いわよ!! これからどうするかを考えていかないと……それに私は最初から島津さんの事はあまり信用していなかったから別に驚いてないけどね」


「カンナ……ありがとう……ただ、三年の人気投票で私が四位だったのも少しショックだったけど、カンナと同数だったのも少しショックなんだけど……カンナって結構、人気あったんだねぇ……?」


「静香、その事は忘れてちょうだい!! アレはたまたまだから!! も、もしかして静香、あんた私が陰で自分の票を獲得する為に動いていたとでも思っているんじゃないでしょうね!?」 


「ううん、そんな事は思っていないけどさぁ……思っていないけども……」


 知らないうちに私の人気って下がっていたんだなぁって思うと少しショックだなぁ……


「静香、今はそんな事はどうでもいいじゃない!? それよりも次よ、次!! 次の『生徒会長選挙』に向けて気持ちを切り替えないと静香が真っ先に脱落しちゃうわよ!!」


「えっ? ああ、そうだね……野々花の言う通りだね……」


 そうだわ。今の私はグジグジ思っている場合じゃ無かったわ。


 私の初恋を実らさなくては!!


 あの優しい瞳の持ち主の颯君に対しての愛情は減るどころか増々、増えているんだから!!


 

「そうそう、親友としては静香が脱落するところは見たくないしね!? でも別に焦る必要も無いんじゃない? 夏休みに入ってからじっくり作戦を練るっていうのも良いんじゃないかなぁ……ねっ、静香?」


「麻美子も気を遣ってくれてありがとね? それに真優や真樹もこれからもよろしくね?」


「 「ま、任せてよ!! 静香の初恋を実らせる為に私達も頑張るから!!」 」


「グスン……み、みんな……ありがとう……」





 【投票結果後、上杉陣営反省会・ケイト視点】


「おめでとう、カノン!! よく頑張ったわね!?」


 ほんと、織田さんと羽柴さんが同数一位で良かったわぁ……


 じゃないとカノンは負けていたんだし……まだ私には運があるって事よね?


「い、いやぁ……別に私は何も頑張ってはいないんですけどねぇ……でもギリギリ二位に入れて良かったですよぉ……もし負けていたらケイト先輩、きっと落ち込むでしょうし、それを慰めるのは面倒ですしねぇ……」


「面倒って何よ!? で、でもまぁ今日の私は何を言われても嫌な気分にならないわ。これでカノンが生徒会長になってくれさえすれば、私が颯君と付き合える可能性が高くなるものね!? 颯君の事をカノンは好きじゃなくて助かるわぁ……」


 幼馴染の後輩が恋のライバルなんてめちゃくちゃキツイものね……


「私は竹中君なんて全然タイプじゃないし、好きになる事なんて絶対にありませんからご安心を!!っていうか、私は未だにケイト先輩が何であんな地味な一年生の事が好きのか理解できないくらいですから!!」


 なんかムカツクわね……


「別に理解してもらえなくてもいいわよ。逆に理解して欲しく無いわ。もしカノンが颯君の魅力に気付いてしまったら身内で争奪戦をする事になってしまうし……」


「本当にケイトは竹中君の事が大好きなんだねぇ?」


「沙耶、今更、何を言っているのよ? 当たり前じゃない!! 私は死ぬほど颯君が大好きなのよ!!」


「はぁ……面倒くさいけどさぁ、ケイトがそこまで言うなら、『生徒会長選挙』が終わるまでは協力するけどさぁ……しかし、面倒くさいよねぇ……」


「加奈!! ほんと、アンタは面倒くさがり屋よね!? でも……でも、私のわがままに付き合ってくれてありがとね……みんなもありがとね……」



「あ、姉貴!!」


「何よ、カイト?」


 あの子、なんか不服そうな顔をしているわね。


 一体、どうしたのかしら?




―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


次回で『それぞれの反省会編』最終話となります。

どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆



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