第120話 学年人気投票結果発表!!

 『学年人気投票』が始まった。


 教室内はシーンと静まり、クラス全員が投票用紙に自分が素敵だと思う同級生の名前を書いている。


 直ぐに書き終わり天海さんの所へ用紙を持って行く生徒もいれば、誰の名前を書こうか悩んでいる生徒もいるみたいだけど……


 恐らく、うちのクラスは全員、伊緒奈に投票するはずなんだが……


『徳川伊緒奈後援会』が発足されたくらいだからな。


 勿論、俺も伊緒奈に投票する。


 そして投票結果は今日中に集計されて放課後には一階ホールの掲示板に貼り出されるらしい。


 但し、貼り出されるのは各学年の一位から五位までらしいが……


 伊緒奈や他の俺に告白した人は二位までに入らないと次の作戦を考えなければいけない。


 いや、二位までに入ったとしても先の『生徒会長選挙』に向けて色々と作戦を練らないといけないらしいが……


 しかし、何で俺なんだろう?


 何で俺みたいな『陰キャオタク』が学園の美少女達に好かれるのだろう?


 前に俺は『竹中颯だけが何故モテるの会』メンバー達に一つだけ気付いた共通点を伝えた事がある。


 俺に告白してきた人達は全員、俺の素顔を見た人達ばかりだと。


 ただ、俺も思ったけどメンバーの一人である『安藤守男あんどうもりお』がその共通点に対して疑問の声があげた。


「竹中の素顔を見たのは告白してきた人以外にも数名いるのに、何故、学園で人気のある美少女達だけが竹中の事を好きになるるんだ?」


 そして同じく他のメンバーの氏家うじいえ不破ふわも賛同していた。


 そうなんだ……まぁ、俺もそこが引っかかっていたんだけどな……


 素顔を見た人が全員、俺の事を好きになったわけではない。


 逆に俺の素顔を見て期待外れだったのかどうかは分からないけど、鼻で笑ったり、『別に普通の顔じゃん』って言っていた人もいたからなぁ……


 まぁ、俺としてはブサイクと言われなかっただけ良かったとは思っているけど……


 いずれにしてもまずはこの『学年人気投票』が終わってからゆつくりと考える事にしよう。



「はい、皆さん投票されたみたいですね? それでは今から私達『投票部』で開票作業にあたります。結果は放課後に一階ホールの掲示板に貼り出しますので楽しみにお待ちください。それでは失礼致します」


 天海さんはそう言うと教室から出て行った。


 しかし教室を出る瞬間、俺と同じ瓶底メガネをしているから分かりずらかったけど俺の方見てニコッと微笑んだ様に見えたのだった。


 何で天海さんは俺の方を見て微笑んだんだろう?


「伊緒奈さん、お疲れ様でした!!」


「フフフ……太鳳ちゃん、別に私は用紙に名前を記入しただけで疲れてなんかいないわよ」


「いえいえ、今後の動きを決める大事な『学年人気投票』ですからね。さすがの伊緒奈さんだって多少のプレッシャーはあると思いますのでお疲れかなと思いまして……」


「ありがとう、太鳳ちゃん。でも大丈夫、私はプレッシャーなんて感じていないから……ねっ、颯君?」


「えっ? お、俺に聞かれても伊緒奈の心の状態なんて分からないし……でも俺の為にしんどい思いをさせているのは間違い無いからなぁ……本当に申し訳ない気持ちだよ……」


 いや、マジでそうだよな。


 春日さんはあんな事を言っていたけど、おそらく俺の事なんて好きでもないはずの伊緒奈が『嘘の告白』までして生徒会長になる為に色々と策を考えてくれているんだからなぁ……


 俺としては頭が上がらないよ……


「颯君!? そんな事は言わないで!! 私は『好きで』やっているんだからね」


「えっ? ああ、ありがとう……伊緒奈……」


 どことなしか伊緒奈の顔が赤く見えるのは俺だけだろうか?


「はぁ……陽菜ちゃんは大丈夫かなぁ……? 織田会長達に勝って欲しい気持ちもあるけど……でも生徒会長にはなって欲しくないしなぁ……」


 俊哉も辛いだろうな……恐らく陽菜さんなら二年生の中では一位か二位には入ってくるだろうし、そうなると無条件で生徒会長候補の一人になってしまうからな。


 せめて陽菜さんからの告白だけでも、はっきりと断るべきだったよな?


 ほんと、俺はヘタレ野郎だぜ……


「あっ? そういえばさっき天海さんが今から開票をするって言っていたけど、『投票部』の人達は二時限目からの授業は受けずに開票作業を行うのだろうか?」


「颯さん、ご存じなかったんですね? 『投票部』というのはそういう部なんですよ。だから簡単には『投票部』には入部できないんです。毎回、テストで学年五十位以内に入っていないと入部できないし、逆に成績が下がると強制退部になってしまうんです」


「えーっ!? そうだったのか!?」


 全然、知らなかった……そういえば天海さんって中間テストや期末テストの順位って、いずれも十一位って言っていたから頭は良いもんな……これは納得だな。


 ってか、そういう規則があるんだったら俺だって『投票部』に……


 でも前に天海さんから『竹中君は投票部に入らない方がいい』って言われているからなぁ……本当は天海さんと同じで俺も『人気投票』には関わりたく無いんだけども……



 ―――――――――――――――――――



 そうこうしているうちに時間は過ぎ放課後になってしまった。


 遂に『学年人気投票』の結果発票である。

 俺は恐る恐る人だかりができている一階ホールの掲示板を見てみると……


 …………!!??



 【三年生の学年人気投票結果】


 1位・・・平手真子   90票

 2位・・・足利昭葉   81票

 3位・・・上杉ケイト  52票

 4位・・・武田静香   47票

 4位・・・山本カンナ  47票

 5位・・・毛利茂香   41票



 【二年生の学年人気投票結果】


 1位・・・織田乃恵瑠  89票

 1位・・・羽柴陽菜   89票

 2位・・・直江カノン  71票

 3位・・・羽柴陽呂   63票

 4位・・・片倉小町   31票

 5位・・・吉川萌絵   12票

 5位・・・小早川柊   12票



 【一年生の学年人気投票結果】


 1位・・・徳川伊緒奈  83票

 2位・・・伊達魔冬   82票  

 3位・・・島津佳乃   65票

 4位・・・長曾我部千夏 62票

 5位・・・上杉カイト  30票

 5位・・・竹中颯    30票



 い、い、い、色々とツッコミどころ満載の結果だぞーっ!!




―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


遂に学年人気投票の結果が出ました!!

そして颯の言う通り、ツッコミどころ満載の結果が!?


次回、色々とツッコんでいきます(笑)

どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆

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