第104話 七人の美少女

「あら、乃恵瑠? 二年生は怖くないのかな~?」


「えっ?」


「ひ、陽菜さん!?」


 うわぁぁぁ……陽菜さんまでもが校門に来てしまったぞ!!


「フフフ……陽菜ちゃん……怖いに決まっているじゃない。特に陽菜ちゃんが一番怖いわ」


「えーっ? 私以外の二年生の事を聞いたつもりなのに私の事が一番怖いだなんて私、ショックだわ」


 もう、その言い方自体が怖いですよ、陽菜さん……


「羽柴副会長も二人が一緒に通学しているのを聞いてここへ来たのかい?」


「上杉さん……まぁ、そんなところですね~でも驚いたわ~乃恵瑠がそういう行動をとっていたなんてね~……」


「別に驚く様なことでもないわ。だって前にも言ったよね? 私と颯君は同じ小学校に通っていた『幼馴染』だって……それに家も近所だし、一緒に通学するのは自然なことよ。っていうか、この状況になるのが遅いくらいだと思わない?」


「 「 「お、幼馴染だったの!?」 」 」



 いや、乃恵瑠さんとは同じ小学校に通っていただけで……それに会話をしたのもイジメられているところを助けた時だけだし……これを『幼馴染』って言っても良いのか?


「は、颯君と織田さんって……幼馴染だったよねぇ……」


「そうですよ。思い出しましたか、武田さん?」


「ううっ……」


「幼馴染かぁ……ラブコメアニメでよくある『最強』と言われているカップル……この関係性だけはいくら私が必死に頑張っても崩す事ができないぞ……」


 ケ、ケイトさん? それは少し大袈裟過ぎでは?


「うわぁ、いいないいな幼馴染~羨ましいな~!! それじゃぁ、私は颯君の『幼な妻』になろうかな~」


「ブハッ!!」


「アハハ、颯君がビックリして吹き出しちゃったわ~きっと私の『幼な妻姿』を想像したに違いないわ~ウフフ……可愛い♡」


 いや、想像はしましたけどね……でも茂香さんは見た目は『ロリっ子』でも俺より二個も年上なのに『幼な妻』っていうのはおかしくないか?


 まぁ、どうでもいい事だけどな……


「あれ? 陽菜ちゃんは羨ましくないの?」


「えっ、何で私が羨ましがらなくちゃいけないのかしら? 別に私は乃恵瑠が颯君と幼馴染だろうが、一緒に通学しようが気にならないわよ~最後に颯君と付き合う事になるのは私だと思っているし……それよりも私は期末テストで直江さんに負けた事の方が悔しいわね~」


 なんか陽菜さんから凄い自信を感じるよな?


 やはり前に伊緒奈が言っていた通り、色々と策を講じて順調に進んでいるのかもしれないな。


「フフフ……羽柴さん、うちのカノンちゃん、とても頑張ったでしょう? 期末テストで学年一位の座をあなたから奪い取った勢いで『学年人気投票』でも一位になるかもしれないわよ!!」


 おっ、今度はケイトさんが自信ありげな感じだぞ。


「フッ……それは絶対に無いですよ。二年生の学年一位、二位は私と乃恵瑠で決まりですから」


「な、なんですって!?」


「陽菜ちゃん……そこは私を認めてくれるのね?」


「当たり前でしょ? 私は最初から乃恵瑠の美貌だけは認めているのよ~だから一年生の時に外部入学の何も知らないあなたを応援してきたんだからね~」


「美貌だけはって……」


 そ、そうだよな。乃恵瑠さんの美貌は誰が見たって凄いよな。


 でもさすがに美貌だけで一気に生徒会長にはなれるはずがないんだ。


 乃恵瑠さんは外部入学だし……


 学園に知り合いなんて一人もいない乃恵瑠さんが陽菜さんの協力を得て静香さんやケイトさんという美少女達を押しのけて一年生で生徒会長の座に上り詰めたんだ。


 それだけ陽菜さんは策士だということか……


 茂香さんの推す長曾我部さんは陽菜さん側の人らしいしな。


 ほんと陽菜さんを敵に回すと怖い気がするよな。


「皆さん、お揃いでどうされたのですか?」


「ま、魔冬!?」


「こんな校門の前で皆さん揃って何か揉め事ですか? まぁ、私とすれば揉めてもらってそれを見た颯君が皆さんの事を呆れてしまうという形が理想ですけど……」


「伊達さん、私達は別に揉めてはいないわよ。ただ今日ね、颯君と乃恵瑠が一緒に登校してきたらしいから、みんなそれを確認をしに来ただけなのよ~」


「へぇ、そうなんですね羽柴さん」


「フフフ、揉めていなくて残念だったわね、伊達さん? で、あなたは私と颯君が一緒に登校して来たことに対して何か感想があるのかな?」


 ウワッ、乃恵瑠さん……またしてもその質問ですか?


「うーん、感想ですかぁ? そうですねぇ……私も颯君と一緒に登校はしたいですけど、私の家と颯君の家は真逆の方向だから不可能ですし……なので、また違う方法を検討してみたいと思います」


 違う方法? 一体、何を検討するんだ?


「さすが、伊達さんね。肝が据わっているというか、とても落ち着いているわ。やっぱり今年の一年生はあなどれないわねぇ……」


「いえいえ、是非ともあなどってください。その方が私も動きやすいので……」



「皆さん、おはようございまーす。教室から見ていたんですけど、皆さんとても楽しそうだったので思わず来ちゃいましたよぉぉ!!」ギロッ!!


「い、伊緒奈!?」


 ってか、今、伊緒奈に思いっきり睨まれた様な気がしたんだけど……


 後で何か言われるんじゃ……


「あら? 徳川さんまで来ちゃったの!? 校門前に『竹中颯争奪戦』のメンバーが全員揃ったってことよね?」


「そうですね、武田さん。ところで武田さんが生徒会長候補に推されるのは一年の島津さんだとお聞きしたんですけど、大丈夫なんですか?」


「えっ? どういうことかしら?」


「いえ、別に……ねぇ、羽柴副会長さん?」


「何のことかしら? 私にフラれても何も出てこないんだけどな~そうなんですねぇ、武田さんは一年の子を推されるんですねぇ?」


「羽柴さーん? 私も一年の長曾我部さんを推す事になったのよ~」


「へぇ、毛利さんもですかぁ……それはとっても楽しみですね~?」


 な、何が楽しみなんですか、陽菜さん?

 陽菜さんの笑顔がめちゃくちゃ恐ろしく感じるんですけど……



「あ、あのさぁ……君達……?」


 えっ? あっ、生徒指導の先生!?


「お願いだからさぁ、そろそろ学園内に入ってくれないかなぁ?」




―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


遂に『竹中颯争奪戦』のメンバー七名が集結した!!

一体、誰が颯と付き合う事になるのか?

どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆


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