第79話 監視付きデート?

「ということで颯君はこれからどんな方法でも良いから織田会長達に次の選挙で生徒会長になった人、もしくは新生徒会長を応援した人の中から付き合う人を決めるって事を伝えてね?」


「あ、ああ……分かった……」


「そうと決まれば私達はこれまで以上に伊緒奈ちゃんの宣伝をやりまくらないといけないわねっ!?」


「そうだな、知由。俺もなんとか島津佳乃しまづよしのよりも伊緒奈の人気が高くなるような作戦を考えなければな……」


「私も長曾我部さん対策を考えるわ……」


「知由ちゃん、直人、八雲ちゃん、ありがとね……」



「私もありとあらゆる手段を用いて伊達魔冬に対して対策を講じたいと思います……」


「なんか、華ちゃんがそう言うと少し恐怖を感じるわねぇ? フフフフ」


 いや、マジで俺もそう思うぞ。

 服部さんだけは『普通の世界』の人じゃ無い様な感じがするしな。


 しかし、どうしよう……


 俺みたいな『陰キャ』の事を好きだと言ってくれている人達にラインで伝えるっていうのは失礼だよな?


 ま、まずは今度の日曜日に遊園地デートを約束している織田会長に直接伝えよう。


 でも、前に織田会長は次の生徒会長選挙には出馬しないって言っていたけど、どうなんだろうか?


 俺みたいな奴が出す条件に乗ってくれるのか?


 逆にそんな条件を出す俺に嫌気をさしてくれた方が好都合かもしれないけど……



 ピロンッ


 ん? 誰かからラインだ。


 あっ!? し、静香さん……


『颯君、こんにちは。お昼休み中にごめんね? 実は前に言っていたデートの件なんだけど、今度の日曜日って都合どうかな?』


「どうかしましたか、颯さん?」


「えっ? い、いやぁ……そのぉぉ……」


「ははぁん、もしかして颯さんに告白をしている女子の一人からラインが来たんでしょう?」


「えっ!? さ、さすがは太鳳というか……よく分かったな?」


「ハハハハ!! そりゃぁそれくらい分かりますよ~!! 毎日、颯さんの顔を見ているんですから表情の変化である程度は分かります」


 た、太鳳もある意味凄い女子だな。


 俺が感心した顔をしていると伊緒奈が質問をしてきた。


「で、颯君? 誰からのラインなの?」


「じ、実は……」


 俺は伊緒奈達に織田会長との遊園地デートの件と今来た静香さんからのラインの事を正直に話しをした。


「あら、それは好都合じゃない? さっきの条件をラインで伝えるのも失礼だし、その二人には直接会って伝えた方が良いと思うわ。ってことで、その二人とは今度の日曜日にデートをしてちょうだい?」


「えっ!? で、でも二人同時には……」


「フフフ……誰も二人同時にデートをしろって言っていないわよ。織田会長には夕方から用事があるからって伝えておいて武田さんには夜から会う事にすればいいじゃない?」


「おーっ!! 颯さん、凄いですね!? デートの『ダブルヘッダー』じゃないですか!! 羨ましい限りです!!」


 チッ、直人の奴……他人事だと思って簡単に言いやがるぜ……


 俺は生まれてこの方、デートなんてした事が無いのに、それが初めてのデートが『ダブルヘッダー』だなんて……ハードルが高過ぎるぞ。


「あっ、そうだ……」


 ん? 伊緒奈が怪しい笑みを浮かべたぞ。


「どうしたの、伊緒奈ちゃん?」


「いえね……颯君? 来週のバイトだけど土日は休んでもらって他の人達ともデートをしてちょうだい。だからそれまでに他の人達ともデートの約束をしてくれないかな? やはりここは平等にしないと、告白してくれた人達に失礼だしね?」


「なっ!? ぜ、全員とデートをするのかっ!? だ、大丈夫かな、俺?」


「フフフ……大丈夫よ」


「大丈夫、大丈夫……私達も土日は何も用事がないから……ね、伊緒奈さん?」


 八雲は何を言っているんだ?


「フフフ……そうね。私達はとっても暇よねぇ……」


 あっ、も……もしかして……


「ま、まさか俺達のデートに……」


「うん、そのまさかよ。助けるから安心してデートをしてちょうだい」


 伊緒奈達の監視付きデートって事かよ……


 それって本当に安心と言えるのか?


 それにって……何かあるのか?


「私達でデートプランを考えるのも面白そうよね?」


「ハハハハ、知由にしては良いアイデアだぞ。俺も颯さんの為に色々とデート場所を調べてみるか!!」


 お前等、何か楽しんでいないか?

『余計なお世話―ズ』かよ!?


 でも、それはそれで助かるかもしれないな……?



 ピロンッ


 あっ、またラインだ。

もしかして静香さんから返事の催促かな?


ん!?


このラインは……も、毛利さんからだ……


「おっ、その表情はまた違う人からのラインみたいですね、颯さん?」


 た、太鳳……お前は何者だ!?


「あ、ああ……そうなんだ。何故か毛利さんからラインが来たんだ……」


「えーっ!? 毛利風紀委員長からですか!?」



「フフ、それは実に興味深いわね? もし颯君さえ良ければラインの内容を教えて欲しいのだけど……」


「え? ああ、別にいいよ。毛利さんとは『そういう事』にはなっていないし……えっ!?」


「どうしたのかな、颯君?」


 な、何だ? このラインは……


「今日の放課後にお話があるから屋上に来てくれないかな~? って書いてある……一体、何の話なんだろうか……?」


「フフフ……遂に来たわね……」


「え? 伊緒奈、どういう事なんだい? 何か心当たりでもあるのか?」


「それは放課後のお楽しみという事で……」



 たっ、楽しめる訳ないだろ!?

 不安しかねぇよ……





―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


伊緒奈の提案で、告白してきた女子全員とデートすることになった颯……

しかし、そのデートには伊緒奈達の監視付きということも決まったが颯としては安心と不安が入り交ざる。


そんな中、毛利茂香から颯に話があるというラインが……

果たして毛利茂香の話とは?


どうぞ次回(緊急ちつてと会議編最終話)もお楽しみに(^_-)-☆

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