第11話 副委員長誕生
一位 十五票 徳川伊緒奈 クラス委員長確定
二位 五票 竹中颯 クラス副委員長確定……
嘘だ、嘘だ、嘘だ……いや、これは……
夢だ、夢だ、夢だ……夢であってくれ!!
前田に俺の頬をつねってもらおうか?
と思ったけど、前田は自分がクラス委員長にも副委員長にもなれなかったことがショックだったみたいで机にうなだれている。
ツンツン……
「えっ?」
俺の右隣りから徳川が俺の右腕にツンツンしてきた。
「夢じゃないよ、竹中君……ウフフフ……」
「な、何で今の俺の気持ちが……!? うっ……」
俺は徳川にもっと突っ込みたい衝動を抑えてこれ以上は口に出さなかった。でも徳川は続けて俺に話しかけてくる。
「お互いに『なりたくなかった者同士』頑張りましょうね?」(ニコッ)
お、おそらく拒否権なんて無いんだろうなぁ……
もし俺が頑なに拒否をしても、それはそれで『悪目立ち』してしまうからな。
大人しく『クラス副委員長』を受け入れないといけないのか……
でもまぁ、クラスのことは『陽キャ』の徳川に任せればいいことだし、俺は今まで通り、極力、目立たない様にすればいいんだからな……
「それにしても竹中君、五票も入るなんて『人気者』だねぇ?」
クラスの半数近い票が入ったお前にそんな事を言われたかないぜ!!
俺をバカにしているのか、この女は……?
で、でもたしかに俺みたいな『瓶底メガネ陰キャオタク』に五票も入るだなんて未だに信じられないことだ。
ほんと、一体誰なんだ、俺に票を入れた五名ってのは!?
「はーい、みんな少し静かにいてくれるかな? 開票の結果、一学期のクラス委員長は徳川伊緒奈さん、そして副委員長は竹中颯君にお願いしますので、お二人よろしくお願いしますねぇ?」
「はーい、分かりました」
「は……はい……」断りたいけど……
うわぁ、みんなこっちを見ているぞ。お願いだから俺を見ないでくれ。
俺なんか見たってお前等の目が腐るだけだぞ。
お願いだから徳川の方だけを見てくれよ。
「それで三票で第三位の
おっ!! 前田も第四位じゃないか!!
でも奴のキャラに『美化委員』っていうのは似合ないけども……
クルッ!!
「は、颯~っ!! 俺に一票入れてくれてありがとな!? でも、せっかく颯と徳川さんが票を入れてくれたのに期待に応えられなくて申し訳ない!! とりあえず俺は『美化委員』を全力で頑張るよ!!」
「あ、ああ……」やっぱりこいつは『ポジティブ』な奴だな。
しかし、俺……前田に対してめちゃくちゃ罪悪感を感じてしまうんだけど……
俺はお前を裏切って徳川に一票入れてしまったのにお礼なんて言わないでくれ。
しかし、前田の票が二票あって助かったぜ……
もし一票だったら俺や徳川を疑うだろうし、ゼロ票だったら前田は俺や徳川と一生、口を利かなくなるんじゃないのか?
あっ、でも口を利いてくれなくなるのは俺にとっては魅力的なことだけどな。
ただ、俺が一票入れる事を信じて、更に謝ってくるなんて……
本当にこいつは良い奴なのかもしれない……
前田と友達になる気は無いけど、今後、こいつが俺に何か頼んできたら一つくらいは聞いてやってもいいかなぁ……
「それでは委員長の徳川さんと副委員長の竹中君は前に出て来てみんなにご挨拶をしてくれるかな~? その後に『クラス委員権限』で一票ずつ入っていた十名の中から残りの委員を決めてくださいねぇ?」
「はーい」「えっ!?」
嘘だろ!? 俺が前に出て挨拶をするだと!?
俺にとっては拷問に等しいぞ!!
そ、そうだ。これは間違いなく『陰キャオタク』に対してのイジメじゃないか!!
ギュッ……
「えっ?」
な、な、何で徳川は俺の手を握っているんだ!?
ってか、女子に手を握られたのは生まれて初めてのことだぞ!!
「竹中君、早く前に行こ?」
「あ、ああ……」
徳川は俺の手をずっと握りしめながら引っ張り、前に行こうとする。
そんな俺は初めてのことで全身の力が抜けてしまい徳川に引っ張られたまま、まるで介護されている老人の様な感じでフラフラしながら前に歩いて行く。
勿論、その時の俺の心臓は激しい動きをしていた。
その後、何とかみんなの前で俺の『陰キャらしい挨拶』も終わり、残りの委員も徳川が全て決めてくれたのでこの日は無事に終わった。
一時限目の業間休み、俺が急いでトイレに行こうとした時、徳川が俺を呼び止めた。
「竹中君、『風紀委員』の
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お読みいただきありがとうございました。
悪目立ちもしたくないことから拒否することも出来ずに『クラス副委員長』になってしまった颯……
そして前田は二票で第四位として『美化委員』に。とりあえず前田に二票入っていたことに安堵する颯だった。
そんな中、『風紀委員』の本多を紹介したいと颯を呼び止める徳川……
本多は徳川の幼馴染らしいが……
ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆
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