第3章 伊緒奈の秘密編
第12話 本多太鳳
この女子は徳川伊緒奈の幼馴染だそうだ。
見た目は小柄でとても
徳川程、美少女ではないけどクラスの女子の中では上位な方だと思う。
髪は茶髪でポニーテール……目の色も茶色だがカラコンをしているのだろうか?
スタイルもなかなか良い。色気はあまり感じられないけども……
って、こんな『陰キャ』な俺が女子の品定めみたいなことをするのは身の程を知れって感じだな。
以後、気をつけることにしよう……
「私は本多太鳳っていうの。竹中君、これからよろしくね?」
本多はそう挨拶をすると右手を俺の前に差し出してきた。
「えっ?」
「えっ? じゃないわよ。これからよろしくの握手をしましょうよ?」
さっき初めて女子に手を握られたばっかりなのに一日に二回も俺は女子の手に触れるのか!?
いっ、いや……これは握手だから徳川に握られたのとは少し意味合いが違うよな。
「何をしているの、竹中君? 早く手を出してよ?」
な、なんだ、この威圧感は?
それにさっきまでとは違い鋭い眼光になっているぞ!?
こ、この子……見た目は
もしかして『元ヤンキー』とかなのか?
そんな事を思いながら俺は恐る恐る本多太鳳に手を差し出す。
ギュっ!!
俺が手を差し出すと直ぐに本多から俺の手を握り握手をしてきた。
そして彼女はニヤリとしながら力強く握ってくる。
ギュ―――ッ!!
ん? この子、女子にしては結構力があるよな。
ギュ――――――ッ!!
本多は更に強く握ってきたので俺も少しだけ力を入れてやった。
「ウワッ!? た、竹中君、ア、アンタなかなかやるわね? 私、驚いたわ!!」
「えっ? 何のことだ……?」
「私、握力には自信があって今まで男子にだって負けたことがないんだけど、ア、アンタ凄いわ……」
「そうか? これくらい普通だと思うけど……」
俺がそう言うと徳川が慌てた様子で間に入って来て本多に注意をし始めた。
「太鳳ちゃん、いつまで竹中君の手を握っているの? それに竹中君に『アンタ』って呼ぶのは失礼でしょ~? それに太鳳ちゃんはクラスの『風紀委員』なんだし、みんなの模範生徒にもならなくちゃいけないんだからもう少し女の子らしく振舞ってもらわないと困るわぁぁ」
すると本多はさっきまでの鋭い眼光が消え、今にも泣き出しそうな顔になり徳川に謝り出した。
「も、申し訳ありません、伊緒奈お嬢様!! 私としたことが久しぶりに『骨のありそうな男子』に出会った気がして、つい調子に乗ってしまいました。本当に申し訳ございません!!」
何だ、今の本多のセリフにはいくつも突っ込みどころがあるというか、聞きたい事があるんだけども……
「太鳳ちゃん、学園内では私のことを伊緒奈お嬢様って呼ばない約束でしょ? もう、竹中君がとても驚いた顔をしているじゃないのぉぉ……ゴメンなさいね、竹中君……」
「べ、別にいいけど……徳川さんはお嬢様なんだな……?」
俺は思い切ってそれだけを聞いてみた。
すると、隣にいる本多太鳳が、
「伊緒奈お嬢様、いや、伊緒奈さん!! ここは私に説明させていただけないでしょうか? お願い致します!!」
本多の懇願に困惑した表情をしている徳川だったが、無言で頷く。
そして本多は先程までの泣きそうな表情から今度は笑顔で俺に徳川の説明を始めた。
「た、竹中君、君は『トクガワキヨシ』って知っているかな?」
『トクガワキヨシ』……ん? それってアレのことか……?
もしかして全国に何百、いや、何千店舗も出している、あの大手ドラッグストアの『トクガワキヨシ』のことか!?
「ドラッグストアの……?」
「そうよ!! そのドラッグストアの『トクガワキヨシ』よ。そしてその『トクガワキヨシ』というお方こそ、ここにおられる伊緒奈お嬢様……いや、伊緒奈さんの御爺様であられ、あられ、られられ……ん?」
本多、最後まで頑張れ!!
ってか、徳川伊緒奈はあの大手ドラッグストア『トクガワキヨシ』の孫娘だと!?
な、なるほど……通りで品があると思っていたんだ。
こいつ、マジで『お嬢様』だったんだな?
「太鳳ちゃん、説明はもういいわ。それにロレツも回っていないみたいだし、今の説明で竹中君はもう理解できたみたいだから……ね?」
「あ、ああ……理解した……」
そして驚いた。
俺はこんなお嬢様に毎日、話しかけられていたのか?
何故、こんなお嬢様が俺みたいな『陰キャオタク』に絡んでくるんだ!?
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お読みいただきありがとうございました。
徳川伊緒奈の幼馴染の本多太鳳は体は小さいが握力など力は強いらしい。
でも颯には自慢の握力もあまり通じなかったみたいで本多はとても驚いていた。
そんな中、徳川が大手ドラッグストア『トクガワキヨシ』会長の孫娘だということが発覚する。
驚きを隠せない颯であったが、逆にそんなお嬢様が自分なんかに絡んでくるのか不思議で仕方がなかった。
ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆
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