第9話 羽柴陽菜
あの二年生女子の名前か? っていうか二人はあの二年生女子を知っているのか?
それに前田は外部入学だろ?
何故、知っているんだ?
しかし、この羽柴っていう人も美人というか可愛いらしい顔をしているな。
アニメキャラみたいな顔だ。
身長は低いけど目鼻立ちははっきりしていているし、ショートカットの髪型もよく似合っている。
何より身長のわりに、む、む、胸がデカイ!!
織田会長や黒田先生、それに徳川もデカイ方だとは思うが羽柴さんは身長が低いから余計に胸が目立ってしまう。
あ、あの胸は反則だろ!?
お陰で寝ぼけた顔をしていたクラスの男子共は完全に目を覚まし、羽柴さんの胸を凝視しているけどな。
「一年一組の皆さーん、おはようございまーす。朝早くから失礼しますねー? 私は二年の羽柴陽菜といいます。そして生徒会では副会長をさせていただいておりまーす」
こ、声もアニメ声だぞ!!
それにこの羽柴さんは生徒会副会長だったのか!?
その副会長が朝っぱらから、このクラスに何の用があるんだろう?
「皆さんは入学してからまだ今日で二日目ということですので、高等部のことはあまり知らないと思います。なので、もし分からないことや困ったことがあれば、いつでも生徒会を頼ってくださいねーっ!? 今日はそれをお伝えする為に織田会長の支持を頂いてお邪魔させていただきました。朝早くからお騒がせしてゴメンなさーい」
羽柴陽菜副会長がそう言い終わると、クラスの男女数名が彼女にかけより色々と話かけている。
「陽菜先輩、お久しぶりです! 相変わらず可愛らしいですね?」
「羽柴副会長、初めまして! これから頼らせて頂きます!!」
「羽柴先輩、中等部の頃よりも更に可愛らしいです!!」
「フフフ、みんなありがとう……これからよろしくねーっ」
凄い人気だな。でも、まぁそうだよな。
中等部の頃からこの人は有名だったんだろうし……
勿論、『陰キャオタク』の俺は羽柴さんのことは全然知らないけどな……
ただ、あれだけ人気者の羽柴さんの本当の性格なんて誰も分からないからな。
結構、腹黒の可能性だってあるんだ。
まぁ、『人気投票』を意識している奴等は多かれ少なかれ、ある意味腹黒だと思うけどな!!
ん? でも待てよ。
羽柴さんが来た途端、徳川も前田も急に大人しくなったよな?
徳川はノートに何か書いているし、前田は口笛を吹きながら窓の外を眺めている。
急にどうしたんだ、この二人は?
でも、まぁいっか。二人に大人しくなった理由なんかを根掘り葉掘り聞く様な間柄でも無いし……それに、お陰で静かになって俺としては有難いことだからな。
「それでは皆さん、いつでも生徒会に遊びに来てくださいねーっ!? あっ、もし個人的に相談があれば、私のクラスの二年二組の教室に来てもらっても構わないですからーっ!! それでは皆さん、またお会いしましょうねーっ」
羽柴さんは、笑顔で元気よくそう言いながら教室を出て行った。
「でさぁ、颯!! 作戦会議のことなんだけどさーっ!!」
な、何だよ、前田!?
羽柴さんがいなくなった途端に『ウザイ奴』に戻るんじゃねぇよ!!
俺としてはとても悲しいよ……
「あっ、そうそう……そういえば竹中君って趣味は何なのかしら?」
徳川、お前もかよ!?
いきなり俺の趣味を聞くなよな!!
『お見合い』かよ!?
ってか、お前はさっきまでノートに何を書いていたんだ?
困ったなぁ……この二人の近くにいると、『元陽キャ』の血が騒いでしまう。
こいつらに本当は声に出して思い切り突っ込んでやりたい。
でも、それは絶対にダメだ。
突っ込みを入れるということは仲が良いってことになる。
仲が良いってことは友達同士ってことだ。
そして俺が友達だと認めてしまったらあとは裏切られるってのがオチなんだよ……
だから俺は学生のうちは友達はいらない。勉強だけを頑張るって決めたんだ。
そして『一流企業』に就職して明智と釣り合える様な男になると決めたんだ!!
キーン コーン カーン コーン キーン コーン カーン コーーーン
た、助かった。チャイムに救われたぞ。
しかし『業間休み』の間もこの二人には話しかけられそうだよな。
うーん、どうしよう……
よし、授業が終わった瞬間にトイレに逃げよう。
でも、もし前田がついてきたら……
職員用トイレに行くしかないな……
ああ、めんどくせぇ!!
――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
颯のクラスに突然現れた生徒会副会長の羽柴陽菜。
どうも前田と徳川は彼女を知っているようだが颯は聞かなかった。
そして羽柴はクラスの人達にいつでも相談に来てね?と愛想を振りまき帰って行くのだった。
羽柴がいなくなった途端に颯に話しかけてくる前田と徳川……
颯は怪しさを感じるよりもめんどくさい奴等だと思うのだった。
ということでどうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます