第4話 織田乃恵瑠
髪は黒髪のロングヘアー、身長は俺より少し低いとは思うが165センチはあるだろう。そして、スタイルも抜群、目鼻立ちは整っており、肌も白くて『超絶美人』の女性だ。
まさか、地元からこんなにも離れていて、それもかなり偏差値の高いこの学園に同じ小学校の人がいたなんて……マジで驚いてしまった。
彼女は俺と同じ小学校に通っていた一個上の先輩で、俺がまだ『陽キャ』だった頃、彼女が同級生の男子達にイジメられているところを一度だけ助けたことがある。
あの当時から綺麗な顔立ちだったから今から考えるとイジメていた男子達は彼女のことが好き過ぎた結果、愛情表現としてイジメていたのかもしれない。
でもイジメられている側からすればそんなのは関係ない。
イジメはイジメなんだ。
それにあの時の俺は正義感が強かったし、『好きだからイジメる』なんていう発想なんてある訳無いからな。だから相手が年上だろうが立ち向かっていった。
そして俺は上級生数名に勝ってしまったんだ。
彼女はとても驚いた顔をしながら俺にお礼を言っていたよなぁ……
まぁ、今の俺には上級生に立ち向かう根性なんてある訳ないけどな……
もし、目の前で明智がイジメられていたら話は別だが……
ん? 待てよ?
明智がいたら昔みたいな行動がとれるかもしれないと思っている俺は、もしかして明智のことが好きだということなのだろうか……?
イヤイヤイヤッ、いくら明智でも今の俺は『二次元の世界』しか興味のない『オタク』だ。
だからもし明智を助けるとしても、それは『大事な友人』としてだと思う。
いや、きっとそうだと思う……そう思いたい……
それにしても、いくら俺が『中等部』で友達がいなくて情報を仕入れることが出来なかったとはいえ、どこから見ても『超陽キャ』で『超絶美人』の織田乃恵瑠が同じ『中等部』にいたことを知らなかったというのも不思議である。
もしかして『外部入学』なのか?
もし、そうなら頭はかなり良いはずだな。
うちの学園は偏差値が高く、外部入学するのはかなり難しいはずだからな。
そんな彼女は現在、二年生にして『高等部』の生徒会長だ。ということはこの学園のシステムの流れで言えば一年生の九月末には学園で一番人気のある女子になっていたということになる。
まさか、『高校デビュー』ってやつか?
いや、もしそうだとしても……
そんな入学してたった半年くらいで先輩達を抑えて学園一の人気者になるなんて普通は無理だろう……
ってことは外部入学ではなく、『中等部』時代に密かに同級生達の人気を集める努力をしてから『高等部』に進級して満を持して生徒会長選挙に立候補をし、そして一年生の票を全部かっさらうという作戦でも行ったのだろうか……
それにしても、何でこの俺が彼女の人気取りの戦略やら考えなきゃいけないんだ。
どうせ俺みたいな『陰キャ』が彼女のような人と交わることなんてあり得ないのにさ。
あんな人気者が当時、俺に助けられたことがあるってことさえ覚えているはずが無いのに……もし覚えていたら『中等部』の頃に話かけてきてもおかしくないのだから……
「新入生の皆さんは、この高等部のシステムはご存じだと思いますが、そんなに身構えなくても構いませんよ。無理して自分を作る必要はありません。無理をして人気者になろうとしても疲れるだけですよ。せっかく高校生なったんですだから青春を楽しまなくちゃね? だから自然体で学園生活を楽しんでください。その自然体の姿がアナタ達の魅力なんですからね。ウフッ……」
何だ、最後の『ウフッ』は!?
めちゃくちゃ可愛いけど、どう考えても芝居だろ?
「うわぁ、織田会長ってめちゃくちゃ可愛いし、俺達の不安を初日で取り除いてくれたよなぁ……」
「ほんと、とても気が楽になったよ」
「乃恵瑠会長って素敵な人よね? 私、憧れちゃうわ……」
えっ? 何だよ、こいつ等は?
まんまと織田乃恵瑠の戦略に引っかかっているじゃないか。
ってか、これは戦略なのか?
俺の考え過ぎってこともあるよな?
でも、あれだけの言葉は普通、出てこないだろ?
事前にかなり練習したのかもしれないな?
もし、今の挨拶が本心だとしたら俺の大好きなアニメ『魔法少女ソフィア』の『ソフィアちゃん』と同じくらいに天使じゃないか!!
悔しいけど若干、顔も似ているしな……
ってか、さっきから何で俺には全然関係ないことを考えているのだろう?
早く入学式、終わってくれ!!
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お読みいただきありがとうございました。
生徒会長の織田乃恵瑠が颯の通っていた小学校と同じで昔、一度だけ彼女を助けたことを思い出す颯。
そしてつい、彼女が生徒会長に上り詰めるまでの戦略を無意味に考えてしまう。
果たしてこれから『陰キャ』の颯と『陽キャで超絶美少女』織田乃恵瑠が絡むことはあるのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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