第3話 仙石学園入学式
自宅に引きこもった俺だったけど、別に何もしていない訳ではなかった。
俺は明智を見習って勉強は頑張ってやっていたんだ。
俺が勉強を頑張ったのには目的が二つある。
まず一つ目の目的は『中学受験』を受ける為だ。
さすがにあんな奴等がいる中学に俺は行きたくなかったし、行けば同じような事が起こってしまうだろうと思っていたからだ。
そして二つ目の目的は勉強を頑張って明智ほどの天才にはなれなくても、いつか明智と再会した時に恥ずかしくない男になりたかったから……
明智の連絡先は聞いていなかったからこれまでやり取りなんてできなかったけど、何となく俺はいつか明智と再会できると思っていたんだ。
そんな学校には行かないが必死で『中学受験合格』の為に勉強を頑張っている俺に対して両親は協力をしてくれた。なんと家庭教師を雇ってくれたのだ。
今でも俺は両親と家庭教師に感謝している。
そのお陰で家庭教師の教え方も凄く分かりやすかったということもあり俺のレベルはみるみるうちに上がっていき、晴れて地元から離れた昔から名門と呼ばれている『
この学園は前の年までは女子校だった。
でも俺が受験を受けようと思った年から共学になったのだ。
少子化の影響があるのかもしれないが、はっきりとした理由は分からない。
そして中学生になった俺だったが新天地で明智のようにやり直す気持ちは無かった。
友達をつくる気持ちが無くなっていたのだ。
小学生の頃に植え付けられた『友達は裏切るもの』というトラウマが消えていないということも有るが、俺が自宅に引きこもっている間に勉強の傍ら、深夜アニメに出会い、そしてそのアニメの原作であるラノベやゲームに出会い、俺は友達なんかいなくても全然、生きていける事に気がついたからだ。
いつの間にか俺の友達は『二次元の世界』にいるキャラ達になっていた。
そう、俺は完全に世に言う『陰キャオタク』になっていたのだ。
だから俺は休み時間は教室でラノベをひたすら読んでいた。
たまにクラスの奴が俺に話しかけてきても適当な返事をしていた。
勿論、遊びの誘いなんて全て断っていた。
なので、そんな俺にクラスの奴等もいつの間にか話しかけて来なくなっていた。
まぁ、小学生の頃の様な無視ではない。必要最小限の事は話しかけてくれるし、俺も必要最小限の返事はしていた。
うん、こんな関係が丁度いい……
とりあえず俺は勉強を頑張って良い大学に行って良い会社に入って明智と再会した時に少しでも釣り合える様な男になりたいという目標を抱いて生きていたんだ。
そして俺は遂に高校生になった。
『高等部』は『中等部』とは少し、いや全然雰囲気が違うというか学園内のシステムが違い過ぎていた。
俺は友達がいなかったので『高等部』の事を何も知らなかったが中三の時の担任の話を聞いて驚きを隠せなかった。
何故ならこの学園の『高等部』は昔から『投票部』という訳の分からない部活があり、そしてその『投票部』が中心となって毎学期にクラス及び学年の『人気投票』が行われる。
また、クラスの決め事も『投票』で決める事が多いらしい……
こんなことをして何の意味があるんだ?
成績に関わってくるのか?
そして毎年九月末に行われる『生徒会選挙』……
これはどこの学校でも同じことだが、これが最大の『人気投票』、この学園で一番人気のある生徒が選ばれ、自動的にその人が『生徒会長』となる。
但し、副会長以下、他の役員は生徒会長が任命する権利があるそうだ。
この話を聞いた俺はあることに納得する。
なるほどな……
だ、だから、このシステムを知っていた『中等部』の奴等は意外と『良い奴』が多かったんだ。俺みたいな陰キャでもイジメることなく、それなりに当たり障りの無い扱いをしてくれていたんだ。
要は『高等部』に進級した際の『人気取り』の為には俺みたいな奴の一票でも大切だということなんだ。
そして俺は今、『入学式』に出席している。
壇上には『現生徒会長』である女子生徒が俺達、新入生に対して挨拶をしているが……
この人、どこかで見た事があるような……
あっ!?
壇上で堂々とし挨拶をしている超絶美人のこの人は俺と同じ小学校に通っていた一個上の『
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お読みいただきありがとうございました。
高校生になった颯だが『中等部』とは違い『高等部』は何やらおかしな部活『投票部』があるそうだ。
そしてこと有るごとに『人気投票』が行われると言う……
一体、この『人気投票システム』は何の為にあるのか?
颯は入学早々、不安が募るのであった。
そして入学式、颯の前で挨拶をしている超絶美少女の生徒会長……
その生徒会長の名前は『織田乃恵瑠』、颯が通っていた小学校の一個上の先輩だった。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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