第2話 明智神影
俺がクラスの女子達にキレてから状況が一変してしまった。
明智に対するイジメは無くなったが、俺はクラスの女子達から無視されるようになったのだ。
でも、当時の俺はそんな事を気にする性格でも無かったし、男友達はたくさんいるから大丈夫だと思っていた。
その時までは……
しかし、いつしかクラスの男子達も俺を避ける様になっていたのだ。
どうもクラスのリーダー格の女子が男子達に圧力をかけていたみたいだ。
俺が親友と思っていた数名までもが俺のことを避ける様になった。
そして俺は一人ぼっちになってしまう。
正確には俺と明智の二人だけがクラスでつまはじきにされる形になってしまったのだ。
それでもまだこの時の俺は心が強かった。
それはまだ俺には明智神影がいたから……
俺は一人じゃない……それだけが俺の心の救いだったんだ。
でも、その心の救いまでもが消えてしまう事が起きてしまう。
そう、明智の母親が再婚する事になり、新しい父親の都合で海外に引っ越す事になったのだ。
俺はめちゃくちゃショックだった。
『明智、俺を一人にしないでくれ!!』と叫びたかった。
でも俺は、
「よ、良かったな、明智……これでお前はこの息苦しい教室から晴れて脱出する事ができるじゃないか。外国の学校でやり直しができる明智が羨ましいよ……」
「で、でも……私は竹中君とずっと一緒にいたかったなぁ……」
「ハハハ、バカな事を言うなよ、明智。俺と一緒にいたってろくなことは無いんだぞ。それよりも新しいところで人生をやり直した方がずっと良いに決まっているじゃないか!!」
「で、でも……竹中君が一人になっちゃうし……」
「ハハハ、俺の事は気にしなくていいよ。俺は大丈夫だからさ。五年生になればクラス替えもあるし、また前の様に友達もたくさんできるから……」
「う、うん……そうなる様に願っているね? 元気で頑張ってね? いつか竹中君に今まで助けてくれた恩返しをするから……」
「何を言っているんだよ? 別に恩返しなんていらないよ。そんな事よりも、これからも勉強頑張って、俺が将来、明智と友達だった事を自慢できる様な凄い人になってくれよな? ハハハハ……」
「う、うん……分かった……私、竹中君が自慢できる様な友達になれるように頑張るね……」
こうして明智は俺の前からいなくなった。
そして俺は五年生になり、一から友達を作り直そうと努力をしたが、世の中そんなに甘くは無かった。
四年生の時に同じクラスだった奴等が俺の事をあまり知らないクラスメイト達に悪口を言いまくっていたのだ。
お陰で友達になろうと思っていた新しいクラスメイト達も俺の事を避けだしたのだ。
当然、女子は完全に前のクラスメイトの女子達に洗脳されているかの様に俺の事を汚いものを見るような目で見ている。
さすがの俺もショックだった。
心が折れるというのはこういうことなんだと初めて思った。
こうして俺は小学生の間、ずっとイジメられることになる。
俺に対するイジメは直接、行動を起こしたり俺に暴言を吐いたりということはない。
何故なら俺は元々喧嘩が強かった為に俺がキレて殴りかかられるのを恐れていたからだ。
だから俺に対するイジメは無視を中心に俺がいない間に机に『死ね』などの落書きをされたり、上靴を隠されたり、教科書を破られたり……
本当に陰湿なイジメだった。それでも俺は耐えていた。
しかしある時、事件が起きる。
俺の机に落書きをしているところを直接、目撃してしまったのだ。
それも落書きをしていたのは俺が四年生の途中まで親友だと思っていた奴等だった。
俺はショックと怒りのあまり、奴等を立ち上がれないくらいに殴りまくってしまう。
しかし学校側に呼び出され怒られたのは俺と両親だけだった。
あいつ等は被害者扱いになっていたのだ。
恐らくクラスの他の奴等が嘘の証言をしたのだろう。
俺の机に書かれていた証拠の落書きも先生が来るまでに消されていたみたいだしな。
こうして俺は学校全体の中で孤立した。
そしてこの日から俺は学校に行かなくなってしまった。
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お読みいただきありがとうございました。
いつの間にか心のよりどころにしていた明智が目の前からいなくなり一人ぼっちになった颯……
その颯は単独でいじめの対象となってしまう。
親友だと思っていた友達にも裏切られ、最終的に同級生全員に裏切られた颯は遂に登校拒否になってしまう。
果たしてこれからの颯の運命はどうなる?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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