ゾンビパパは臭い 〔400文字〕
楠本恵士
全1話
休日──リビングで立ったまま朝刊を読んでいた。勝夫のところに不機嫌そうな顔で大学生の娘がやって来て。
勝夫めがけて、ビニール袋に入った衣服を投げつけて言った。
「お父さん!何度言ったらわかるの!あたしの衣服と一緒に、お父さんの下着洗わないで!お父さんの臭いが移るでしょう!頭腐っているんじゃない?」
娘に怒鳴られた勝夫が 、腐汁で汚れた新聞を手に。風呂場に行くと、妻が嫌そうな顔で勝夫に言った。
「お風呂入るんですか? あなたが入った後のお湯は黒く濁って臭いますから、バスタブ消毒してくださいね」
勝夫は、半年前に科学工場の廃液タンクの中に落ちて溺死して、知性があるゾンビになった。
家のローンも残ってるので勝夫は、働き続けるしかなかった。
不眠不休で動き続けるゾンビパパ──それが勝夫だった。
背中の毛を逆立てて威嚇してくる愛猫を見ながら勝夫は思った。
(ゾンビになっても、居場所がなくて嫌われるのは変わらないな)
おわり
ゾンビパパは臭い 〔400文字〕 楠本恵士 @67853-_-
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