第4話
スマホを見て苦い顔をしていたからか、洗い物をしていたはずの妻は、一言。
「……気付いたようね グラタン」
「ああ、これね これは違うんだ。ただの食事会、食事会だから」
「えっ? 食事会 何のことかしら?」
「だから、中森君との写真にグラタンがうつっていたからグラタンに毒って話をしたんだろ?」
「ああ、その話ね……」
「中森さん……その方は、現在もこの世におられるお方なのかしらね?」
「いや……だから、会社の同僚で、そういう関係ではないんだって。信じてくれ 頼む」
「信じてくれも何も、何のことかしら?」
「私は中森さんなんて知らないし、今後知ることもないだろうからいいのよ」
そんな風に言った妻は優しく微笑んだ。
「ありがとう」
妻の微笑みに安心しきっていた俺はそんな呑気なことを言った。
この日の俺はまた知らない……
妻の言葉の意味と微笑んだ本当の理由を、休み明けの3日後に出勤した際、知ることとなることを……
「中森は無断で欠勤っと……」
「誰か連絡取れるやつ、中森に連絡しといてくれないか~?」
部長に頼まれ電話をかけてももう遅い。
中森が電話に出ることは2度となかった。
毒を混ぜても気付かれない食べ物って? 七寒六温 @nanakanrokuon
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