07 冬

 待ち合わせ場所。

 冬。

 雪がちらついている。

 彼が、誰かに付き添われて、歩いてくる。顔が朱い。


「お連れしました。では、私はこれで」


 見知らぬ女性。電話に出たひと、だろうか。


「あの」


「私のことはいいんです。おふたりでこころゆくまでお話を」


「待ってくれ。俺はおまえが」


「もう終わりにしましょう。ありがとうございました。ひとめぼれなんて、いつか終わるんです。私とのことは、夢だったと思ってください」


 去ろうとする女性の腕を、とっさに掴んだ。

 店長に話を聞いていて、よかった。本当によかった。


「待ってください」


「なんですか?」


 女性の、怪訝けげんな顔。


「わたしを、抱けますか?」

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