2-9 地方軍司令官
「アンリ殿は、他の
アンリは会った当初、
「ええ、昔、村の村長と、魔獣狩りの指揮などを……」
それを聞いたオイゲンは目を輝かせ、心の中で「この人だ!」と叫んだ。そして、アンリに頭を下げて御願いした。
「どうか、私の地方軍の
アンリは、突然、余所者である自分に頭を下げる恩人を見て戸惑った。
「頭を御上げください!」
オイゲンは頭を上げた。そして、その表情は真剣その物だった。
明らかに冗談ではない雰囲気に、アンリは疑問を持たずにはいられなかった。
「何故、私なのですか? ここに来て間も無く、信用に値する人物かまだ分からない筈です。そんな人物より、この町に長く住み、信頼できる者は沢山いるでしょう」
「いえ、信用は出来ます! 貴方は
「しかし、前から貴方の下で働いている者達からの反発は免れないでしょう。我々はまだ他所者ですから……」
「それは何とかします」
「何とかとは、そんなアヤフヤな……」
アンリは困りながら、断る言い訳を求めて頭を巡らせた。やはり他所者でしかない自分が重要な役職に就くなど、考えられなかったのだ。
しかし、オイゲンの意志は固く、何としてもアンリを司令官の椅子に座らせる気であった。
そんなオイゲンの折れそうにない瞳を見て、アンリは観念し、妥協した。
「分かりました、お引き受けしましょう……分からない事が多く、御迷惑をお掛けするでしょうが……」
「ありがとうございます!」
オイゲンはまた、アンリに頭を下げ、アンリはまた困った様子でそれを見詰めるのだった。
アンリは、フライブルク軍司令官の役職に就いた。
やはり最初は、軍経験の無い他所者が司令官になったということで、地方軍の他の兵士達から白い目で見られていた。
しかし、オイゲンがアンリに様々な事をレクチャーし、すぐにアンリは司令官としての能力を発揮する。
素材収集の為の魔獣討伐の際、優れた指揮をとり、政治に関しても、オイゲンに的確なアドバイスをし始めた。
ほんの短期間で、アンリは見事に司令官としての実力を示していったのだ。
それを見た兵士達は徐々にアンリを認めざるを得なくなり、彼に対して白い目ではなく、尊敬の目で見るようになっていった。
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