第1章 ヴァルト村の戦い
1-1 軍服の森人
太陽が眩しく光る昼時、ゲルマン帝国とブリュメール共和国の国境近くの、森に囲まれた人口200人程度のヴァルト村に、村人らしき人々の姿は無かった。代わりに、銃を持ったゲルマン帝国の兵士達が歩き回り、村の中にはいくつもの軍用テントが張り巡らされていた。
正に
しかし、そんな村では、誰かを探す、透き通った綺麗な少女の声が響いていた。
「大尉、何処ですか⁈」
その少女は、淡いブロンドのセミロングの髪を後ろで縛り、エメラルドの様に綺麗な瞳、そして、とがった耳を持った、18歳ぐらいの美しい
その様相は
軍人がウヨウヨ居る様な場所には似つかわしくないスレンダーなモデル体型の少女。しかし、彼女の服装は、場に合う存在だと示すゲルマン帝国軍の軍服であり、一兵士と呼ぶにはしっかりとした服であった。
そして、その軍服の襟元には、准尉を示すバッジが付いていた。
軍に
士官である筈の少女、なのだが、今、彼女は、行方をくらませた上官、大尉を先程から探すという、一兵士の様な仕事をさせられていた。
「まったく、あの人は……一体、何処に行ったんだか……」
長い間、大尉を探しているのだが、なかなか見つけられず、そろそろ少し疲れてきていたのだ。
見つかる目処も立たず、只、村を歩き回る
「そこの君……」
「はいっ?」
「はいっ‼︎ 御用件は何でしょうか!」
「大尉、何処にいるか知りませんか?」
「大尉ならあそこのテントで、兵士達とトランプをしております‼︎」
「本当ですか⁉︎」
兵士の意外な答えに驚いた
「またか……」
頭を抱えながら、そう呟くのだった。
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