第58話 未来予知の日 後編

「ん?このタンカー何か変だ」


 謎の爆発の原因を探る為に超能力の一つ”透視”を使ってみたんだけど、このタンカーの積んでいるコンテナはハリボテだった。

そもそもこの船がおかしい、船を動かす為の動力と燃焼、それ以外の大半が劇薬で残りが爆薬だった。


「最初からここで爆発させる為に作ったタンカーってこと?」


 なんて迷惑な・・・!

どこのどいつが計画したのか突き止めてやる!!


 ボクはタンカーに降り立ち、まずは止まっている乗組員を確認してみた。

一目見てアジア人だとはわかるけど、どこの国かまでは見てわからないや。


 「身分証とか持ってないよね?」


 免許書とか無いかな?

免許じゃないけど何かカードキーみたいなの持ってた。


「ブルーサーティー?これ名前なの?青の30?」


 他の乗組員も探ってみると同じようなカードキーを持っていて、ブルートゥエンティエイトだったりブルートウェンティシックスと書かれていた。


「コードネームとかかな?カードキーと銃くらいしか持ってないなこの人達」


 コドネのカードキー持ってる時点で普通の貨物車乗組員ではないのは確定しているから、銃を持っていても驚かないけどね。

銃は物騒(ボクには効かないと思うけど)だから没収しとこうね。

倉庫代わりに使える空間魔法の中に放りこんでおく。お菓子のゴミとかレシートとか入れてたけど後でちゃんと捨てなきゃ・・・


「うーん、乗組員多いなぁ・・・サイコキネシス(見えない手)を千手観音モードにして一気に取り上げちゃおう!」


一々ひとりひとり持ち物を探るのは面倒になってきたので一気にやっちゃうことにした。






「ん?なんだこれ?」


 取り上げたカードキーと銃を手元に持ってきて空間魔法内部にポイしてたら、見た事ない物があった。

トランシーバーっぽいけど、マイクもスピーカーも付いてなくて真ん中に赤くて大きめのボタンが一つだけ付いている。

しかもその赤いボタンにはどくろマークが刻印されている。


「アニメに出てくるような分かり易い爆破ボタンじゃん!」


 間違って押してしまわないようにそっと空間魔法内に置く。

入れた物は個別の空間に仕舞われるみたいだから置くときに気を付ければ大丈夫。


 もう自爆ボタンは取り合えたから帰っていいかな?


あ、ダメですか。未来予知さんがこのまま帰るとこの人達自力で爆破しようとすると教えてくれました。


 仕方ないのでタンカー内部にある爆薬を空間魔法で回収した。

爆発しなければ大丈夫でしょう!








 え?劇薬を海にバケツリレーで捨てるって?!

劇薬を被りながらも日本海にダメージを与えようとするとか、どんだけ嫌がらせに命掛けてるのさ!!

未来予知さん仕事しすぎで過労死しちゃうよ!


 もう徹底的に処理しちゃおう!

乗組員を除いたタンカー丸ごと空間魔法内に収納!!

乗組員は根性あるみたいだから海に放り出す!!まだ秋だから凍死はしないでしょ!

根性で泳げ!!ここからなら北〇鮮か〇シアが近いよ!!


 さらに鑑定魔法とかありそうだと思ってやってみたら出来たのでタンカーを鑑定して、ブルー教団なるカルト宗教国家が元凶だと分かったので、その潜伏地へと飛んで行って劇薬入りのタンカーを丸ごとブルー教団の教祖の家の前に突き立ててきた。


 未来予知さんも何も言ってこなくなったのでボクは雪子さんの車まで戻り時間停止を解除した。

その後は未来予知さんは反応しなかったので無事家に帰れた。


 全てを青くするとのたまうカルト宗教、ブルー教団は海に色を付けるという蛮行をやろうとするが、突如送り出したタンカーが地表に突き刺さった状態で戻ってくいるという超常現象にビビリちらかし教祖が他宗教の神に縋り破門になった。

次に教祖を決める会議を開くも誰も立候補者がおらず、結局ブルー教団は潰えたのであった。


 と、後日鑑定魔法さんにどうなったのか聞いたら教えてくれた。


 

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