第53話 運動会 前半

 運動会の日になった。

ボクたちSクラスは人数が少ないので、それだけで他のクラスへのハンデとなっている。

唯一負けてしまう競技は綱引きくらいだろう。


 ボクは余った借り物競争と騎馬戦とチアガールに参加する事になった。

白聖小の運動会は紅組白組ではなくS・A・B・C・Dの五つの組に分けられたバトルになる。

下位のクラスほど人数が増えるので、それがハンデになっている。


 Aクラスの井地川くんもSクラスをライバル視してるけどBクラス以下からも狙われていることを分かっているのかな?


 クラス毎なので、もちろん上級生達も味方だ。

前の球技大会の時は本当に小学生?と思いたくなるような活躍をしていた。

前の人生の時は知らんかったけど、スポーツアニメに出てくるような超人小学生って本当にいるんだね。


「一番の超人が何言ってんの?」


「あ、公太郎くんだ」


「運動会で魔法は使わないようにね」


「もちろんだよ!そんな大人げない事はしないよ!」


 魔法を使えるのなんてボクと公太郎くんだけだもんね、それはズルになっちゃうから使わないよ。

公太郎くんと一騎打ちになるなら使うけどね。


「俺相手でも使わないでくれよ?才能が桁違いなんだから」


「え?そうなの?」


 ダメらしい。





 競技は序盤から競争が続いていく、50mと100mと400m走、その全てに球児は参加していて、学年ごとの競争だったため、同じ一年生は相手にならずに全て一位を取った。


 玉入れは全員参加だったので、ボクは落ちている玉を掴んだ瞬間上に放り投げるノールック投法で落ちてる玉全てを入れてやった。

雅ちゃんに褒められたのでぺったんこの胸を張ってドヤった。

時間以内に玉が無くなるのは滅多にないらしく、残り時間ウチのクラスのみんなは暇そうだった。やり過ぎた?


 その次は騎馬戦だった。

騎馬戦は学年合同でSクラスは3騎、Aクラスが6騎、Bが10、Cが15,Dが20騎となる。

ボクはちびっ子なので馬じゃなくて上の騎士だ。

腕が短いのがネックかな。


 Sクラスの騎馬戦のエースは6年の鷹野先輩らしい。

スポーツ万能、頭脳明晰と言われていて、特に運動関係のイベントには率先して参加し、ほとんどの種目を勝っている常勝無敗と有名な先輩だ。


 鷹野先輩は雄たけびを上げながら相手の騎馬の群れに突っ込んでいった。戦略とか無しに実力でねじ伏せるつもりだしい。


 ボクの騎馬は乗っているのが軽いボクなので機動力が高い。

その機動力を活かしてヒット&アウェーでハチマキを集めて行く。


「ふんふんふん!!」


 鷹野先輩は身体を捻りながら敵の攻撃を避けまくりハチマキを奪っていく。

鷹野先輩が激しく上で動くので馬の人達の負担が凄いけど大丈夫なのだろうか?


「隙ありぃ!」


「無いです」


 ボクの後ろから迫ってきていた騎馬の攻撃を最小限で躱しカウンターでハチマキを取る。


 騎馬戦終了時には鷹野先輩よりもボクの方が取ったハチマキが多かった。

鷹野先輩は囲まれ過ぎて半分以上躱すことに専念してたもんね。

それでもハチマキを奪われることが無かったのは素直にすごいと思った。


 午前最後の競技である綱引きは普通に負けた。

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