第50話 狐神さんに会いに行く
「おお!百合姫よ、よく来たのう!」
「こんにちは狐神さん!」
ボクは初詣で行った近所の神社へ来ていた。
目的はここの神様である狐神さんに会いに来たのだ。
「これ手土産です」
「ほあぁ!!こ、これは稲荷寿司じゃあないかっ!!ワシの大好物じゃ!!」
狐と言えば稲荷寿司や油揚げ、というイメージで手土産として持っていったら大喜びされた。
「た、食べても良いかのう?!」
「どうぞ」
「いただきますなのじゃ!!」
狐神さんは勢いよく稲荷寿司を食べだした。
すごくお腹を空かせた犬がエサを食べているような食べっぷりだ。
しかし、狐を祀っている神社なのに稲荷寿司のお供えとか無いのかな?
久々に食べたかのような食べっぷりなんだけど・・・聞いてみよっか。
「神社にお供えとかされないんですか?」
「はぐはぐっ!・・・たまにされるが・・・すぐに神主一家が食べてしまうのじゃ!!あやつらワシの事見えないから・・・お供えされたものが食べ物だと・・・痛む前にと食ってしまうのじゃ!!ムシャムシャっ!」
「な、なるほど」
「ふー・・・ごちそうさまなのじゃ!!神主一家も昔はワシの声くらいは聞こえてたんじゃが、代を重ねると全く力を持たなくなったのじゃ」
「うーん、科学の発展のせいですかね?」
「まぁ考えても解決せんから別に良いのじゃ!それより百合姫は何かワシに用事でもあるのかの?」
「あ、そうでした!狐神さんから頂いた葉っぱを変化させる能力なんですが、一応出来るようになったので見てもらっていいですか?」
「ほほう!やはり呑み込みが早かったか!よかろう、ワシが見てやる!やってみよ!!」
ボクは腰に付けたポシェットから事前に集めておいた葉っぱを取り出し、まずは稲荷寿司に変えてみた・・・あ、手土産の稲荷寿司はちゃんと買ったやつだからね!
次は目の前にいる狐神さんそっくりのものを作り出し、最後に狐をモチーフにしたロボットにしてみた。
「な、なんじゃと?!葉っぱから稲荷寿司・・・じゃと?!わ、ワシに出来ないことを出来るというのかっ!!」
「え?狐神さん、稲荷寿司は作れないんですか?」
「出来ないのじゃ!食べ物はマンジュウかダンゴしか出せないのじゃ!」
ええ?!神様なのに?
「その代わり家とかなら作れるのじゃ!昔は旅人を泊めて朝になると原っぱだったという悪戯をよくやっていたのじゃ!」
いたずらばかりしてたから能力が限定されちゃったんじゃあ・・・
「むむっ!?これはワシか?」
狐神さんは自身そっくりの物体を怪訝そうに見ている。
狐神さんの見た目は、きつね色(金髪?)のロングヘアに大きな狐耳が生えていて、顔はちょっと釣り目気味の美少女。
服装は赤と白の巫女服を着ていて、お尻には大きな狐の尻尾が一本生えている。
九尾とかではないらしい。
「ワシは鏡にも映らんから自分の顔を知らんのじゃ!なかなかプリチーな顔をしとるんじゃのう!」
「そうなんだ・・・狐神さん、肉体が無いならこれに憑依とか出来ないかな?」
「むっ?!や、やってみるのじゃ!!」
狐神さんがスッと重なるようにボクの作った狐神さんに入っていった。
「おっ?動く!動くのじゃ!しかもめちゃくちゃ馴染むのじゃ!」
きゃいきゃいと動きまわる狐神さん、元から狐神さんをハッキリと見えているボクには二人が一人になったようにしか見えない。
狐神さんにとっては違うのだろう。
「こっちは何じゃ?メカメカしいけど狐っぽい形なのじゃ!」
「こっちはロボですね、背中部分が操縦席になっていて、ボクや狐神さんのサイズなら運転できるはずですよ」
というイメージで作った。
四つ足で走るバイクや車といえばわかりやすいかな?
タイヤじゃないから移動するとめちゃくちゃ揺れそうだけど。
「乗るのじゃ!ワシメカとか好きなのじゃ!」
そういって狐神さんは狐ロボの背に飛び乗った。
「どうやって動かすのじゃ?」
「両手と両足を入れる所があるから、そこに入れたら自分の手足のように動かせる・・・はず」
「なるほどなのじゃ!」
難しい操縦方法はストレスなので直感で動かせるようにイメージした。
それにしてもこの能力便利すぎない?もはや創造の領域なんだけど?
材料は葉っぱ一枚という超ローコストだし。
狐神さんは狐ロボを神社の境内で乗り回し、騒ぎに気付いた神主さんに発見された。
なんやかんやあって狐神さんは神様だと認めてもらい、神社の御神体の地位を得たらしい。狐メカを含められていたそうだけど。
ボクは神主が来る寸前に離脱したので、あとから狐神さんにラインで聞いた。
狐神さん何故かスマホ持ってるし、作ってあげた狐ロボのチューニングやってる所も画像付きで送ってきた。
古風な神様だと思ってたけど、寧ろボクよりハイテクなのかもしれない・・・
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