第46話
ミヤビ[百合姫さん、噂の事件について知っていますか~?]
雅ちゃんからそんなラインが来た。
この前の強盗さんを止めたやつかな?と思ったけど、続きを見て違うと気が付いた。
ミヤビ[
UMA?何の話?
ユリヒメ[ごめん、サッパリ分からないや。]
ミヤビ[あら~?知りませんでした~?近隣の公園でUMAとしか言えないような怪物の死骸が見つかって~UMA好き界隈がお祭り騒ぎなのですわ~!]
PCで検索してみると、確かに雅ちゃんの言う事件が載っていた。
しかし、テレビ等では報道規制でも入っているのか、流れていないようだ。
あくまで野次馬達が見たりスマホで取った画像がネットに流出しているだけらしい。
そのネットに上がっている画像は、流石に近くで撮ったようなものではなく、20メートルほど離れた場所からの物だった。
「うーん・・・UMAには詳しく無いからよくわからないや。」
ミヤビ[わたくしの見解では、あれはチュパカブラだと思いますわ~!]
「チュパカブラ?検索してみよ。」
大きな目に鋭い牙、それと骨と皮の痩せた犬くらいの大きさ。
事件の写真と見比べると、確かに似ているような気がする。
ユリヒメ[今調べてみたけど、確かに似てるね]
ミヤビ[ですわよね~!!こんな都市に出るなんて~やはりチュパカブラ宇宙人説は正解だったのでは~?!と界隈が賑わってたのですわ~!!]
チュパカブラは悪魔だとか実験で生まれた怪物だとか宇宙人とか色々な説があるらしい。
「本物かどうか調べてみよっかな!」
雅ちゃんとのラインに返信をしつつ、件の公園に向かった。
今日のお仕事は午前中で終わっているので時間はある!
今はドラマとかのレギュラーでのお仕事は殆ど無いから結構時間を作れるのだ!
・・・夏休みが終わるまでしかこんな事出来ないかもだけど。
***
夏休みなのに、公園には人っ子ひとり居なかった。
「今どきの子供は公園で遊ばないんだねぇ・・・ボクも遊ばないんだけどね。」
「・・・何者なんだよ!」
ん?公園に来ただけなんだけど、いきなり知らないお姉さんに誰何された。
お姉さんは、この真夏の炎天下なのに真っ黒いローブを来た不審者さんだった。
「お姉さんこそ、真夏にそんな格好して変質者みたいだよ?」
「うっ!!・・・それは・・・仕事のユニフォームみたいなもので私も仕方ないんだよ!・・・って!聞いているのはこちらだよ!!何者・・・え?姫宮ユリたん?!!」
おや?芸名の方で呼ばれたぞ?もしかしてボクのファン?
「そうだよ。ここは近所なんだ!」
「そ、そうなんだよ?あ、後でサイン貰っても良いんだよ?!色紙とペン買っててくるんだよ!!」
お姉さんは興奮したファンの典型みたいな状態になってしまった。
「はっ!?ユリたん!ここは危険な場所だから早く帰った方が良いんだよ!エネミー・・・怪物が出た場所だからまた出てくるかもなんだよ!」
「怪物?」
「そうなんだよ!お姉さんは怪物を倒すエージェントッ!・・・組織の下っ端なんだよ。調査にきてるんだよ。」
ほほーん?なるほどね。日本にそんな組織があったんだね。
まぁ公太郎くんとか狐耳の神様とかもいるし、何があってもおかしくないかぁ!
「本当はこのあたりに”人払い”のオマジナイを掛けてあるはずなんだよ!でもたまにそれが効かない人もいるらしいなんだよ!多分ユリたんも効かないタイプの人なんだよ?」
だから子供が遊んでなかったのか、これが普通なんだと思ってた。
「危ないから此処から離れるんだよ?・・・私も色紙とペン買いたいから一緒に行くんだよ!」
お姉さんが困っていようだから、言う通りに公園から離れて近所の書店に向かった。
色紙が売ってそうなお店がここか、もう少し離れたところにある100円ショップくらいだからね。
「あ、”ブレア知香へ”って書いて欲しいんだよ!」
「うん!」
サラリとサインを書いて渡すと、とても喜んでくれた。
ローブのフードを取った知香お姉さんは、ハーフだったらしく彫りの深い顔立ちをしていた。
「じゃあお姉さんはお仕事に戻るんだよ!ユリたんは一人で帰れるんだよ?」
「帰れるよ~!」
知香お姉さんとお別れかな~と思ったら、知香お姉さんのスマホが鳴った。
「げっ!?じょ、上司からなんだよ!・・・はい!こちらブレアなんだよ!・・・違うんだよ!?ちょっとしたアクシデントというか・・・すぐ戻るんだよ!!・・・え?新たなエネミーなんだよ?!」
上司からの電話を取った知香お姉さんは、現場を離れた事を怒られたみたい。
悪いことをしちゃった・・・おや?エネミーって怪物の事だよね?また出たの?
「ゆ、ユリたん!申し訳なんだよ!お姉さんは急いで戻るんだよ!」
「いってらっしゃ~い!」
はい、とは言っていない。
もちろん気になるのでこっそりついて行きますよ?
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