第47話
謎の黒ローブだった知香お姉さんの後をこっそり付いていくと、先程の公園に知香お姉さんと同じ様な黒いローブを着た人が集まっていた。
2・・・3人。知香お姉さんを入れて4人の黒ローブが戦っていた。
相手は・・・何あれ?!顔は人っていうか猿かな?身体は手足が異様に長いゴリラのような怪物だ。
「先輩~!!このドッグマン強すぎんだよ?!!」
「うっせぇ!気が散る!」
あの怪物はドッグマンというのか。犬には見えないけど・・・
知香お姉さん達が苦戦しているのは、ドッグマンのリーチの長さとパワー。
懐に潜り込んでも鋭い牙で噛みつかれる。
上手く戦わないと厄介な相手だね。
「お前らぁ!エージェントが来るまで持ちこたえろよ!!」
「早くしてほしいんだよぉ!!」
そういえば知香お姉さんは下っ端って言ってたっけ。
戦闘要員は他に居て、その人が駆けつけるのを頑張って足止めをしているようだ。
知香お姉さん達の為にも早く戦闘要員の方には来てほしいものである・・・おや?あそこの木の陰に隠れている人物は一体?
「えー・・・マジかよ?!無理無理!あんなの倒せねぇよ俺!チュパカブラくらいしか倒せねぇよ!・・・チュパカブラが出たって聞いたから俺が来たのに・・・」
あ、もう来てました!でもダメそう。
仕方ないのでボクがなんとかしよう!お知り合いになった知香お姉さんがピンチだしね!
「もうダメなんだよぉ!!」
「そこまでです!!」
絶好のタイミングだったので、颯爽と登場してみたボク。
当然皆の視線がこちらへ向いた。そこに格好良く佇むのは長身に豊かなお胸の黒髪美人のボク・・・の幻影。
流石に小1女子が現れても安心感が無いからね。強キャラ感のある大人の女性なら女児よりは説得力があるのだ!
「あ、貴女は?!」
「エージェント・・・ではないな?誰だ?!」
「通りすがりの・・・魔法使い?・・・です!」
超能力者にしようか魔法使いにしようか迷ったけど、超能力者だと手品師と間違えられそうだから魔法使いを名乗る事にした。事前に決めておけばよかったなぁ、ちょっと言い淀んでしまった!かっこわる~い!!
「ガルルルッ!!」
お!ドッグマンの方もコチラに惹きつけられた!
さぁ掛かっておいで!
「え~と、フリーズ!!」
水色に輝く玉をドッグマンに放つと、その光がちっぽけに見えたらしく、避けることもなく突っ込んできた。あれま!一発で終わっちゃうじゃん!
魔法の玉に当たったドッグマンは、あたった箇所から凍り付き1秒ほどで全身が完璧に凍ってしまった。
初撃は避けられる前提で撃ったのにまさか避けないとは思わなかった。あんな地味な魔法で倒しちゃったよ!もっと格好良い魔法考えてたのに!!
「す、すげぇ!ウチのエーズより強いんじゃ・・・」
「か、格好良いんだよ!!さ、サイン貰うんだよ!」
知香お姉さんとその上司、それと倒されてるお仲間さん達に色々聞かれると面倒そうなので、何か聞かれる前に退散することにした。
「それじゃあボ、私はこれで・・・」
大人バージョン(理想)の幻影を掻き消してボクはその場を離れた。
「なっ?!消えたぞ!」
「まだサイン貰ってないんだよ!?」
***
「片付いたね!・・・しかしエネミーと呼ばれる怪物とそれを倒す組織がこの世にあったなんて驚きだねぇ!」
しかも深い森とか山とかじゃなくて街のど真ん中に現れるってどういうことなんだろう?自然発生というよりは人為的なものだと考えたほうが良いと思う。
ウチの近所にこんなのがホイホイ湧かれても困るし!
今度見つけたら出処も探っちゃおうかな!
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