第42話 お祖父ちゃんち

 ランドに行った翌日、お祖父ちゃんの家に行くことになった。ランドのお土産はお母さんがしっかり買っていたようだ。


「そういえばちゃんと聞いたことが無かったけど、お祖父ちゃんって何してる人なの?」

「うーん。詳しく説明すると長くなるけど・・・簡単に言うと会社を沢山経営しているのよ。」

「予想より凄かった!」

「ユリちゃんの所属している事務所も実はお祖父ちゃんの持っている会社よ?」

「コネで入ったみたいになっちゃう!」


 身内にテレパシー使うのは、実は嫌われてたら嫌だなーという理由で使って無かったからお祖父ちゃんの事は本当に驚いた。未来予知にも出なかったから大したこと無いと思ってた。


「ユリちゃんグッズも沢山持ってるみたいよ?」

「グッズ?そんなのあったっけ?」

「あるわよ。ウチワとかTシャツとか帽子にハッピにタペストリーその他沢山。」

「アイドルみたいだね!」


 そんなグッズ一個も見たことなかったけど、よくボクに気が付かれずに作ったね。犯人はきっとマネージャーの雪子さんだろうね。


☆ その頃の雪子


「んはぁ!んはぁ!ユリちゃん抱き枕良いわぁ!!そしてまだ発売未定の【ユリちゃんの香り香水】を振り掛けて・・・幼女臭!幼女臭だわ!!」


☆ その頃の雅ちゃん


「こっちが制服ユリちゃん、こっちはスク水ユリちゃん、そして新作のパジャマユリちゃん・・・わたくしの腕が三本あれば全部抱いて眠れますのに。」



「なぜか鳥肌が・・・」

「もうお祖父ちゃんの家に付くわよ。」

「あ、うん。」


 謎の悪寒は気にせず身だしなみを整えた。今日の服装は空色のワンピに同じ色のリボンでポニテにしてある。靴は黒のヒールがついてるやつだ。少し身長が伸びるからヒールは好きなのだ。身体能力高いからバランスも崩さないし、足痛くもならない。太古に流行ったという超厚底ブーツとかでも余裕で履ける自信がある。


 やって来た家は豪邸だった。何処までがこの家の土地なの?ってくらいに広い。だから郊外にあるのか。都心にこんな家建てられないもんね。


 門にはサングラスに黒いスーツの厳つい警備員?がガッチリガードしている。お母さんとボクを見て直ぐに門を開けてくれた。車でそのまま門をくぐり中庭を通る道を進み大きなロータリーを回ってお屋敷の前に止まる。


「順子、帰ったか・・・」


 高齢だけど腰がピンと伸びてて、鋭い眼光はまだまだ後継者に仕事は譲る気はなさそうなほど気力に満ちている。白髪に同じく白い口髭。身長は180センチはありそうだ。


「ただいま帰りましたお父さん。」

「うむ、よく帰った。・・・その子が百合姫か。ワシはお前の祖父幸八郎だ。」

「あ、はじめましてお祖父ちゃん。」


「ちょっとお父さん!ユリちゃんグッズの専用部屋まで作ってるらしいじゃない!なに今始めて孫をみました~みたいな態度取ってるのよ!」

「むぅっ!!や、やめんか!祖父としての威厳が・・・」

「素直に【孫超可愛い】って言えばいいじゃない!そんなだから私も家出したのよ!」

「むぅぅ・・・」


【朗報】お祖父ちゃんは孫バカでした。

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