第35話
「はっ・・・・・・!!俺は・・・?か、会社っ!!無断・・・欠勤っ!?やべっ!!」
慌ててスマホを取り出し上司に電話を掛ける。
「すみません!体調を崩して倒れてました!!」
『んん?誰だ?滝川くんは独身だったはずだが、滝川くんの姪っ子さんかな?』
「いえ!私です滝川です!」
『何を・・・イタズラか?お嬢ちゃん、イタズラは止めて滝川くんに代わりたまえ。オジサンはイタズラに付き合う暇は無いんだよ。』
「何で分かってくれないんですか!?」
ブチ
電話を切られてしまった。苛立つ龍次郎だったが、スマホを持つ自分の手が子供のように小さい事に気がついた。
「何だこの手・・・子供みたいだ。」
小さな手に気がついたら視界に入る金色の髪の毛にも気がついた。
「これは俺の髪・・・なのか?金髪?長いぞ?!」
腰の辺り、ヘソより少し下くらいまで有る長い金髪を触り、他にも足や腕など身体の隅々を触りながら確認する。そして立っているにも関わらず低い視線に愕然とする。
「子供になってる?!!」
☆
『カーット!!オッケー!!』
監督の掛け声で撮影が終了した。
映像チェックをしてOKが出たので今日のボクの撮影は終了になる。第一話は前半に社畜おじさんである龍次郎が殆どの出番を占めていて。社畜であるリアリティを出すために、長々と辛い社畜シーンがタップリある。だからボクの出番は最後のシーンだけだったのだ!
「お疲れ様ユリちゃん!今日の演技も最高だったわよ!」
「ありがとう雪子さん!挨拶終わったので帰ろ!」
「えぇ。帰りましょう。」
「あ、雪子さん。こっちから行こ?」
ボクがエレベーターじゃなくて階段の方を指さして提案した。
「階段が良いの?わかったわ!階段で行きましょう!」
雪子さんはそこまで疑問に思わず階段で降りる事を了承してくれた。何だか嫌な予感がしたんだよね。嫌な人と合いそうな予感がね。
もしエレベーターで降りてたら。の予知をしてみる。
テレビ局にコネのある成金っぽいオッサンが、局の幹部クラス(成金オジに対して腰が低い)を引き連れてボクにむちゃくちゃなオファーを受けるように強要するのが見えた。もちろんそんなオファーは雪子さんが断るけど、かなりゴネるしキレて暴言を吐いたりするみたいだから。会わないのが精神衛生上一番良い対処法だと思う。
どうしても回避出来ない事があれば色々駆使して跳ね除けるけどね!
雪子さんの車に乗り込みシートベルトを締める。そして今度は【千里眼】という超能力を使って、さっきまで居た収録現場を見てみる。成金オジが高慢な態度で監督に姫宮ユリを成金オジの仕事を受けるように説得しろ、と勝手なことを言っている。もちろん監督はキッパリと断っているし、他のスタッフも白い目で成金オジを見ている。
成金オジに付いてきている局の幹部も人望が無いのか誰も味方にならないし、気が弱いみたいでずっと何も言わずにオロオロしている。何しに来たんだろうこの幹部さんは。
見ていて気持ちのいいものじゃないから千里眼を解除した。そんなことよりさっき思いついた魔法で大人に変身する件について考えよう!
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