第33話 VS変質者

「皆さん、最近この辺りで変質者が現れるそうなので、出来るだけ一人にはならないように登下校をしてください。」


「わたくしは~家のものに送迎して貰っていますので~大丈夫ですわ~ユリちゃんは大丈夫かしら~?」

「お仕事がある日はマネージャーが迎えに来てくれるから平気だよ。お仕事無い日は・・・まぁ大丈夫。万が一出会っても潰すから大丈夫だよ!」


「オレたちは男だし大丈夫だよな!・・・ん?今ユリちゃん怖い事言わなかったか?」

「聞き間違いに決まってますよ。いくら投児より運動神経が良くても女の子ですからね、か弱いに決まってます。」

「いやぁ、どうかな。多分最強だと思うぞ。」


 変質者の事でワイワイ盛り上がっていると、HLの時間が終わり解散になった。


 今日は朝に仕事が入ってて、それが終わってから登校したから帰りは徒歩だ。道を歩くのは嫌いじゃない。帰り道に猫を見つけたり、小鳥を見たり変な名前の看板を見つけたり中々楽しい。



「ひっ・・・!!」


 ん?何か聞こえた。・・・こっちだね。予知を使いつつサイコキネシス超能力の手をとりあえず40本出して警戒態勢を取りながらダッシュ!


 予知でたどり着く先に何が有るのか把握出来た。先生が言っていた変質者だ。女の子が変質者に出会って怯えている。どうやら女の子の反応を楽しんでいるらしく直接触れたりはしてないから瞬間移動するほど切迫はしていない。



「み、見て・・・ほら・・・よく見て!ふひひっ!!もっと見て!!」


 40代半ばでお腹がぽっこり肥えたおっさんがロングコートを広げて小5~小6くらいの女の子に見せつけている。コートを透視してみて後悔した・・・女性用の下着。具体的に言うと真っ赤で派手なブラジャーとパンツ、それとガータベルトに網タイツというコーディネイトをしていた。目が腐るかと思った。


「ぬあっ!!何だ!?やめんか!!私を誰だと思っておる!!コラッ!!」


 もしもの時のために【収納魔法】に入れておいた拘束用のロープを取り出し、直接触りたくないのでサイコキネシスで縛る。もちろん汚物なかみが見えないようにコートをしっかり巻きつけた。変態の癖に偉そうに騒ぐので口にもロープを噛ませて黙らせた。


「うー!!ううーーー!!」



「なに?!なに?!」


 襲われた女の子の方はどうしようか。絶対トラウマになってるよね。一応物陰からやっつけたからコチラに気がついていないけど、そのまま放置は可哀想。そうだ、魔法でなんとかしよう。たしか闇魔法には精神に作用するのが在ったはず・・・


「【記憶喪失】10分」


 多分これで大丈夫だと思う。あ、教育に悪いから変態は視界から外しておいた。女の子は遠い目をした後、ハッと意識が戻り軽く首を傾げてから何事も無かったように帰っていった。ふぅ・・・良かった。


 一時的に上空に避けといた変態は近くの交番・・・いや県警にしよう。県警の玄関口に転がして、転がりが止まると同時にコートがはだけるようにした。出来るだけ視界に入れたくないからサイコキネシスの有効範囲ギリギリからやった。400メートルが精密に動かせる限界だった。雑になら倍の距離は行ける!


 一仕事終えてお家に帰って夕飯後にネットニュースを流し読みしてたら、【変態市長捕まる!】という見出しの記事があった。呼んでみたらさっきボクが捕まえた変態の事だった。市長だったのか、あの変態。

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