第32話 考えちゃいけない

 夏休みが終わり、二学期が始まった。夏休みの宿題を無事提出し、久しぶりのクラスメイト達と夏休みに何をしたかお喋りをした。と言っても、殆どはラインでやり取りしてるから、旅行に行った人がお土産を持ってきたりして改めて話を聞かせて貰った。


 ボクは殆どお仕事だったから話すことはあんまり無い・・・と思ったけどゲーム関係は特に話しちゃダメなことは無かったから話した。一番食いついたのは公太朗。公太朗はゲーム好きらしく、前世は昭和生まれだったらしく、ボク達がレトロゲームと呼んでる物が現役世代だったようだ。もちろん今のゲームも好きらしい。


「番組みたよ!俺もゲーム上手いと思ってたけど、アレ見ちゃうと1ミリも勝てる気がしないよ!ボソ(どんな魔法を使ったんだい?)」

「ありがとう!(素の状態だよ)」


 教えて上げたのにギョッとした顔で黙られてしまった。


「俺さ・・・勇者だったじゃん?結構強かったんだぜ・・・でもユリちゃん見てると自信なくすよ。」

「そんな事言われてもねぇ。」


「ゆうしゃってなんだ?」

「魔王を倒した者が勇者と呼ばれる・・・はずだ。」

「またゲームの話ですの~?」


「そうそう、ゲームの話。」


 公太朗は慌てて誤魔化している。Sクラスの皆はあまり細かいことは気にしないタイプなので、そこまで深く聞いてこない。公太朗も人前で魔法を使ったりするから隠してるんだか隠してないんだかわかないヤツだね。ただのうっかりさんかもだけど。


「はははっ。今の子供はRPGあんまりやらないからわからないよね!」

「何言ってんだコータロー。お前も今どきの子供だろーが!」

「でも公太朗くんは大人っぽいというかオジサンっぽいですよね。」

「わかりますわ~何だかお父様世代の方みたいですわね~」


「うぐっ!!お、オジサンは心に刺さるから止めてくれ。せめてお兄さんで・・・」


 えっと、公太朗は前世何歳で異世界召喚されたんだっけ?仮に18歳だとして、魔王討伐に数年くらい掛かるのかな?そして今世で7年だとすると・・・オジサンだね。・・・いや待てよ?そうなるとボクも20歳で死んで今世・・・いやいや!同じ人生を逆行転生してるから加算しなくても良いのか・・・?


 もし加算するなら、おじ・・・おばさん?おばさんなのボク?ダメだ。これは考えちゃダメなヤツだ。封印しよう、そうしよう!


 

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