第25話 超能力?

 お仕事で初めてバラエティ番組に出ることになった。ゲストなので一度だけだけど、今後もバラエティ系に出しても大丈夫か試すためでもあるらしい。


 番組の内容は国内外で起きた事件やハプニングを再現VTRをにして流して、その感想を言ったりするタイプのヤツだ。今回は超能力スペシャルとかでゲストに海外の有名な超能力者が来るらしい。本物なのかな?魔法を使えるようになった身としては居てもおかしくないなと思っている。


 番組的にはボクは子供らしい無邪気担当で呼んだらしい。役者の端くれなのでボクとしては余裕ですよ。リハーサルでは他のタレントさん達も優しく話しかけてくれてるので何の心配も要らないね。例の超能力者は集中するため本番しか出ないらしい。


「本番はいりまーす!」


 本番が始まり、司会の人が番組の説明と自己紹介をして、次々と出演者を紹介していく。ボクも子供らしい感じで挨拶をする。


 早速最初の再現VTRが始まる。ワイプで顔を抜かれるので皆さん気を抜かない。VTRの内容は行方不明になった子供を特別捜査官が超能力で探すという物。ふむ・・・魔法を使えば同じことは出来るかもしれない。今度探し物を探す魔法を作ってみよう。


 1個めのVTRが終わったので司会者が感想を聞いていく。ボクは「魔法みたいですごい!」と無難に答えておいた。


 続けて2本目。今度は謎の連続火事事件が起こり。捜査の末、なんと犯人は自分の意思とは無関係にあたりに炎を発生させてしまう超能力者だった。最後は自分自身が燃えて死んでしまうという事件だった。


 これに関しての感想は半信半疑といった物が多かった。海外ドラマとかならありそうな話だけど、実際の事件として紹介されると信じられないよね。ボクは「こわーい!」と言っておいた。


 最後のVTRは今回のゲストである超能力者の半生を描いたもので、手に触れずに物を動かしたり透視なども出来るらしい。


 そしてVTRの終了と同時に超能力者が登場。ジョセフさんと言うらしい。そういえばさっきのVTRで説明されてたね。通訳の人もいる。司会者から超能力を見せて欲しいと振られる。通訳の人が耳打ちをすると『構わないよ。じゃあサイコキネシスを見せてあげよう』と言った。英語の聞き取りはホボ完璧だね。よしよし、ちゃんと身についてる!


 番組側が用意したサッカーボールに向けて両手を向けるジョセフ。すると、手のひらからモヤモヤが出てきて手の形になり、そのままサッカーボールに伸びていく。ほほう、あれが超能力なんだ!魔力とも気功とも違う力だね。ボクの感覚で説明すると、魔力は青、気功は黄色、超能力は白っぽい。


 しかし、ジョセフは自身の超能力が見えてないのか、超能力の腕は手探りでボールを探すみたいな動きをしている。そしてやっとボールに触れてゆっくり持ち上げだした。それにしてもあの腕プルプルしてるね。あんまり力無いのかな?


 皆が「おお!」とか「すごい!」とか言っている内にジョセフは透明な腕を消して、大汗をかきながら息を切らしている。そんな消耗するんだアレ。


『つ、疲れた。でもこれで1万ドル(約100

万円)貰えるのなら悪くない仕事だったよ!』

通訳「結構消耗するので今回はこれ以上は無理だそうです。」


「いやいや、凄いものを見せてもらいました!ジョセフさん、ありがとうございました!」


 出演者全員で拍手をしてジョセフを見送り、締めの挨拶をして無事撮影が終わった。家に帰ったらアレ出来るか試そう!楽しみ!! 


  

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