第23話 小1の夏休みは休みじゃなかった
夏休みは沢山遊べる・・・と思っていた時期がボクにもありました。
えぇ、お仕事がですね。ビッチリ入ってました。マネージャーの鈴木さんに抗議したら「オファーが来すぎて、この辺で受けとかないと拙いんですよ!分かってください!」と説得された。
夏休み初日のお仕事はサイン会だった。え?サインとか作ってないんだけど?鈴木さんが考えて来た?そうなんだ。ハートやら百合の花っぽいのが付いてて可愛らしいサインですね。これをマネージャーの鈴木さん(46歳独身男性)が・・・いえ、ダメじゃないですよ?良いデザインだと思います。これにします。
才能チートのおかげでサインをすぐ覚えて、自動手記モードでサインを書きまくりました。来てくれたお客さんとチョピッと会話しながら右手が勢いよくサインを書いていく。「ノールックサイン」とか言われたけど大体あってる。
サイン会が終了して直ぐに鈴木さんから「明日の台本です」と渡されたのが、ラジオのゲスト出演だった。登場の場面と宣伝、締めの定例の挨拶以外がアドリブと書いてあった。ていうか誰のラジオ?【
鈴木さんに「ボク、この曲の行き先聞かされてないんですけど?」と聞いたら「あははっ!忘れてた!てへっ☆」と言われてイラッっとした。後で事務所の上の人に告げ口しちゃお。
夏休み2日目。ラジオにゲストで出るために放送局に行った。ラジオは初めてだな。緊張してきた。
奥田さんはノリが芸人みたいで明るい人だった。そして喋りも上手なのでドンドン話してたら、いつの間にか収録時間をかなり超過していて偉い人達が少し会議した結果、面白い話ばかりで削りたくないから1回だけのゲストだったけど、2回に分けて放送することになった。なので差し込みでゲスト2回目の冒頭の挨拶と終わりの挨拶を別撮りをした。あとで編集してくっつけるそうだ。
帰り際に奥田さんに「トークしてる間にトークスキルがメチャクチャ上がって来てビックリした!」と褒められ(?)、ラジオやった方が良いと勧められた。そうか、トークスキルもゲットしちゃったかぁ、前回は超口下手だったのにな。
マネージャーの鈴木さんの車に乗って、さぁ帰ろうと思ったら朝は無かった物があった。何だろう?見てみると台本が沢山入った紙袋だった。え?これ全部台本?
「鈴木さん。これなに?」
「1週間分の仕事の台本です!ユリちゃんなら全部暗記余裕っしょ?来週分も直ぐに取り寄せますんでヨロシク!」
余裕っしょ?じゃないよ。多すぎでしょ!・・・ん?歌の歌詞カードも入ってる。歌の仕事もあるんだ。でも仮歌の入ったUSBとかCDとかは入ってないんだけど。
「鈴木さん。歌詞カードも入ってますけど。仮歌はどこにありますか?」
「え?入ってません?あっれ~?おかしいなぁ。でもユリちゃんなら仮歌なくても余裕っしょ!」
「メロディわからないのに歌えるか!」
「あははっ!たしかに!」
よしっ!マネージャー変えて貰おう!!マジで!!!
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